花より団子より脳筋
ブログから引用……
ノクブレ+音です
サウンドウェーブがマスクオフしてるので、苦手な方は注意です
「………暇だな~。何か壊したい…戦いた~い、勿論バルクヘッドと~、ビーコンでも良いや~。それがダメならスタースクリームでも良いや~…あぁやっぱりダメ」
自分の仕事を全て終わらせてしまったウォーブレークダウンは、ブツブツ言いながらネメシスをブラブラしていた。
と、そこへ偶然一人のビーコンが通りすがる。
ウォーブレークダウンはすぐさまビーコンに声をかける。
「なーなー、暇だから一発殴らせてくんねぇか」
「はっ!?」
ビーコンの肩が裏返った声と共にビクッと跳ねる。
誰でもこう言われれば驚く。
「俺仕事終わっちゃったから暇なんだよ~、一分で良いから俺のサンドバッグになってくれよぉ」
彼は勿論、悪気があって言ってるわけでは無い。
暇を通り越して頭の回路が少し狂っただけだ。
それだけでも、彼の場合は大変なのだが。
「い、言い難いのですが、スタースクリーム様には声をかけないのですか?」
「えー、やだよあんなモヤシ~。もっとガタイ良いヤツが良い~」
「モヤシって……」
吹きかけるが、何とか抑えるビーコン。
「とゆーわけで……10数えるから準備しといてや。何とか力は抑えるけど、力加減間違えたら危ないし」
手をコキコキ……というかガシャガシャと鳴らし、勝手に準備を始めるウォーブレークダウン。
「え、ちょ」
「い~ち、に~ぃ、さ~ん」
既にカウントは始まっている。
治療を終えたばかりなのに、と心の中で騒ぎながら焦り始めるビーコン。
「ま、待って下さい!あの、えっと」
「よ~ん、ご~ぉ、ろ~く」
「メ、メディックノックアウト様が!!」
「え、メディックノックアウト?」
途端にカウントとウォーミングアップを止めるウォーブレークダウン。
内心ホッとするビーコン。
とりあえず彼に関するトラブルがあった場合はメディックノックアウト様の名を出すか…
そう心に決めたビーコンだった。
「??メディックノックアウトがどうかしたのか?」
「あぁ、その、今回は負傷者が大変多かったので、たまには休みたいと呟いておりました。先週あたりもそうでしたが……」
「え、マジか!!やっぱり疲れてたんだな~…どおりで疲れた顔してると思ったら…」
そうかそうか、と一人で納得するウォーブレークダウン。
「……メディックノックアウト様の疲れを癒やしてあげるのはどうでしょうか」
「うおっ、良いなソレ!うーし、そうと決まれば何かプレゼントみたいなの探して来なくちゃだな!!ありがとなビーコン!!」
「えッあ、あぁ…はい」
ドスドスと走り去るウォーブレークダウン。
と、呆然と立ち尽くすビーコンでした。
「プレゼント~プレゼント~、何が良いかなプレゼント~」
何やら妙な歌を歌いながらネメシス内を走るウォーブレークダウン。
これでも一応真剣なんです。
「エネルゴン……違うなぁ、武器……違う、地位……それはスタースクリームだな………あっ、今地球にいるんだから地球にしか無いものにしてみっか!!」
というわけで、何故かサウンドウェーブを探しにまた何処かへ……
そして数分後
サウンドウェーブ(モニターに向かって仕事中)を見つけたウォーブレークダウンは
「サウンドウェーブ!!何か地球にある癒されるモンとか綺麗なモンとか教えて下さい!!」
物凄い迫力のある声で言った。
サウンドウェーブしかいないうえ、たまたま防音が効いてる仕事部屋だったのが幸いだ。
まぁ室内ではメチャクチャ響いてるのだが。
サウンドウェーブはモニターから一度離れ、自らを使って何やら検索を始めた。
そしてピヨンと音をたてながら画像が現れた。
「確かコレは…………木?…はっぱがピンクだ……」
『これは』『花です』
「はな?はなって……地面に咲いてるヤツだろ?」
『この木は』『春になると』『ピンクの花』『が沢山咲くんですよ』
「木にはなが咲くのか!スゲー!!」
サウンドウェーブが出した画像は、「桜」の木の画像だった。
興味深そうにオプティックを輝かせるウォーブレークダウン。
『これは』『日本の花です』
「ニホン?俺達がいるとこニューヨークだろ?ニホンじゃ遠いな~。もし見つかったらメガトロン様に怒られちゃうし」
グランドブリッジの存在を忘れてるウォーブレークダウンである。
サウンドウェーブは、グランドブリッジがあるじゃんとか、ニューヨークじゃなくてネバダ州だよとか、あえて突っ込まない様にした。
「う~ん、岩なんか貰っても嬉しくないよな~。どうしよう………」
『こちらはいかがでしょう?』
「んぇえ?」
サウンドウェーブは、別のウィンドウを開いて彼に見せた。
モニターには、正方形の紙が二枚映っていた。
「……これ何だっけ、確か……カミ?メディックノックアウトが教えてくれた。ペラペラで燃えやすくて、地球人はこれに記録したりするんだってな」
でもカミじゃーなぁとウォーブレークダウンが腕を組みながら呟くと、
『ただの』『紙じゃありません』『よく見ていて下さい』
サウンドウェーブがモニターに映っていた画像を再生した。
画像ではなく、動画だったのだ。
「へ?」
ウォーブレークダウンはモニターを見る。
するとモニター内に、人間の手が現れて紙を折り始めた。
紙は徐々に姿を変え、チューリップとチョウチョの形になった。
「え!?あれ、記録するもんだろ!?何であんな事が出来んだ!?」
『あれは』『折り紙と』『言います』
「オリガミ?」
『紙を』『折ると』『色々な形に』『なります』
「へぇ~……でも、その紙はどうすれば………地球人が使うやつなんだし、俺が折るには小ちゃすぎるだろ?」
『私が』『エネルゴン』『で』『作った物が』『ありますよ』『よかったら使ってよ』
何処からかエネルゴン製折り紙(TFサイズ)を取り出すサウンドウェーブ。
さすが優秀な参謀殿、着色まで済ませてある。
「じゃーそうします!サウンドウェーブ、ありがとございます!!………俺出来るかな…」
『私が』『教えてあげますよ』
そしてサウンドウェーブとウォーブレークダウンの楽しい折り紙教室が始まりました。
二人(二体)は、すぐそこの机で折り紙をします。
ウォーブレークダウンは太い指でせっせと折ります。
サウンドウェーブは細い指でスッ、スッと折ります。
仕事の合間にでもやってたんでしょうか。
教え方が上手です。
……性に合わない語りは止めよう…
「えと、こう…ですか?」
『ちょっと惜しいかな』
「じゃ……こうか!!」
『そうそう!!』『よくできたでちゅね~』
「…子供扱いはやめて下さいよぉ、サウンドウェーブ」
ウォーブレークダウンはすこし顔をしかめながら言った。
『じゃあオヤツ』『は』『抜きで良いんだな?』
「そっそれはダメッ!!サウンドウェーブのオヤツが無きゃ、俺仕事頑張れません!!」
『ジョーダンだよジョーダン』『ちゃんと今日も作っておいたから』『折り紙』『頑張ったら』『あげるよ』
「マジですか!!やったぁ!!今日は何ですか??」
『エネルゴン』『マフィン』『今日はちょっと』『力を入れたんだから』『エネルゴン』『ミルク』『もあるよ』
「うおっしゃぁぁああああ!!ウォーブレークダウン頑張りますっ!!」
と、こんな具合で折り紙は進んだ。
「………出来たー!!」
『やれば出来るじゃ』『ないか』
「ありがとござます!!」
『じゃあ』『頑張ったご褒美に』『オヤツあげる』『よ』
またもや何処からか、皿にたくさん盛られたマフィンとミルクを取り出すサウンドウェーブ。
そしてそれらを机の上にコトンと置く。
何処まで用意周到なんだろか。
「うぉおああ!!オヤツー!!」
『オヤツは』『逃げないから』『ゆっくり食べな』
「はぁーい!!」
元気良く返事をして、マフィンにがっつくウォーブレークダウン。
『ゆっくり食べなさいって言ったでしょ』
「ふみまふぇん、ふぁうんふぉふぇーふ(すみません、サウンドウェーブ)」
『あーもう』『またそんなにこぼしちゃって』
「ふみまふぇん…(すみません…)」
『口に入れたまま』『喋っちゃダメでしょ』
サウンドウェーブは机の上にこぼれたマフィンのクズを手でかき集める。
まるで親子の様な光景である。
ウォーブレークダウンは口の中のマフィンを一気にゴクッと飲んだ。
「ありがとうございます、サウンドウェーブ」
『いえいえ』『あ、また』『口の周りにたくさん付いてる』
サウンドウェーブがウォーブレークダウンの口を指差した。
確かに彼の口周りにはマフィンのクズがたくさん付いていた。
「ふえ?……あ、ホントだ」
指で触って分かったようで、ペロッと舐める。
『ところで』
「はい?」
『どうして』『いきなり』『綺麗な物とかを』『教えて、と?』
首を傾げながらウォーブレークダウンに問うサウンドウェーブ。
彼に対してウォーブレークダウンはニコニコ笑いながら答えた。
「何か、メディックノックアウトが疲れてるらしくて、地球にいるなら地球にある何かで元気になって欲しかったんです!!」
『なるほど』『しかし』『何故6つも?』
「へへっ、この赤いチューリップとチョウチョがメディックノックアウトで、この水色のが俺で…この青いのがサウンドウェーブです!!」
『え…?』『私、の?』
「はい!!感謝のシルシってやつです!!」
どうぞ、と青いチューリップとチョウチョを差し出すウォーブレークダウン。
サウンドウェーブは、メガトロンからの褒美は貰った事があったが、このような物は一度も貰った事が無かった。
サウンドウェーブは少しの間ウォーブレークダウンの手の上のチューリップとチョウチョをジッと見た。
そして、受け取った。
『ありがとう』
「喜んでもらえて嬉しいです!じゃ、俺メディックノックアウトのとこ行ってきます!」
立ち上がり、チューリップとチョウチョを二つずつ持って出て行こうとするウォーブレークダウン。
しかし、
『ちょっと待って』
サウンドウェーブが止めた。
「?」
ウォーブレークダウンは止まった。
『こんな素敵な贈り物を貰ったんだから……何かお礼しないと』
サウンドウェーブの再生音が、甘い男性の声に変わった。
『ちょっとだけ…しゃがんでくれないかな?』
「?はい……」
指示通りに少しだけしゃがむウォーブレークダウン。
一瞬、ウォーブレークダウンは何が起きたのかか分からなかった。
気付いたらサウンドウェーブの顔が近くにあったからだ。
でも、モニターの顔じゃない。
オプティックがある。
今俺は…口を塞がれてる。
顔が近くにあるから…この前メディックノックアウトが教えてくれた「きす」ってやつ?
何でこんな事を?
息苦しくて頭がクラクラしてくる。
何が何だか分からない。
頭がゴチャゴチャしたところでサウンドウェーブの顔が離れた。
その時は、もういつも通りのモニターの顔に戻っていた。
「サ、サウンドウェーブ……何を…」
口を片手で抑えながらウォーブレークダウンは言う。
『僕がチョウチョで、君がお花、チョウチョはお花の蜜を吸うでしょ?』『そういう事』
「……俺が、花?蜜?」
ますます意味が分からなくなるウォーブレークダウン。
『ふふっ』『早く行った方が良いんじゃない?』『きっと彼は君を待ってるよ』
「おぉそっか!!そおだった!!早く行かなくちゃだな!!」
ウォーブレークダウンは何事も無かったかのように走り出し、部屋を出て行った。
彼の足音が遠のいた後、サウンドウェーブも何事も無かったかのように仕事を再開した。
サウンドウェーブが何故このような事をしたのかは、本人以外誰も知らない。
花より団子より脳筋