~水音~
クトゥルフ神話TRPG(ry パート2
~水音~
今、私の目の前には大きな化け物がいる。
八メートルくらいだろうか。そいつはゼラチンみたいなウネウネした身体を動かしながら、こちらへと向かってきている。
私が幼女先輩達と共に夜の湖を探索していた時、いきなりこの化け物が湖から出てきたのだ。
私達はすぐに逃げだしたが、あいにく周りは森。下手すれば迷って出られなくなってしまうかもしれない。
しかも、アマゾネスさんは化け物を見た途端、恐怖に身体を震わせ誰かの指示がないと動けない状態。
別の道から逃げようとしても、大きな触手が邪魔をして通り抜けれそうにない。
私は覚悟を決めて、ポケットから小さな折りたたみナイフを取り出して構えた。
正直、こんなに大きい化け物に刃渡り五センチの小さいナイフが効くのかは分からなかった。だけど、他に手段はない。
役所さんや、幼女先輩も覚悟を決めた表情で構える。
そして、三人は一斉に攻撃を仕掛けた。
役所さんは、額にある何かくもの巣みたいなもので覆われた赤い何かを銃で狙う。しかし遠いせいか弾は全く当たらなかった。
続いて先輩が拳で殴ろうとするが、攻撃する前に一つの触手が先輩を襲った。
触手に叩かれた先輩は、そのまま吹き飛んで木に背中を強くうってしまう。
しかし、なんとか空中で受け身をとったおかげでそこまで痛みはなかったようだ。
私は化け物に走って近付き、足らしきものにナイフを振りかざす。
それは綺麗に突き刺さる。
しかし、それと同時に遠くから幼女先輩の叫び声が聞こえた。
「神咲君! 今すぐに離れろ!」
その言葉を聞いて、私はすぐにナイフを引き抜いて離れようとした。しかし、気づくのが一歩遅かったらしい。
一つの触手が思いっきり私の腹をめがけて殴り飛ばす。
避けきれなかった私はそれをモロに食らい、そのまま木に背中をつよく打ち付けた。
途端、背中と腹から凄まじい痛みが襲い、口の中から何かが込み上げてくる。
はきだしてみるとそれは、私の血だった。
呼吸が乱れ、痛みにうずくまる。遠くから誰かの声が聞こえるが、それを聞き取るのは難しかった。
意識が朦朧とし、視界が霞む。しかし、まだ死にたくはなかった。
木を支えになんとか立ち上がるが、腹からの痛みで今にでも倒れてしまいそうだった。
先輩らしき人がこちらに走ってくる。
重たくなる瞼を無理にでも開けながら、私はゆっくりと先輩のほうへ歩き出す。
ーーしかし、化け物がそんなのを黙って見ているわけがなかった。
後少しでたどり着ける所まで来て、私は必死に手を伸ばす。先輩も、強く手を伸ばしていた。
そして、先輩の手を握った瞬間ーー。
気がついたら私は宙に浮いていた。下に湖があり、ゆっくりと落ちていく。
そこで私は状況を把握した。
先輩の手を繋ぐと同時に、私はとどめを刺すかのように触手で強く殴り飛ばしたのだ。
視界が暗くなる中、誰かが叫ぶ声が聞こえた。
それが聞こえたと同時に、私はバシャンという水音と共に意識を手放した。
~水音~
疲れたぁ。