「えがお」
あの人が笑えば、私も笑う。
あの人の微笑みが、私を癒す。
あの人の笑顔は、本当の笑顔。
私の笑顔は、偽物の笑顔。
あの人は笑いたいから笑う。
私は、笑う場面だから笑う。
あの人が見せる、無邪気な笑顔。
私は、口角を上げただけ。
心の底から、笑うあの人。
心の底から、笑っているように見えるあの人。
あの人の笑顔はいつもまぶしくて、私はいつも目をそらす。
けれどあの人の笑顔が見たいから、すぐに視線を戻した。
笑ったときに目を細める、あの人。
その顔を見ると、ささくれた気持ちが消えていく。
あの人の笑顔は、きっと、魔法に違いない。
だって、あの人の笑顔を見ただけで、人を憎む気持ちが消えていく。
醜い気持ちなんて初めからなかったように、消えていった。
あの人の笑顔は、私の癒し。
あの人の笑顔だけが、心をきれいにしてくれる。
大好きなことをするよりも、読書で時間をつぶすよりも、
あの人の笑顔を見た後は優しい気持ちになれた。
あの人に会えない日は、ゆっくりと目を閉じる。
暗い闇の中で光る、あの人の笑顔を頭に浮かべた。
あの人はいつも笑みを絶やさない。
その笑みを見ると、ポッと、心に明かりがともった。
そしてその光は徐々に広がって、「前向きな私」を、作り出してくれる。
あの人が笑えば、私も笑える。
あの人の微笑みは、私の灯火。
あの人は今日も、あの笑顔で、私を癒してくれた。
「えがお」