『初恋―ハツコイ』
初恋の定義って、どんなものだろう。
そもそも、“恋”ってどういうもの?
これは、私が思っていたこと。
私なりに、初恋の定義を考えてみる。
〝初恋とは、初めて恋をすること〟
そんなこと、字を見ればほとんどの人がわかる。
恋って、誰かを好きになることでしょ?
そんな風に思ってた。
あの人に、出会うまでは――――
ずっと、恋は楽しいものだって思ってた。
でも実際は、それだけじゃなかった。
「今日の私は、あの人にどう見えたかな」
「少しでもかわいく見えていたなら嬉しい」
「ああ、でも、あの人と目があったときに目をそらしてしまった。
あんな態度、絶対嫌われた」
「いや、もともと好かれていなかったか」
ポジティブに考えるのが、私だったのに。
あの人のことでは全て逆。
全部ネガティブに考えてしまった。
あの人がいつも以上にオシャレなのは、きっと今日デートするからだ。
私といるときにいつもあの人の顔が強ばっているのは、
私のことが嫌いということを隠すためだ。
毎日、毎日。
そんなことばかり考えていた。
明日のあの人は、どんな服装かな。
休日はなにをしているのかな。
好きな食べ物はなんだろう。
寝ても覚めても、あの人のことを考えた。
恋をするっていうのは、いつでも気になる人のことを考えるってことなんじゃないかな。
会いたいとか声を聞きたいとか、そういう願望を強く持つことが“恋”。
強い願望を、誰かに初めて持つ。
これが、私流の初恋。
『初恋―ハツコイ』