怪盗紳士ルパン
怪盗紳士ルパン
モーリス・ルブラン作の怪盗ルパンシリーズの第一作目です。
図書館に行くと児童書はたくさん出てますが、一般書で大人向けの本は少ないです。
日本では子どもの読むものという位置付けがあるのでしょうか?
残念です。
大人がエンターテイメントとして読むのにちょうどいいと思います。
最初の話でいきなりルパンは逮捕されます。
天敵のモリエール警部が捕まえるという設定です。
捕まったらもう終わりじゃないかと思うのですが、それからルパンの活躍は始まります。
脱獄して皆をあっと言わせるところなど、怪人二十面相を思い出します。
ルパンはパリっ子という設定だけあって、フランスを知らないと地名などがちんぷんかんぷんです。
地図を見ながら読むと楽しめるかもしれません。
実在の地名が使われてます。
ホームズが出てくる話がありますが、これはちょっといただけないなぁと。
ホームズはコナン・ドイルの作り出した人物だし、他の作家が動かすホームズはどうかと思います。
これだけはいま読むとしっくりこないですね。
子どもの頃はおもしろく読んでたんでしょうけど。
物語の主人公がルパンだったり、ルパンじゃなかったりと、一定してません。
なのでだまされます。
一人称の人物が誰なのかを考えないで読んでると後でなるほどとなります。
話を複雑にさせてるのが、ルパンの友達が出てくるところで、この人物を通してルパンが語られるところです。
ルパンから聞いた話を皆さんにお聞かせしますという主旨で、一人称が友達になるのです。
なぜこんなに複雑にしたかは不明ですが、児童書ではこの設定は無視されてます。
そもそも児童書では複雑なことはすべて省略されています。
それがやはり残念です。
この第一作を読んでいると、ルパンが失敗することばかり出てきます。
詐欺師にだまされ、警部に捕まえられ、殺人犯にされるなどなど。
この作家はひねくれてますね(笑)。
ユーモアとでもいうのでしょうか。
後の作品のふせんとなるらしいので、初期作品としては成功したのでしょうね。
雑誌とかに一作品ずつ掲載したとしたら、読者の虚を突くのは当然です。
乱歩の作品もそうですが、読者につまらないと言われたら続きは書けませんからね。
そんなわけで、まずまずの出来といったところです。
怪盗紳士ルパン