「一日一歩でいいじゃない」
胸にあふれるこの気持ち。
きっと、これは、絶対、そう。
あの人を好きだという気持ち。
あの人に恋する乙女な気持ち。
顔を合わせるたびに一つ、
姿を見かけるたびにまた一つ、
声を聞くたび、名前を聞くたびに増え続けた、切ないこのキモチ。
――この想いを、あの人に伝えたい。
……あの人に、ふられた。
好きな人には、好きな人がいた。
それは単純な、けれどどうにもできない明確なコト。
薄々わかっていたけれど、答えを聞くとやっぱり悲しい。
私は固く目を閉じ、“現実”を否定する。
そんな風に過ごしていたけれど、何も変化がない世界に飽きてしまった。
私は本来、熱しやすく冷めやすい。
だから何も変わらない世界がイヤになった。
それから私は考える。
逃げた先には何があるのかと。
答えは一つ。
何もないってこと。
今だけ忘れられても、現実世界は常に動いている。
だったら、いつまでも落ち込んでいないで前へ進めばいい。
〝一日一歩でいいじゃない?〟
そうだ。
ふられてしまったのなら、また誰かを好きになればいい。
どれくらい先になるかわからないけれど、誰かを好きになる、あの気持ちは、
一度知ったらまた感じたくなる。
いつまでも落ち込んでいないで、前を向こう。
そして、捜すんだ。
今度こそ、恋人同士になれるパートナーを。
ゆっくり、焦らずに行けばいい。
誰も急かさないのだから。
〝一日一歩で、いいじゃない〟
「一日一歩でいいじゃない」