気付いてよ...バカ -1-
はじめまして。
林檎です(・△・)ゝ
初めての作品です!!
更新が遅くなったり、
本編が長くなってしまったりしてしまう
ことがあるかもしれません。
でも、是非読んでください(>△<)
よろしくお願いします!!
幼なじみな私たち。
生まれつきの茶色い髪は
天パなのか、いつもふわふわしてて
キレイな二重を隠してしまうけれど、
黒ぶちメガネも、彼によく似合っている。
鼻もスッとしてて、唇も薄くて、
申し分のない容姿。
中学・高校時代は常に学年首席で、
今通っている大学だって...
難関大学なはずなのに、推薦で入れてしまう
誰もが羨む学力。
初めてやる事だって、
すぐにコツを掴んでしまう器用さ。
でも、その事を彼自身があまり興味ない。
そのおかげで彼は人気者だ。
彼は誰にでも平等に優しいのだ。
...さて、以上のことを聞いて
何人の人が彼に惹かれていくのだろうか。
今まで、何十人も人がそうなっていた。
私だって...そのうちの一人だ。
でも...“容姿端麗”“才色兼備”
そんな“完璧”な彼は、
実は“他人に興味がない”“無関心”で
“言いたいことをはっきり言う”
“変人”だと聞いて、
その意味を理解した時、
いったい何人の人が彼に抱いていた
恋愛感情をなくすのでだろう...
たぶん99%の人がそうなる。
だが私は...その残り1%の方だ。
たくさんの人混みをかき分け、
見覚えのある後ろ姿を追いかける。
あと少し...
そう思って手を伸ばした瞬間、
彼は後ろを振り返り、
「残念でした。」
昔から変わらない笑顔で、そう言った。
「...もう、奏ちゃん!!」
その笑顔にときめきつつ、
昔から変わらない呼び方で彼を呼んだ。
井上奏哉(いのうえ そうや)、
先程話した完璧であるが、変人な彼。
そんな彼に想いを寄せているのは
岡野夢空(おかの むく)こと、私自身。
「なんで、いつも気付いちゃうの??」
「えっ、なんでって言われても...」
「私、これやってて気付かれちゃうの
奏ちゃんだけなんだよ??」
彼は、他の人が気付かない事を気付く。
「んー、強いて言うなら
夢空だから分かっちゃうのかも。」
「なっ!!」
「あっ、授業始まる。またね。」
「...。」
私がその場に立ち尽くしてると、
後ろから友達にド突かれた。
「痛っ!!」
「もう、急に走り出さないでよ。
探しちゃったじゃん。」
「ごめん。奏ちゃんがいて...。」
「はいはい。また“奏ちゃん”ね。」
彼女は、椎名由仁(しいな ゆに)
「ごめんってー。」
「別に良いですよー、
私は何年経っても“奏ちゃん”には
勝てませんからー。」
「由仁ぃ...。」
「嘘よ。で、奏哉は??」
「授業だって。」
「そっか。
何年経っても報われない片想いだね。」
「常に一方通行です...。」
私と奏ちゃんと由仁は幼なじみ。
そして、ありがちな展開で
私は昔から奏ちゃんが大好き。
でも、奏ちゃんは気付いてない。
「自分で言ってて虚しくならない??」
「まぁ、そうなんだけど...」
「今年で13年だよ??
よく冷めないね、あの変人に。」
大学2年生になったばかりの私たち。
「冷めないよ。
だって...奏ちゃん大好きだもん。」
「ふーん。まぁ、そうこなくっちゃね。
夢空、次授業は??」
「1時間後に心理学。」
「私も。
ちょっと早いけど、お昼にしない??」
「賛成。」
そう言って私たちは学食に向かった。
「で、さっきは何で立ち尽くしてたの??」
「えっ...」
「奏哉に何か言われたんでしょ??」
「まぁ...でも、そんな大した事じゃ...」
「聞かせてよ。
夢空がそう言う時って
実は、聞いてほしい時でしょ??」
「...由仁は私の事、
本当に分かってくれてるんだね。
そんなに私のこと好き??」
「...気持ち悪いこと言わないでよ。」
「気持ち悪いって...」
「んで??いつも通り、
奏哉にド突こうとしたんでしょ??」
「うん。そしたらまた気付かれちゃって、
なんでって聞いたの。そしたら...」
「そしたら??」
「夢空だから分かっちゃうのかもって...」
「はぁ...相変わらずだね。」
奏ちゃんはよく、無意識のうちに
期待を持たすような事を言う。
「...。」
「それで真っ赤になって、
あんなとこに立ち尽くしてたわけか。」
「やっぱり真っ赤だった!?」
「うん。
ちなみに、今も赤いよ。」
「...最悪。」
「大丈夫、奏哉は気付いてないよ。」
「うん。そうなんだよね。」
「あいつさ、他人が気付かなさそうな事は
すぐに気付くくせに、
他人に丸わかりな事は気付かないよね。」
「うん...天然なんだよね。」
「...夢空が奏哉のこと好きなんて
周りの人みんな知ってるのに。」
「うん...って、えぇぇ!?」
「えっ、何...知らなかったの!?」
「知らなかったよ!!」
「はぁ!?...信じられない。」
「えっ、いつ頃から!?」
「...知らないわよ。」
「本当に!?」
「...まぁ、1年の頃くらい??」
「うわぁ...死にたい。」
「まぁ、良いじゃない。
みんな協力してくれてるしさ。
いろいろとやりやすいでしょ??」
「いろいろ??」
「...まさか夢空、去年の学祭の休憩時間、
たまたま奏哉と一緒だと思った??」
「うん。」
「はぁ...信じられない。」
「ちょっと、それ2回目なんですけど!?」
「じゃあ...あれは!?
よく視聴覚室で奏哉の横が左側が
2つ空いてるの。」
「えっ、あれもたまたまでしょ??
私、ラッキーと思いながら座ってたよ??」
「はぁ...」
「違うの??
少なくても、奏ちゃんの左側が
よく空いてるのは、奏ちゃんが左利きで
手が当たらない為でしょ??」
「まぁ、半分正解かな...
あれはクラスの人が、夢空あんたに
気を利かせてくれてるの。」
「...えっ、そうだったの!?」
「ダメだな、これは。」
「知らなかった...。
ん??でも、なんで半分正解なの??」
「半分間違ってるからよ。」
「えっ!?」
「まぁ、それくらいは自分で考えてよね。
...あっ。」
「えっ、何??」
「あと10分で授業始まる。」
「嘘!?じゃあ、行かないと。」
「うん。」
私と由仁は次の授業のために
移動をし始めた。
早く行って、
先生の死角になる場所を確保しないと!!
気付いてよ...バカ -1-