春なのに


あたたかな陽にあてられて


そよぐ風にさらわれて


花のかおりにくるわされ


小鳥のさえずりにいらだち



僕は全力で春の訪れに抵抗する


抜け出せない宙似病に悩まされ


今年も迎える春とやらに対して


宣戦布告する


僕はいつまでもこのままだから


世界がどれだけ浮かれていても


桜がどれだけキレイに咲いても


あの空がどれだけ青々としても


ひこうき雲がどれだけ白くても



ああ春の嵐に

まだ冷たい風に

花見の酔っ払いに

飛び交う花粉たちに


少しだけ拍手を送ろう


春なんて
いいことはない
春だから
いいことはない
春なのに
いいことはない


こんな僕はきっと
いつまでたっても
嫉妬色の赤い花で
あの綺麗な薄紅の
誰もが見惚れる姿
誰もが浮かれる姿
春の訪れを告げる


今じゃ葉桜になってしまって

通り過ぎる人がさみしそうに

少し上を見上げていたりする

なんでだかどうしてこの僕も

ちょっぴりさびしい気持ちに

なった気がするから不思議だ


春になったからって何が変わる?

新しいことがたくさん始まって?

疲れることばっかりじゃないか?

いやそれだけじゃないけだろう?

いやいやそれだけ疲れるだろう?


春なのに
僕はなんて暗いんだ

春なのに
僕はなんて・・・



春なのに



僕の心は寒い冬の雪の中で凍ってる


溶けないまま

解けないまま

融けないまま



春なのに

春なのに

春なのに

うつうつとしていてすいません。ということばがすでにうつうつとしてますね。春はいいですね、大好きです。おひさまも風も花も小鳥たちも春の訪れに喜んでるみたいで・・・春なのにこんな小説ですいません。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-04-14

Copyrighted
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