詩。
ああ、吐しゃ物です。

ああ

思い返せば毎日のように会っていた
あなたとは随分昔から知り合いな気はしていた
あるとき思ったんだ
あなたとなら向き合えるかもしれないと

ついに

あなたの前に立ったとき寒気がした
目が合った瞬間がわたしと初めての邂逅
澱んだ瞳に虚無が見えたとき
確かあなたはこう言った

「ずっと待っていたよ」

刹那

わたしのすべてを奪われた
悲痛な叫びを上げながらわたしを残して去っていく
一縷の雫が落ちたとき
わたしはあなたの声を聞いた

「苦しいよ」
「助けてよ」

ほら

心配しなくていいんだよ
あなたにはわたしがついているから
泣かなくていいんだよ
わたしがあなたを守るから

きっと

届かないはずの声に
あなたははたと立ち止まる
残忍な笑いを私に着せると
身を裂く銀に美しい赤を差した

「ありがとう」
「ごめんね」

ねえ

苦しんでもいいんだよ
わたしにはあなたがついているから
泣いたっていいんだよ
あなたがわたしを守るから

やっぱり

その声は届かないから
わたしはあなたを割り砕いた
落ちた幻想に無数の雫が散った
残忍な笑みを着せられたまま

「さようなら」
「また会おう」

……

思い返せば毎日のように嫌っていた
わたしとは随分昔からすれ違っていたね
でもやっと今気付けたよ
あなたと向き合うことは出来ないと

そうして

何度も何度も繰り返す

毎日こんなこと考えてます。

僕の、鏡についての、散文詩。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-03-31

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