光と闇-light&darkness
覚醒-awake-
「いいよ、僕がやるよ」
これが僕、今年高校2年になる斎藤直樹の決まり文句だ。
「斎藤くん、このプリント木戸先生のところに持っていってくれない?」
このように毎日のようにクラスの皆から雑用を頼まれてしまう。
弱気な僕の答えは、もちろん……『YES』だ。
「うん、任せといて」
はぁ、と自分の弱さにため息をつく。
プリントを渡しに職員室に入る。
「失礼します、木戸先生にプリントを届けるために来ました」
用件を伝え、先生のもとに向かった。
「また、他の奴のか。お前もしかしていじめられたりされてるのか?」
「いえ、自分で進んでやってるだけですから……」
作り笑いをして言う。そんな自分も嫌いだ。
「そうか……それならいいんだが」
「では、失礼しました」
そう告げて僕は職員室を去った。
帰り道―。
校舎裏で一人の生徒が数人の不良に絡まれているのが見えた。
助けなきゃ。と思いながらも足が震えていて全く動かない―。
なんなんだよ!動けよこの足!
足は前へとは進まず、方向転換して家のほうに向かって走っていた。
その夜の11時―。
僕は家の屋上へと来ていた。なぜ家に屋上があるのかと言うと、
父さんが星を観測するのが好き、とこんな理由で作られた。
でも、そんな屋上は僕にとって最高の『逃げ場』だった。
弱い自分を忘れさせてくれる星空を見るのは格別だった。
父さん……僕はこんな弱く育っちゃったよ……。
*
そう、これは父さんが生きていた僕がまだ小学高低学年の頃―。
父さんと僕は毎日のように夜になると星を観測しに屋上に来ていた。
ある夜、いつものように屋上に来ていたが、父さんが複雑な表情をしていた。
「どうしたの、パパ?」
僕は不安になって尋ねた。
「……いや、なんでもないんだ。それより直樹!今日はプレゼントがあるぞ!」
「ほんと!なになに」
「ほれ、これだ。」
それは星柄のペンダントだった。
「わぁ!きれい……」
その美しさに僕は見とれてしまっていた。
「これはな、直樹を守るお守りなんだ。ずっと持っているんだぞ」
「うん!ありがとうパパ!」
その日を最後に父さんは二度と帰って来なかった……。
父さん……こんな弱い僕に力を貸してくれ……!
いつも首からさげているペンダントを強く握りしめながら思った。
その時―。
「お前、力が欲しいのか?じゃあ、貸してやろうか?」
頭のなかに声が入ってくる。
「だ、だれかいるのか!」
周囲を見回すが誰もいない……。
なんだったんだ、今のは……?
すると、後ろから屋上への扉が開いた・・・・・・
「だ、だれ!」
ドアのある方に僕は思わず叫んでいた。
そこにはー。
「だれ!、じゃないわよ!今何時だと思ってるのよ?風邪引いちゃうから
早く中に入りなさい」
な、なんだよ・・・・・・・・・。母さんか・・・。でも確かに男の声がした気がした
んだけどな・・・。まあ気のせいか・・・。
そう、この時に僕はまだ気づいていなかった。
自分の身に何が起こっていたのかはー。
次の日もいつも通り学校に通い、帰宅しようとしていた。
その時いきなり後ろから肩を叩かれ、振り向くといきなり殴られた・・・。
「な、なにするんだ……。」
見ると昨日見た不良達だった。
「なにってそれはこっちのセリフだ!昨日お前俺たちのしていたことを学校にちくっただろーが!」
倒れているところにもう一発蹴りを入れられる。
「な、なんのこと……?」
そんなこと僕はしていない……。
「はぁ!とぼけてんじゃねーよ!お前が見てたの知ってんだよ!お前らやっちまえ!」
リーダーらしき男がそう叫ぶと4人ほどの不良達が僕に襲い掛かってきた。
本当に僕はしてないのに……。
{だれか……助けて!}
うずくまりながら強く思った、次の瞬間―。
「そうか…ならば力を貸そう。」またもや昨晩聞いた声が脳の中に入ってきて、そして
キュイーン。首にさげていたペンダントが突然音をたて光りだしたのだ。
な、なんだ、これ……。
僕はだんだん意識が遠のいていき……そこら一帯を眩しい光で覆い尽くしたのだ。
「なんだったんだ…今のは…!」
不良達は伏せていた目を開け何が起こったのか確認した。
「お、おい…あれ…」
その先には闇と言っても過言ではない何か黒いものをまとった『斎藤直樹』がいた。
不良達は危険なオーラを感じ取り、少し後ずさったがここで引き下がるわけにもいかず、
「なにしてんだ!早くやっちまえ!」
リーダーの男の怒声とともに一斉に『斎藤直樹』に襲い掛かった。
その勢いもつかの間、一人の男が一瞬にして壁に打ち付けられ気絶した。
誰も何が起こったのか分からず、ただ唖然とその打ち付けられた男と打ち付け
た男、『斎藤直樹』を見るだけだった。
「なんだ、来ないのか?なら今度はこっちから行かせてもらう」
そして秒殺と言っていいほどに残りの3人はやられた。
「あとはお前だけだな。」
『斎藤直樹』はそう告げると最後に残ったリーダーに少しずつ近づいて行った。
「や、やめてくれ!も、もう二度としないから…!」
「ここに来て命乞いか…情けない…」
リーダーの胸ぐらをつかみ、そして右手に闇を覆い始めた。
「や…、やめてくれーー!」
叫び声とともに『斎藤直樹』はその右手を振りかざし、心臓に突き刺した…。
光と闇-light&darkness
はじめまして。
初投稿となります。
今回工夫した点は、主人公の「表」のときは主人公目線
「裏」のときは第三者目線にしたことです。
これからの実力向上のため厳しい意見お願いします。
改善点など教えていただけると助かります。