ラブレター
ザ・インタビューズの「300文字小説グループ」でのお題です。お上手とはいえませんが300文字以内です。
ラブレター
目の前に便箋を置いたまま、ボールペンを握ることすらできない。書くことが見当たらないのだ。告白とは、なにを告白すればいいんだろうか。
「あなたが好きです」
「あなたの親切なところが好きです」
「あなたの地味なところが好きです」
「あなたの振る舞いが好きです」
「あなたの声が好きです」
「あなたの機敏でないところが好きです」
「あなたの時々見せる卑屈な態度が好きです」
「あなたのあなたが知らない不親切さが好きです」
「あなたの友達にからかわれた後の顔が好きです」
「あなたの面白くないふざけたところが好きです」
あなたのことを考えていると、あなたのことがよくわからなくなって、結局白紙の便箋だけが目の前に鎮座している。
ラブレター