彼女の気持ちと俺の気持ち
振られた彼女と、彼の話。
「…ホントは、いや。本当に、好きだったんだ、私。」
オレンジ色に染まる放課後の教室。慰めるように彼女の背中にまわした手で、撫でるように髪の毛を梳く。二人きりしかいない教室のため、こんな状況を見て俺たちの関係を勘違いする他人は、今はいない。
「冗談、言うなだって。全然、冗談じゃなかったのに。友達だって言われちゃった。」
「あぁ。」
告白の結果報告。現状を表現するのに一番ふさわしい名称。
俺は彼女が好きで、彼女が俺の友達が好きで。そんな三角関係になっていることは、俺しか知らないのだけど。なんて面白いくらいの一方通行だろう、と心の中で密かに毒を吐いた。
「本気だったのに…本当に好きだったのに…。」
俯きながら涙を流す彼女。その姿を見て、俺の表情も悲痛に歪む。俺ならこんな風に苦しめることも、泣かせることもしないのに。今まで心の奥の方に隠していた欲望が、外に出てしまいそうに膨らむ。だから、少しだけ口から出てしまった気持ちは、仕方がないと割り切った。大体、好きな人が目の前で泣いているというだけで、色々限界だったのだ。……もちろん、感情が。
「…そんなに嫌なら、忘れちまえばいい。」
「え?」
堪え切れなくなったこの感情。悲しませるくらいならいっそ、俺が幸せにすればいい。
それが、俺の自己完結さえた答え。彼女は思いを伝えてきた。それこそ玉砕覚悟で。ならば、俺も思いを伝えたとしも許されるはずだ。たとえ、1ミリの望みすら見いだせなくたって。
「お前が好きだ。」
弱った心に漬け込むのは、悪いことですか?
彼女の気持ちと俺の気持ち
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