文学な日々
-プロローグ-
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2013年4月中旬
「あ~どんな部活にすればいいんだろう」
烏丸徹は仮入部用紙を見つめながらそう独り言を漏らした。放課後の誰もいない教室で。
ガラガラッ
教室のドアが開く音がして、1人の少年が入って来た
「お~!徹まだ帰ってなかったのかよ。いったい何してんだ」
この男の名前は木屋町茂。烏丸徹の中学以来の友達である。
徹「あぁ茂か。いま部活決めかねてるところなんだ。」徹は返事をする
茂は怪訝そうに徹を見つめ訊ねる。
茂「なんで放課後残ってまで?別にすぐに決めなくてもよくね?」
徹「そういうわけにもいかないんだ」
徹は理由を説明しはじめる。
徹「…ほらっ俺って中学時代、部活も委員会も何もしなかったろ?それで入学前母さんにこう言われたんだ。『高校では心を入れ替えて何か新しいことを始めろ』って。しかも一週間以内に。」
茂「一週間以内?」
徹「あぁ一週間以内だ。困ったもんだよ…」
茂は徹の持っている仮入部の紙をじっと見つめる。ラグビー部、野球部、サッカー部…など。名前と顧問の判子が押されていた。
茂「運動部ばっかりじゃん!お前はどっちかって言うと文化部タイプだろ。たまの休みに俺とスポーツしてもてんで相手にならなかったじゃん。」
徹「どうやって決めたらいいかよく分からないんだ。まず文化部がどんな感じなのかも知らん」
茂「…仕方ないな。じゃあ今から部活見学に付き合ってやるよ。俺も文化部に入ろうと思ってるクチなんでね」
徹「え?お前は中学時代テニス部だったからてっきりテニス続けるのかと思ってたよ」
茂「違うんだなぁ徹さんよ。俺は文化部という未知の領域も体験してみたいんだ」
徹「お前…中一の時も『テニスガールが好き』とかいう理由でテニス部入ったよな?まぁ運動得意だから結果的には区大会ベスト8と大活躍だったが…」
茂「まぁまぁ動機なんて人それぞれっしょ。それに終わりよければ全てよし」
徹「でも最終、彼女の1人も出来なかったよな?」
茂「おまっそれを言うな!」
徹「ははっ悪い悪い」
2人はその後笑い合った。
徹「じゃぁ部活見学に行くか」ドアを開けて廊下に出た
文学な日々