きのこたけのこ戦争
春が終わる前に投稿したかった話を。
お題は「きのこVSたけのこ」「福神漬け」「軍人」です。
文芸部に入って初期の頃に作ったものをすこし変えました。
ギャグです。思い切ってふざけましたがお口に合うかどうか……
リラックスして構えずに読んでください。
「俺、この戦いから帰ったら、こいつと結婚するんだ」
常に持ち歩いているペンダントの写真を見ながら、ソイツは言った。幸せそうな顔をしていたが、次の瞬間には戦士の目に戻り、この部屋を出て行った。
20××年現在、きのこVSたけのこの時代を迎えていた。両者とも、山と里という、宝とも言えるべき領地を賭けて。
きのこ、たけのこ族の男達は、全員軍人として駆り出され、己の命を戦場に捧げる。俺たちは脆い。チョコレートが溶ければ命は尽きる。そういう意味では、チョコ層の薄い俺たちたけのこ族よりも、頭が分厚いチョコで覆われているきのこ族の方が有利だった。しかし、両者の力量は五分五分。この戦いはそう簡単には終わらないだろうと俺は踏んでいる。
たった今出て行ったアイツも、相当の手練だ。それに、周りの奴らよりもチョコ層が厚い。すぐに手柄を立てて戻ってくる。そう思っていた。
――刹那
「ぐっ……があああああああ!」
アイツの叫び声だった。俺は急いで部屋を出た。
そこには、チョコを溶かされ、絶命したアイツと――
戦場には似つかわしくない、淡く美しいピンク色をした集団がいた。それは――
「なっ……期間限定隊……だと……?」
俺はその場に立ち尽くした。期間限定隊は、こちらにもある。しかし、うちの隊はまだ準備ができておらず、戦場にさえ到着していない状況だ。それなのに。
「きのこの奴らは、こんなにも早く隊の用意ができるのかっ! しかも……この春一番人気のいちごミルク味だと!?」
勝てるわけがなかった。ノーマルな味の俺たちより、優しい味で、ほんの少し甘酸っぱさを帯びた奴らの方が数倍、いや、何十倍も上なのは明らかだった。
「くっ……そおおおおおおお!」
俺の叫びは、虚しく中に木霊した……。
「……ていう感じのCM、今度どうよ?」
注文したカレーを食べ終え、福神漬けをだらだらと食べながら、俺の同僚は言った。
「……その案が通ると本気で信じてるお前を俺は尊敬するよ」
「えー照れんじゃんよー☆」
「……」
俺とおバカな同僚の、とりとめもない昼休み。
きのこたけのこ戦争
僕の技量不足で、組曲Ⅱの後半はもう少しかかりそうです。