「とびら」

開けてはいけない、秘密の扉。

開けられない、秘密の扉。

その扉はこの世で命をもらってから、誰もが受け継ぐもの。

扉が開くときは、その人にとって一つの挑戦を終えたとき。

恋をした、告白した、ふられた、また恋をした。

一つ一つ、小さな挑戦を終えるたび、扉が開いていく。

ある日の扉は木製で、ある日の扉は鉄製で。

またある日は、透明な扉で。

一つ一つ、扉を開けるたびに人は成長していく。

扉の素材は、心の強さ。

心が強くなると、扉の素材は頑丈になっていく。

きちんと、順番に、ゆっくりと。

自分の寿命が尽きるその日まで、扉を開け続けていく。

順番を守らずに、一度に何度も扉を開けてはいけない。

まだその扉に対応できない心の強さで開けようとすれば、

その先に広がるのは、深い……闇。

今まで光が道を示してきたのに、その光は闇に呑まれる。

深い闇はどこまでも続き、振り返って見えるのは、頼りないロープが一本。

そのロープは今にも切れそうで、体重をかければ奈落の底へ人を導く。

深い闇を抜け出したい。

そう思って、ただ前へ進む。

その先にあるものは、光が煌めく世界か。

それとも、さらなる深い……闇か。

光の扉、闇の扉。

行き先を決めるのは、自分次第。

どんな選択も、全て自分で決めなければいけない。

「とびら」

「とびら」

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日
2013-04-16

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