首輪
首輪
「ねぇ、あなたには見える?、ほらここ、この首輪は太い鎖につながられているの」
電車を待つホームで、真っ赤なワンピースの女性が声をかける。よく見ると、口紅もマニュキュアも毒々しく目が痛いほどに真っ赤であった。
初対面、だが体験のしたこと無い不思議な感覚に鼓動が高まりつつも彼女の首筋に目をやる
見えなかった、何も無い、首輪はもちろんネックレスさえ
「あなたには見えないわよね、でも私には見えるわ、だって何をするにも何処へ行こうにも、ずっとコレが邪魔するんだもの。あなただってそうでしょ?」
ニヤリと笑って彼女は視界から消えた
驚きつつも、思わず自分の首に手を運ぶ、何も無い。あるのはいつもと同じ感覚だけ。
誰に何を言われても何一つ変わる事はない
いつものように電車に乗り、そしていつものように家に帰るだけだ
首輪