「なみだ」
今は昔。私が中学生のころ。
あの頃の私は、人を好きになる感覚がわからなかった。
告白されて付き合ったのに、友達の延長でしか付き合えなかった。
それでも別れた当日、やっとその感覚がわかった。
この気持ちが、人を好きになるってことなんだ…………
そう思ってすぐに振られ、私はまた誰かを好きになれなくなった。
周りが恋をしていくのを見て、私も、また誰かを好きになろうと思った。
リハビリをしよう、そんな風に思った。
リハビリを始めた当初、軽い気持ちだった。
けれど、リハビリを経て本気で好きな人ができた。
普段よりもオシャレなあの人を見て、私は初めて嫉妬した。
他の誰でもない、私だけのためにオシャレをしてほしいと思ってしまった。
あの人を好きだと自覚してから、私は涙を流すことが増えた。
友人から言われた何気ない一言が。
あの人が言った、何気ない一言が。
その一言一言全てが、私の涙につながった。
何度も、何度ぬぐっても、止まらない涙。
タオルで目を覆って、家族に聞かれないように声を殺して泣いた。
散々泣いた後、シャワーを浴びる。
止まったはずの涙は、またシャワーの音に混じって流れた。
シャワーを強めにして、また泣く。
しばらくしたら、少しだけ落ち着いた。
部屋で泣いて、お風呂場で泣いて。
そんな日の私は、最後まで泣いてしまう。
ベッドに入って、また気持ちがぶり返す。
涙が頬を伝い、枕を濡らしていく。
私は、泣き疲れてそのまま目を閉じた。
「なみだ」