ヒーローの意外な一面
ザ・インタビューズの「300文字小説グループ」でのお題です。お上手とはいえませんが300文字以内です。
ヒーローの意外な一面
久しぶりにデパートに行った。昔は眩しかったレストラン街も、今では様変わりしている。外の遊園地スペースも狭くなり、季節柄ビアガーデンのほうが広くを占めている。
そういえば、お出掛けだから一張羅を着せてもらっていたな、と思い出した。母からすれば「一張羅なのに」と思ったことだろう。でも、怒られなかった。貧乏だったから、大目に見ていてくれたのかもしれない。
ヒーローショーが行われていた。典型的な簡素な芝居だ。この暑いのにご苦労様、とやり過ごそうとした。しかしふいと頭をよぎった。彼らが一仕事終えたあと、頭だけ脱いで一服する姿が。その姿を見たいと思った。もしかしたら恋に落ちるかもしれないと、少し思った。
ヒーローの意外な一面