おやすみなさい

夢から出た吐しゃ物

どうか、安らかに

ある日僕は僕と出会った
そいつはとても嫌な奴
そいつはとても傷付いていた

しめたと思ったんだ
いつか夢で成した偉業をこの手で
僕は似合いもしない微笑みをその面に貼り付けた

目は淀み
顔は蒼白
おまけに血まみれ

非道く可愛そうな姿
愛してやらなきゃ
愛してやらなきゃ

抱きしめ
撫で
愛でる

抱きしめ
撫で
愛でる

胸のあたりが苦しいんだ
動機がどうも可笑しいんだ
やっぱりいつも虚しいんだ

ごめんね
ごめんね
すぐ終わるからね

そうだよ
そうだよ
甘えていいのさ

こびりついた血を舐め
伝う涙を啜り
線の引かれた手首を甘噛みする

綺麗にしてやるから
輝かせてやるから
より美しくより美しく

嫌がらなくていい
求めなくていい
望む姿にしてあげる

もう悲し色を見たくはないだろう
その瞼じゃ頼りない
眼球を抉って差し上げよう

もう冷たい音を聞きたくないだろう
両手じゃ抑えきれないでしょう
よく拾う耳を引き千切ろう

鼻は潰して舌は抜こう
悲鳴を上げてしまわぬように
その唇にキスをしよう

四肢切断
内臓破裂
脳脱陥没

どうか
安らかに
おやすみなさい

おやすみなさい

ごめんなさい

おやすみなさい

理解の外に立っています

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-04-21

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted