マックスとクランプス

マックスとクランプス

オーストリアの小さな町に、マックスという男の子が住んでいました。マックスはいたずらをしたり嘘をつくのが大好き。友達のモリッツと、クリスマス用のターキーを盗んだり、先生をだましてテストの答えを見たり、いつも周りの人を困らせていました。

そんなマックスにも、1つだけ、こわいものがありました。クリスマスの前にやってくる、鬼のクランプスです。クランプスは、サンタさんの代わりに悪い子の家にやってきて、持っているほうきでお仕置きします。マックスは毎日わるいことばかりしているので、毎年こてんぱんに叩かれます。
12月、また、こわいクランプスがやってきます。マックスは考えました。
「よーし、今年はクランプスをやっつけてやる!」
そう言うとすぐに、友達のモリッツの家に走っていきました。

クランプスのやってくる日が来ました。
「悪い子の気配がするぞー!」
真っ赤なクランプスがマックスの家に近づいていきます。窓からのぞいていたマックスは、にやにや笑いました。
「ふふふ、来たぞ、来たぞ~」

「悪い子はどこだー!!」
クランプスがほうきを持ってマックスの家に入ってきました。
「悪い子の気配がするぞー!」
すぐにクランプスはマックスの部屋を見つけ、その中に飛び込んでいきました。

「悪い子はどこだー!!」
クランプスが部屋に入ると、そこにはなんとサンタさんがいて、マックスにお菓子をあげていました。クランプスは困ってしまいました。サンタさんの来るような良い子のところにクランプスは来てはいけないのです。サンタさんは言いました。
「クランプスさん、良い子のマックスに何の用だい?」
クランプスはサンタさんに逆らえません。謝って、すぐに退散しました。

クランプスは悔しくてたまりません。
「おかしいな~、たしかに悪い子の気配がしたのに...」
すると、マックスの家から声が聞こえてきました。
「やった~、やった~クランプスを追い返したぞ~」

クランプスが窓からのぞくと、マックスとモリッツが飛び跳ねていました。床にはサンタさんの衣装が落ちています。そう、あのサンタさんはモリッツだったのです。
クランプスは怒りました。
「オレさまをだましたな~、許さないぞ!!」
そこへ、1人のおじいさんが、大きな袋をもってやってきました。

マックスの家のベルが鳴ります。マックスとモリッツは考えました。
「あれ? だれだろう」
マックスがドアを開けると、そこにはサンタさんが立っていました。マックスとモリッツは大喜びです。
「やったー! クランプスをやっつけたら本物のサンタさんが来てくれた!」

サンタさんは言いました。
「ほーほーほー、良い子にしていた君たちにおくりものだよ」
サンタさんは大きな袋をマックスとモリッツにわたすと、去って行きました。マックスとモリッツは大喜びです。
「やったー! クランプスをやっつけたら大きな贈り物をもらえた!」

部屋に袋を持っていくと、さっそく二人は袋を開けました。すると、
「悪い子はどこだー!!」
なんと、クランプスが飛び出してきました。マックスとモリッツは逃げ回りましたが、すぐに捕まってしまいました。
「よくもオレさまをだましたな~!」
クランプスは二人を家に連れ帰りました。

クランプスの家にはクランプスの家族が住んでいました。みんな真っ赤で、こわそうな顔をしています。マックスとモリッツはこわくて泣きだしました。
「悪い子にはお仕置きをしなくちゃあなあ」
クランプスはパパクランプスを呼んで、2人のお尻をほうきで叩き始めました。お仕置きをするのがクランプスの仕事です。マックスとモリッツは年が明けるまでず~っと、クランプスにお尻を叩かれ続けましたとさ。

おわり

マックスとクランプス

マックスとクランプス

オーストリアのクリスマスに現れる"なまはげ"をモチーフにして書いてみました。心温まる(?)クリスマスストーリーです。超短編ですので気軽に読んでいただけたら幸いです。感想お待ちしています。(挿絵はオーストリアの友人に描いて頂きました)

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 児童向け
更新日
登録日
2013-04-12

CC BY-ND
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CC BY-ND