ヒーローの意外な一面

ザ・インタビューズの「300文字小説グループ」でのお題です。お上手とはいえませんが300文字以内です。

ヒーローの意外な一面

 久しぶりにデパートに行った。昔は眩しかったレストラン街も、今では様変わりしている。外の遊園地スペースも狭くなり、季節柄ビアガーデンのほうが広くを占めている。
 そういえば、お出掛けだから一張羅を着せてもらっていたな、と思い出した。母からすれば「一張羅なのに」と思ったことだろう。でも、怒られなかった。貧乏だったから、大目に見ていてくれたのかもしれない。
 ヒーローショーが行われていた。典型的な簡素な芝居だ。この暑いのにご苦労様、とやり過ごそうとした。しかしふいと頭をよぎった。彼らが一仕事終えたあと、頭だけ脱いで一服する姿が。その姿を見たいと思った。もしかしたら恋に落ちるかもしれないと、少し思った。

ヒーローの意外な一面

ヒーローの意外な一面

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-04-10

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