いとおそろし、耳鼻咽喉科

いとおそろし、耳鼻咽喉科

いとおそろし、耳鼻咽喉科

どうも扁桃腺のあたりが腫れているようだ。これはかかりつけの内科よりかつて一度行ったことのある耳鼻咽喉科のほうが適切だと本能的に感じた。ちょうど、その日はかかりつけの内科が休診日であった。

はじめにおことわりしておきます。耳鼻咽喉科関係の皆様、申し訳ございません、いい年して咽喉を診られるのが苦手なのです。

小学校の毎年四月に行われる耳鼻科検診で泣き叫び、順番を最後にしてもらってようやく落ち着くという困った子どもで、いまだに内科で咽喉が赤くなってないか程度の診察でも抵抗感を示してしまい、医師が困った顔をする。かかりつけの内科の医師はもう慣れたという感じだが、さすがに最初の頃はあからさまに困惑していた。

しかも今回は本家本元、耳鼻咽喉科に直接乗り込むのである、自分の中の本能が「内科より耳鼻科のほうがイイって」と囁いているので抵抗できずに耳鼻咽喉科へ来たのだが、やはり本家はすごかった。

内科で咽喉を診られるのはずいぶん慣れた。しかし、ここではさらにもう一段奥の咽喉を直接診ようとする行為に出られ、こみ上げる嘔吐感に耐えられなかった。これももう一度やり、また失敗した。恥ずかしいことこの上ない。
以前に来院した際に、内視鏡で咽喉を診るという診察を受けた。これはこれで苦痛なのだが、コツをつかめば直接喉の奥の奥を診られるよりも楽なのだ。医師もまだ手はありますよと言い、鼻腔に麻酔をし、内視鏡の管を通していく。2度目の検査なので、前回よりも少し楽だった。
医師からの説明が終わり、全部終わった、と思った瞬間、のどの奥に消毒薬を突っ込まれた。いや、塗布されたというべきなのだが、あまりの不意打ちにまた拒否反応を示してしまった。

診察が済み、医師に詫びて診察室を出たが、医師の顔に笑みはなかった。

この年にして、いまだに耳鼻咽喉科の診察をまともに受けられないとは…我ながら情けなくなりつつ病院を後にした。
あの、咽喉を診られる時の、オエッと感は、どうにかなりませんものかね…単に自分が我慢弱いだけですか…。

いとおそろし、耳鼻咽喉科

いとおそろし、耳鼻咽喉科

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-03-29

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