『初恋―ハツコイ』

初恋の定義って、どんなものだろう。

そもそも、“恋”ってどういうもの?

これは、私が思っていたこと。



私なりに、初恋の定義を考えてみる。

〝初恋とは、初めて恋をすること〟

そんなこと、字を見ればほとんどの人がわかる。

恋って、誰かを好きになることでしょ?

そんな風に思ってた。

あの人に、出会うまでは――――



ずっと、恋は楽しいものだって思ってた。

でも実際は、それだけじゃなかった。

「今日の私は、あの人にどう見えたかな」

「少しでもかわいく見えていたなら嬉しい」

「ああ、でも、あの人と目があったときに目をそらしてしまった。

あんな態度、絶対嫌われた」

「いや、もともと好かれていなかったか」

ポジティブに考えるのが、私だったのに。

あの人のことでは全て逆。

全部ネガティブに考えてしまった。

あの人がいつも以上にオシャレなのは、きっと今日デートするからだ。

私といるときにいつもあの人の顔が強ばっているのは、

私のことが嫌いということを隠すためだ。

毎日、毎日。

そんなことばかり考えていた。



明日のあの人は、どんな服装かな。

休日はなにをしているのかな。

好きな食べ物はなんだろう。

寝ても覚めても、あの人のことを考えた。



恋をするっていうのは、いつでも気になる人のことを考えるってことなんじゃないかな。

会いたいとか声を聞きたいとか、そういう願望を強く持つことが“恋”。

強い願望を、誰かに初めて持つ。



これが、私流の初恋。

『初恋―ハツコイ』

『初恋―ハツコイ』

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日
2013-04-21

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