鬼の子(一部)

段落など、表現、などおかしな点はいくつかありますがどうか優しく指摘していただきたいです・・・。

主人公:宮本(みやもと) 虎之(とらの)助(すけ)(十四歳:中学生)
この物語の主人公で夏休みに祖母の家に来た。山奥の一つの村で咲夜という少女に会い、そこから物語は進展していく。
ぶっきらぼうな性格でよく不良と思われがちだからか、よく不良に絡まれる。面倒くさがりで自分からやろうとする意欲はあまりない。幽霊などが苦手だが妖怪が少し見える妖怪は平気。学校の授業などはよくサボるか居眠りをしている。

咲(さ)夜(や)(十二歳)
物語では重要な登場人物。夏休みで村に来ていた虎之助と川で出会う。
活発で好奇心旺盛な女の子。家族は昔亡くなってしまった。
謎の多い女の子でもある。

祖母(九十三歳)
虎之助の祖母。夏休みのあいだは虎之助の面倒を頼まれた。
普段は温厚だが厳しい時は厳しい人。妖怪などが見え霊感などがとても強い、咲夜のことを何か知っているらしく咲夜からは少し警戒されている。一部の妖怪たちからは恐れられている。好物は漬物全般。

天(てん)狐(こ)(年齢不詳)
狐の妖怪で尾が九本ついている。咲夜が幼い頃から面倒見ていて咲夜の家族が亡くなっている理由を知っている。咲夜には人と関わらないようにきつく言っているが咲夜は何度も人に近づく。咲夜の親の様な存在だ。虎之助とは関係が有り唯一心を許す人間。
好物は魚、油揚げ。

天狐:人を化かしたり、フシギな力があるとよく言われるキツネであるが、そのキツネにもランクというものがある。
 それは、上からじゅんに天狐(てんこ)、空狐(くうこ)、気狐(きこ)、野狐(やこ)というもの。人に悪さをするのは一番下の野狐だけで、気狐から上は霊狐といわれ形というものがなく、変化するのだという。
 中でも最高ランクの天狐は、自由自在に変化することができ、神聖な霊獣(れいじゅう)なのである(今回は名前として出しています。いつか書き直すときはしっかり名前をつけたいと思います。)


一章:咲(さ)夜(や)
俺は夏休みにお袋の母の家に来ていた。
お袋は七月から九月の間は仕事で忙しく家にいないから祖母のうちへ来ている。
祖母の家の周りは田んぼばかりで家も点々とあり数軒しかたっていない。
田んぼはとてもきれいだ。緑に染まっていて、見ているととても心が洗われるようだ。
しかし周りを見ても田んぼと山ばかり、それと少し東の方へ行くと森がある。
悪いところではないが俺はあまり落ち着かない、緑が全然ない所で育ってきたからだ。
祖母の家に来ないで喧嘩をしていればよかったと思う・・・。
祖母の家に来て一週間経つ、ふとその時、なぜか俺は東の方にある森に行った。
まるで吸い寄せられるように足が動いていた。
森の前に立ってかなりボロボロな看板があったすごい読みにくかったがなんとか読めた。
看板には[妖怪、鬼に気をつけろ]
子供のいたずらだろうか、妖怪?鬼?そんな物いるわけない。
そんな看板は放っておいて静かに森の中へ入っていった。
森の中は少し寒いくらいだった上を見上げれば木漏れ日が差し込んでいた・・・。
綺麗だったがずっと見ているとクラクラしてきた・・・。
それにしてもいつも誰か通っているのだろうか、草や枝が倒れて獣道が出来ている。
それを辿っていくと少し先の方に光が見えた。
森を抜けたのだろう・・・森の中が少し暗かったせいで光が眩しかった。
そこには川があった川の中央あたりを見ると少し深そうだった。
川は透明で透き通っていた、都会の川とは大違いだ。
川の周りを見渡していると、川上の方を見たとき向こうに人影が見えた、誰だろうと気になって少し近づく、女性だろうか?アサガオの柄で青色の浴衣を着ている、もう少し近づいてみる。
それを繰り返しているうちに、いつの間にか女性の近くまで来ていた。
十メートルあるか無いかぐらいだ・・・。
しかし近くで見ると、少し幼い顔している、自分より二、三歳年下だろうか?
とても綺麗な黒色の髪だ・・・短い髪が風でゆらゆらとゆれていた。
顔を見てみると黄色の瞳をしている、ハーフだろうか?こんな所にいるのか?
そんな疑問抱いていたが、すぐに気にしなくなった
女性というより女の子だ・・・。
でも変だ・・・こんなにに近かったら、気づいてもいい筈なのにまったくこちらに気づいていない・・・。
知らない男が近づいてきたら、逃げたりとかしないのだろうか?
そう考えていると女の子は、こちらに気づいたみたいで一瞬目を丸くして少しの間こちらをじっと見て、やわらかい表情になった。
いきなり気づかれて焦ってしまい後ろへ転びそうになる。
女の子はこちらの焦る様子を見て、クスクス笑っている。
「何がおかしい?」
俺は少し怒鳴った感じで言うと、女の子は頬を少し膨らませ。
「無愛想なしゃべり方・・・」
失礼な・・・元からこういうしゃべり方なんだ!
言い返そうとした時
「名前なんていうの?」
いきなり名前を聞かれてまた焦ってしまった。
俺のその様子を見て女の子は、クスクス笑っている。
なぜだろう、馬鹿にされているのに、その笑顔を見ているとこちらも不思議と笑顔になりそうだ。
「宮本・・虎之助・・・」
すると彼女は・・・
「へ~変わった名前だね!」
また失礼な!俺もこの名前が気に入らない小学校の頃ならかっこいいとか言われていた、中学二年生あたりから馬鹿にされてすごく恥ずかしくなった。
「お前は何ていうんだよ・・・」
眉間にしわを寄せながら言うと・・・
「怖い顔・・・」
と少し目を細めながらこちらを見た
「なっ!何だよさっきから失礼だろ!?」
カッとなってつい怒鳴ってしまった・・・。
「虎之助は何処から来たの?」
女の子は黄色い瞳の目をキラキラさせ近づいてきながら言った。怒鳴られたのを気にしていないらしい・・・。
「いきなり呼び捨てかよ!?お前の名前は何ていうんだ!?」
また怒鳴りながら言ってしまった、正直自分でも大人気なく思えた・・・。
「名前?」
女の子は首をかしげながら不思議そうに言った。
「そう!名前!」
なぜか自分の呼吸が荒れていたのに今気が付いた。
「咲(さ)夜(や)!」
咲夜は元気に答えた。
「咲夜・・・」
そう繰り返した俺は、少しの間ボーっとしていた。
「ねぇ!」
いきなり咲夜が呼びかけてきたから、驚いて体がビクッと震えた。
「なっ・・・何?」
咲夜の方を見ると少し不機嫌そうな顔をしていた。
「やっと答えてくれた!」
どうやらなんども声を掛けてきていたらしい。
「んで!虎之助はどこから来たの!?」
咲夜は目を輝かせながら問いかけてきた。
「さ・・・埼玉・・・・」
少し戸惑いつつ俺は答えた。
「へ~!どんな所?」
今更だが咲夜は、なぜここまで初対面の相手に馴れ馴れしく話せるのだろう?・・・
でもあの黄色い瞳で見つめられると、なぜか初対面じゃないみたいになる・・・。
本当…不思議な感覚だった、言葉では説明ができない感覚だ・・・。
その後は色々と会話をしていた。
ほとんど咲夜の質問に答えてたばっかだったけど・・・。
そしていきなり咲夜が
「ねぇ川で遊ばない?」
急に切り出してきたから、少し驚いてしまった。
咲夜は浴衣だけど大丈夫なのだろうか?
色が落ちたりはしないのだろうか?・・・。
「浴衣だけど濡れても大丈夫なのか?色とか落ちたりしないか?」
そう聞いてみると、
「大丈夫!そうゆう浴衣じゃないから」
浴衣や衣服にはそんな詳しくないが大丈夫なのだろう。
そういえば咲夜はどこらへんに住んでいるのだろう。
気になったがすぐ忘れた。
「んじゃ行こう!」
と咲夜は言い走りながら川に入っていった。
「元気だなぁ・・・」
と小さく言った。川は透明で透き通っていた。
そして足の指先から入っていって足首まで入ると体中に川の水の冷たさが伝わった。
最初は少し冷たかったがまだ昼過ぎくらいでまだまだ暑いから、気持ちよかった。
そして両足が入って川の流れを感じていると、いきなり顔に水がかかった。
「冷たっ!?」
手で顔を拭いて水がかかった方を見ると咲夜がこちらに指を差しながら笑っていた。
「このっ!」
そう言って咲夜に水をかけると頭までかかってしまった。
少しやりすぎてしまったか・・・?
咲夜は体をブルブルと猫みたいに震わせたあとにっこり笑った。
ホっ・・・よかった別に大丈夫らしい・・・。
そう思っていると、また顔に水がかかった。
「おらっ!」
今度は腰を曲げて腕まで使って咲夜に水をかけた。
すると
「うわぁ!」
驚いた感じだったがひょいっと避けられてしまった。
少し悔しかった
そして二時間くらい経っただろうか、遊び疲れ、川を上がり、森の木の横に座った。
とても疲れたがとても楽しかった。
咲夜の方を見るととても嬉しそうな顔していた。
どちらとも服がびしょびしょに濡れていた。
少しだけ寒く感じた。
けれど数十分経ったら乾いた。
それほど今日は暑いのだろう。
「虎之助は何でここに来ているの?」
向こうの方を見ながら質問してきた。
「お袋が仕事で家にいないからだ・・・。」
川を見ながら返した。
「へ~お父さんは?」
咲夜は目線を変えずまた質問してきた。
本当なんでも聞きたがるな・・・。
「もういない・・・。」
そういいながら後ろに寝転んだ。
「えっ?・・・」
咲夜が少し驚いて咄嗟にこちらを見た。
なぜか悲しい目をしていた。
「えっと・・・ごめん…」
そう言って申し訳なさそうにうつむいた。
「別に・・・」
その後夕方になるまで二人ともずっと黙っていた。

空が茜色になってそろそろ帰ろうと立ち上がった時。
咲夜が急にこちらを見上げ。
「帰るの?」
どうしてそんな事聞くのだろう?
「んまぁ・・・うん」
そう返すと咲夜がいきおいよく立ち上がり。
「じゃあ送ってくよ森の中通ってくんでしょ?」
どうしてさっきからわざわざ聞くのだろう・・・
「まぁうん・・・さっきの森の道を通っていくけど・・・」
行こうとすると後ろからTシャツの裾を引っ張られた。後ろを見ると咲夜が掴んでいた。
「ここ結構深い森だから熊とか危ないでしょ?だから送ってくよ」
そんなに心配する必要があるのだろうか・・・。
「分かった・・・」
そう返すと咲夜は自分の前に出て手招きしながら歩いて行く。
咲夜についていって来た道を戻る。
森の中は、夕方で少し暗くて肌寒かった。
なんだろう…気のせいだとは思うが、周りに得体の知れない気配がする。
周りを見渡そうとした時。
「真っ直ぐ前だけ見て、私についてきて・・・」
咲夜が少しきつく言ってきた。
「どうゆ・・・」
聞こうとして少し口を開けたら。
「喋らないで・・・」
川原で遊んでいた時の咲夜と違う気がした・・・。
咲夜の言うとおり背中を見ながら歩いた・・・。
そして沈黙が続いて数分・・・やっと森から出られた。
少し長く感じたのは気のせいだろうか・・・。
森を抜けると左右に分かれ道があって自分は右から来た。
「ふぅ・・・やっと出られた・・・」
そう溜息をついた咲夜がこちらを見て。
「んじゃ、私帰るね!じゃあね!」
そう言って咲夜はこちらをみながら左の道へ行き手を振りながら走って行った。
それにしてもなぜ咲夜は森の中を歩いている時あんな事を言ったのだろう・・・。
深く考える事でもないと思い来た道を戻った。


祖母の家へ帰ると。いい匂いがした料理でも作っているのだろう。
玄関から入ると少し高い段差があって少し長い廊下がある。
玄関の横に居間があり、その先には右に風呂場がある。
居間の扉の隣には階段がある。
廊下の一番奥には台所がある、この家は少し入り組んでいるから、小さいころはよく迷った。
段差を上がり左にある居間へ入った。
居間にはちゃぶ台があり向こうの部屋には衣類を入れるタンスと祖父の仏壇がある。
縁側に座り向こうの山をボーっと見ていると後ろから襖を開ける音がした。
後ろを見ると、祖母がおぼんに茶碗と味噌汁を持ってきた。
その後茄子といんげんの天ぷらを持ってきた。祖母は座って手招きをした。
少し違和感がある・・・。
「いただきます」と言い天ぷらを食べて白米を口に運んだ。
「今日はずいぶんと長い間外で遊んでいたんだねぇ」
ゆっくりとした口調で祖母は言った。
「うん」
今日は結構腹が減っていたからがつがつ食べながら答えた。
「誰かと遊んでたのかい?」
こちらをじっと見ながら質問してきた。
なんか気になる・・・。
「うん」
食べながら言ったから食べ物が喉に詰まった。
「へぇ・・・友達かい?」
せきをしている自分に水を渡しながら言った。
友達かどうかは分からないけど。
「うっ…少し年下くらいの女の子」
それを聞いて祖母は少し珍しがる感じで
「へ~女の子と・・・ここらへんに子供はいないけどねぇ・・・」
そう言って顔をしかめながら。
「どこで遊んでたんだい?」
少し返すのも面倒くさくなってきた・・・。
「川で」
そう言うと急に祖母は小さく笑い出した。
「ほっほっほ川という事は森を通ったろう?」
なぜ笑った?・・・少し不気味だった。
「う・・・うん」
少し引き気味に答えた。
「という事は・・・」
うつむきながらぼそぼそと小声で何か言っていたが小さくて聞こえなかった。
首を傾げながら俺はまた食べ始めた。
今日の出来事を夜空の星を見ながら考えていた。
咲夜という女の子に会った・・・少し不思議な感じの女の子だ・・・。
少し生意気だったがかわいい顔をしていた。
黄色い瞳をしていて何だろう…見ていると少し落ち着く・・・。
そう考えていると眠くなってきた。
布団にうつ伏せに倒れてそのまま眠ってしまった。


二章:
次の日、いつもより少し暑い・・・。頭が暑くなってきて近くにあった木陰に座り目をつむっていた。
ふと、また森へ行こうと考えたあいつがいるかもしれないし。
立ち上がって森の方へ歩いて行った。暇だし・・・。
森の方に向かって歩いていると、向こうから咲夜が歩いてきた。
すると咲夜がこちらに気づいて手を振りこちらに向かって走ってきた。
昨日と少し違う青色の涼しい色の浴衣だった。
「どうしたの?また川に行こうとしてたの?」
咲夜に聞かれて「うん」と言い頷いた。
「ねぇ!今日神社でお祭りあるからさ行かない?」
祭り?祭り何てあんのか・・・。
黙って頷いた。
「じゃあ行こう!ついてきて!」
咲夜の後ろを歩いていると昨日の森の入口が見えた。
どうやら咲夜の家がある方なのだろう。
通り過ぎる時の森の獣道を見た瞬間・・・!?
二つの目らしき物がこちらをじっと見ている…。動物の目?・・・。違う…
なんだろう・・・あれは・・・ふらふらと体が勝手にその目らしき物に近づいていく・・・。
近づいてはいけない・・・。そう思っているのに・・・勝手に足が動く、昨日とは全然違う感覚だ・・・。
「ねぇ!!」
咲夜の声が急に聞こえたので、咄嗟に咲夜の方見ると涙目でこちらを見ていた。
なぜ涙目なのだろう・・・まだ混乱していて頭の中で整理できない・・・。
「早く行こう・・・」
そう咲夜は言ってさっさと行ってしまった。
森の獣道を見た時は何もなかった。
咲夜に追いつくとこちらを少し見てまた前見て歩き出した。
「なんで泣いてんだよ・・・」
聞いてみると咲夜は。
「別に泣いてない!」
何を怒っているんだ・・・。
咲夜はすぐに機嫌がよくなり鼻歌を歌いながら自分の前を歩いている。
すると急にこちらを見て。
「そういえば今日打ち上げ花火もあるんだよ!いい眺めの所もあるの!」
自分の隣に来て歩きながら言った。
目がすごく輝いている黄色い瞳でじっとこちらを見ている。
何だか恥ずかしくなってきて目をそらした。
「へ~・・・花火か・・・」
前を見ながらそう言った、あまり興味がわかなかった・・・。あまり見た事ないけど。
「うん!だから早く行こう!」
まだ花火が上がるほど暗くなっていないと思うが、咲夜が手を引っ張るので少し走った。
走っていると。段々と人の声が聞こえてきた。
神社が見えてきたが予想より小さかった、あまり大きくはないようだ。
歩いてはいたが咲夜が手を引っ張っていて少し歩きにくい。
鳥居をくぐるとまだ準備中で慌ただしかった。
「まだ準備中だぞ?」
まぁまだ午後の二時くらいだ、あと三時間は待たなきゃいけない。
周りを見渡していると、いつの間にか隣にいた咲夜がいなくなっていた。
急いで探すと社の前に立っていた。
いつの間にあんな所に・・・。
走って近づくと咲夜はこちらに気づいてニコニコ笑っていた。
そんなに祭りがうれしいのか?
「こっち来て!」
と言い社の後ろに入っていった。急いで追いかけると社の後ろには道があった。
「ここを上ると花火がよく見えんだよ!」
そう言って急な坂を駆け上がっていった。よくあんな細い脚で上れる・・・。
急いで駆け上がっていくと咲夜はもう頂上に着いていた。
息があがっている・・・。
その場に座り込んで前を見ると絶景が広がっていた。
立ち上がると祖母の家や森の向こうにある川も見えた、向こうの山を見ると緑が広がっていた。
耳を澄ますと蝉の声と、風でざわざわとなる草木の音が聞こえてきた。
「綺麗でしょ!山の向こうから花火が上がるんだけどよく見えるんだ!」
そう言いながら咲夜は隣に座った。
咲夜の方を見ると嬉しそうに笑っていた。黄色い瞳はキラキラ輝いている・・・。
綺麗な色だ・・・。
「咲夜は何で黄色い目をしてるんだ?親は外国人とか?」
急に聞いてしまった・・・。顔を見ると。
少し戸惑った表情で。
「違うよ、ただの生まれつき」
少し悲しい表情をしていた。
何か嫌な思い出でもあったのだろうか・・・。
ならば悪い事を聞いてしまった・・・。
「えっと・・・咲夜はどこらへんに住んでんだ?」
空気が少し重かったから咄嗟に聞いてしまった。
「それは・・・えっと・・・言いたくない・・・」
知られたくないという事だろうか?更に空気が重くなってしまった・・・。
早く祭りの時間になってくれ!そう思うほど時間は遅く流れているように感じる・・・。
「そういえば咲夜って何歳?」
俺はもっと気の利いた事を言えないのか!?そう心の中で自分に言って顔を伏せた。
「・・・十二歳。」
少し間を開けて咲夜は言った、十二歳・・・二歳年下なのか・・・。
そう思って空を見上げた、まだ空は青かった・・・。
そういえば何で咲夜は住んでいる所を言いたくないのだろ?
さすがにこれ以上空気を重くはしたくなかったので、聞かなかった。
ボーっと空を見ていると。
咲夜が急に立ち上がって。
「そろそろ神社に戻ってみよう」
もう機嫌を直していた・・・。
まぁ気が楽になったからよかった。
立ち上がって、坂を下っていくと社が見えてきた。
結構たくさんの人たち集まっていたらしい、少し騒がしくなっていた。
咲夜の顔を見ると笑顔になっていた。
コロコロと機嫌が変わるなぁ・・・。
社の後ろから出ると屋台は十軒ほど立ち並んでいた。
咲夜は腕を引っ張りながらわたあめの方に走って行った。
どうやら食べたいらしくねだる様にこちらを見た。
一本50円と意外と安く100円玉を出した。
渡されると嬉しそうに食べていた。
わたあめなんて何年ぶりだろう。
そう思いつつ口に入れた。
三時間ほど経って空が少しだけ暗くなってきた。
屋台の後ろにある椅子に座っていると。
「楽しいね!」
嬉しそうな声で咲夜が言ってきて、「そうだな」と返した。
もう少し明るく返したいが、そうゆうのは自分には少し難しい。

少しの間屋台を見て回っているうちいつの間にか空は暗くなっていた。
上見ていると咲夜に手を引っ張られ。
「そろそろさっきの所に戻ろう」
黙って頷いて、社の後ろに行き、また駆け上がっていった。走らなくてもいいと思うんだが・・・。頂上に着いて咲夜の隣に立って下を見ると点々と家の明かりがついていた。
座りながらボーっとその明かりを見ていると、空が急に光った。
咄嗟に空を見ると花火が上がっていた。
隣を見ると咲夜は立ち上がって、笑っていた。
しばらく二人で花火を見ていた。
どうやら終わりらしい。立ち上がって隣を見ると眠たそうにふらふらと咲夜が立っていた。
こんなんであの坂を下りたら転げ落ちそうだ・・・。
「大丈夫か?」
いちおう聞いてみるとコクリと小さく頷いた。
どうしようか・・・。
そう考えていると、咲夜が服にしがみついてきた。
そんなに眠いのか・・・。
「おぶってやろうか?」
少し恥ずかしかったが仕方ない。
そう言うと咲夜は頷いた。
いいのかよ・・・。
しゃがんで咲夜をおぶり立ち上がり周りの木を掴みながら坂を下って行った。何度か転びかけた・・・。
社の後ろから出ると屋台はまだ並んでいた。
人を避けながら鳥居を潜った。
少し歩いていると人が少なくなり後ろから寝息が聞こえてきた。どうやら眠ってしまったらしい。
咲夜の家は何処だか分からない。
そう思いながらも祖母の家へ向かっていた。
森の獣道を見たがやはり何もなかった。
歩きながらふと思いついた。
咲夜とは知り合って二日目だが昔から一緒にいる様だ・・・。
あの黄色い瞳を見た時も不思議な感覚だった・・・。
何か懐かしさを感じなぜか悲しさも感じた。そうこう考えているうちに家に着いた。
祖母が驚いた顔をしたので説明をしながら土間に入った。
咲夜を居間に寝かせると、どっと眠気が来た。
けど眠るわけにはいかない、起きたら送らなければ。
そう考えながら横になって眠ってしまった・・・。
・・・・・・ここは?森?あぁ夢か・・・だが妙にリアルだ。
なぜか呼吸が乱れている、何かから逃げているのか?走っていると、森を抜けた。
そこには川があり向こうを見ていた。
だがこの川・・・どこかで見た事ある・・・。
・・・!あの川だ!咲夜と会った時の川だ!そして左の方を見た時、そこには。
そこで夢は終わり、祖母に起こされた。
目はまだぼやけていて、目をこすると咲夜が起きていた。そして祖母に。
「この子送ってきてあげな・・・」
急かすように起こされて、咲夜も立ちあがって、ついてきた。咲夜は祖母に「ありがとう!」と言い玄関に出た。出ようとした時。
「虎之助・・・」
祖母に呼び止められ振り向くと、険しい顔していた。
「いや何でもない、早くお行き・・・」
そう言って居間に入っていった、なんだろう?まぁいいかと思い外に出た。
外は暗かったが、少しして目が慣れた。
夜道は静かで道の横には田んぼがある。
蛙がたくさん鳴いている。
「さっき寝てる時ね夢見たんだ」
夢?そういえば自分も見ていたな。
「どんな?」
そう聞くと咲夜は夢の内容をしゃべり始めた。
「ここの道を歩いていたんだ、んで歩いていると森の前に立って、看板を見て、森の中へ入って行って、進んでいると光が見えてきてね、虎之助と会った川に出たんだ。
んで右を見た時に終わっちゃった。少し本当ぽくて怖かったな・・・」
はぁ!?どうゆう事だ!?まるで・・・いや、そのまま俺が体験した事だ!・・・。
偶然・・・いや、にしては出来すぎてる、どうゆう事だ・・・。
唸っていると、咲夜が「どうしたの?」と聞いてきて、「なんでもない」と返した・・・。
頭の中が混乱して何も分かんなくなった・・・。
三章:
森の前について、「ここでいい」と言い虎之助と別れた。
そして神社の方に走っていくと祭りは終わり、人はいなかった。
周りを見渡して、鳥居を潜り社に向かい歩いた。
社の木の階段に座り今日の出来事を振り返っていた。
今日はとても楽しかった。祭りを見たり、わたあめを食べて、花火も見た。
そのあとは眠くなって虎之助におぶってもらって、とてもうれしかった。
虎之助は背中が大きくて安心して眠ってしまった。
立ち上がって、社の中に入った。
真ん中あたりに来て座り、隙間から月明かりが差し込んでいた。
「楽しかったなぁ・・・明日も会えるかな?・・・」
声が震えてしまっていた。いつまでもここにいたくないけど、虎之助と一緒にいたい・・・。
でも虎之助はこの村にいると危ないし・・・現に森の前を通った時・・・。
いつか虎之助が消えてしまうのじゃないかって思うと怖い・・・。
本当なら虎之助のそばにいたい・・・怖いよ・・・寂しいよ・・・。
膝を抱えて泣いてしまった・・・。
そのうち泣き疲れて寝てしまった・・・。

人と遊んだのは何年ぶりだろう・・・とても久しぶりだなぁ。
この村は昔から妖怪とかが集まる村だ・・・。
けど私は妖怪では無い・・・。
姿は人だけど・・・、人でも無い・・・。
人の郷に行って遊ぶと妖怪達からはあれこれ怒られる。
なんで怒るんだろう。
分からない。
そして人も少なくなり。子供はいなくなった。
他の村に行こうとしても妖怪達が見張っている、この村にもいさせてもらっているんだ・・・。
だからあまりあれこれ文句は言えない。
妖怪は人に見えないけど、私は人に見える・・・。
昔遊んだ女の子、今頃どうしてるかな・・・。
妖怪が見えた女の子、妖怪から私を何度も守ってくれた。けれど急に会えなくなってしまった。
その女の子の家族が妖怪と関わりをもった事を怒っていたみたい。
その子の家はどこだったけ?忘れてしまった。
・・・虎之助は他の人違う気がする。あの時の女の子と少し似ている。
何だろう・・・分かんないからいいや・・・。

鬼の子(一部)

鬼の子(一部)

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-04-13

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