「一日一歩でいいじゃない」

胸にあふれるこの気持ち。

きっと、これは、絶対、そう。

あの人を好きだという気持ち。

あの人に恋する乙女な気持ち。

顔を合わせるたびに一つ、

姿を見かけるたびにまた一つ、

声を聞くたび、名前を聞くたびに増え続けた、切ないこのキモチ。

――この想いを、あの人に伝えたい。




……あの人に、ふられた。

好きな人には、好きな人がいた。

それは単純な、けれどどうにもできない明確なコト。

薄々わかっていたけれど、答えを聞くとやっぱり悲しい。

私は固く目を閉じ、“現実(いま)”を否定する。

そんな風に過ごしていたけれど、何も変化がない世界に飽きてしまった。

私は本来、熱しやすく冷めやすい。

だから何も変わらない世界がイヤになった。

それから私は考える。

逃げた先には何があるのかと。

答えは一つ。

何もないってこと。

今だけ忘れられても、現実世界は常に動いている。

だったら、いつまでも落ち込んでいないで前へ進めばいい。


〝一日一歩でいいじゃない?〟


そうだ。

ふられてしまったのなら、また誰かを好きになればいい。

どれくらい先になるかわからないけれど、誰かを好きになる、あの気持ちは、

一度知ったらまた感じたくなる。

いつまでも落ち込んでいないで、前を向こう。

そして、捜すんだ。

今度こそ、恋人同士になれるパートナーを。


ゆっくり、焦らずに行けばいい。

誰も急かさないのだから。


〝一日一歩で、いいじゃない〟

「一日一歩でいいじゃない」

「一日一歩でいいじゃない」

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2013-04-18

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted