ミッドナイトドキュメント・ドールボーイの日々

空前の子役ブームに沸く芸能界。けれども人気子役と言われるのはほんの一握り、毎年数多くの子役が檜舞台に立つこと無く消えていったり、脇役で終わったりします。そして今日紹介する子役たちはその中でも特に目立たない、いわば知られざる存在。彼らの子役としての日々を追うドキュメンタリー風に、今回はお送りします。真夜中のブラウン管の前、落ち着いた女性ナレーションを聞いているつもりでお楽しみください。
(この作品はフィクションです)

 最近は子役ブームと言われています。中にはテレビで、映画で、雑誌で、引っ張りだこの子役も。その人気と実力は大人のタレントも顔負け。もはや彼ら彼女らの顔を見ない日は無いかのようです。
 でもそんな華やかな世界にありながら、決してその素顔をメディアに見せない子役たちもいます。出番がないわけではありません。彼らは活躍の場がちょっと違うだけで、実はその世界ではトップレベルのプロフェッショナルです。
 彼らのことを、人はドールボーイと呼びます。

 「うわっ、恥ずかしい。あ、おはようございます」
都内のあるスタジオ。ジャージ姿で現れたこの男の子はヒロ君。大丈夫、顔は映してないですよ。小学生のヒロ君は、日本で数少ない特殊子役、ドールボーイです。今日は朝からCMの撮影。ヒロ君の一日を追って見ましょう。
 ドールボーイはほとんどの場合、現場には一人でやってきます。一部の大人気子役にはマネージャーが付きますが、それ以外の子役の多くは保護者に付き添われることが多いのです。でもヒロ君は一人でやってきました。
「お母さんとかに見られるの恥ずかしいから…」
ヒロ君、とっても恥ずかしがりみたい。うつむいて、ちっちゃな声でしゃべります。児童劇団に入っている子たちの多くはカメラが回ると積極的に自分をアピールしてきますがそれと対照的です。でもヒロ君、こんな調子でCM出演大丈夫なのかなあ?
 「うん、大丈夫」
と、小声だけど急に自信を持って答えたヒロ君、スタジオの隅に作られたカーテンの仕切りの中に消えて行きました。ここがヒロ君のお着替えスペース。でも、着替えを始めてから結構たちます。着るのに手間のかかる衣装なんでしょうか?
 あ、カーテンが開かれました。ヒロ君のお着替えが終わったみたいです。

 …あれ?

 「…」
なんと、カーテンの中から出てきたのは、ピンクのうさぎさんです。こっちに手を振ってますが…ねえねえうさぎさん、ヒロ君はどこですか? え? 
「(ここにいる)」
自分を何度も指差すうさぎさん。ええっと、どういうこと?
 あ、もしかして…。

 そう、このうさぎさんの正体こそ、ヒロ君なのです。
 種明かしをしましょう。このうさぎさん、いやうさぎの着ぐるみを着ているのが先ほど登場のヒロ君。ヒロ君は、着ぐるみ専門の子役、ドールボーイなのです。なるほど、顔が見えないから恥ずかしくないんですね。

 着ぐるみ。動物だったり正義のヒーローだったりときには怪獣や妖怪だったり。よい子には内緒の話ですが、当然中には人がいます。深夜だから言うんですよ?
 それらを着て演ずることを「操演」と言い、操演者のことをスーツアクターと呼びます。スーツアクターは、テレビなどでは顔出しをせず着ぐるみでの出演を専門としている場合がほとんどで、大人の世界では戦隊ヒーローものなどをはじめとして、結構な数のスーツアクターが活躍しています。
 ヒロ君のような子どものスーツアクターが現れたのは、実はそれほど古くありません。それ以前も子供が着ぐるみを着ることはありました。ただ件数が少ないので、劇団に所属する普通の子役が入ることで間に合ってきたのです。
 「今やこの業界では、身体が小さい者ほどエリートなんです」
芸能界に詳しい青峰大学の麦松虎夫教授はこう語ります。専門はメディア論。アイドルやテレビゲームなどの流行を社会現象として研究してきた麦松教授は、ここ数年のドールボーイの台頭の理由について、昨今のキャラクターブームがあると言います。
「もともと着ぐるみの世界では、身長が低いほうが有利とされてきました。子供相手であることが多いので、なるべく背丈を近づけたほうがいいのです。特に最近は、ゆるキャラなどにも見られるように、頭でっかちなキャラクターが増えているのでその傾向はより強くなっています」
自治体などのイメージキャラクターは頭部が巨大です。そのほうが親しみを抱かせやすいのです。しかしその分胴体を短くする必要があり、操演者の身長は低くなければなりません。現在、特撮を除けば多くのスーツアクターが女性なのはこういう理由です。身長百四十センチ台の女性は特に優遇されるといいます。
 着ぐるみ操演に向いた体格のスーツアクターは、各地で引っ張りだこだと言います。ただ最近では需要に供給が追いつかない状態が続いているといいます。
「頭でっかちのキャラクターは、小柄な人が入らないと見かけのバランスが取れません。けれどもそういった着ぐるみが急増したので、大人で身体が小さいキャストの供給が追いつかないのです」
そう語るのは、児童劇団で唯一スーツチャイルドアクター部門を持つ劇団のプロデューサー、早野由香里さんです。早野さんによれば、本来背の低い成人女性が着るはずの着ぐるみを、子役が着るケースもよくあるのだとか。
 しかも、最近では大人のスーツアクターには対応できない新たな需要が増えてきたと、早野さんは言います。
「着ぐるみ自体の全長が百四十センチを下回ると、いくら背が小さいといっても普通の大人では着ることができません。演出の都合上、どうしても子供並みの身長である着ぐるみを登場させる必要というのは昔からありました。その際には当然子役を使うわけですが、件数が少ないので普通の顔出しで演技をする子役が兼任することで需要が満たされていました」
ところが近年、極端に小さなサイズの着ぐるみが急増したため、着ぐるみ専門の子役が必要になってきたというのです。

 「こんにちは」
「あ、ナナちゃんこんにちは」
土曜日の午後、劇団の最寄り駅。ヒロ君同様、ドールボーイとして活躍するナナ君です。ドールボーイとして苦楽を共にする仲間であると同時に、プライベートでも仲良しなんだとか。二人はこれから地方のイベントに出演するため、前日に現地入りして宿泊する、いわゆる前乗りをするのです。
 そして今日はもう一人、プロデューサーの由香里さんが帯同します。普段は自分たちでなんでもするドールボーイですが、泊まりの時には大人が付きます。でもいわゆるマネージャーや付き人ではありません。ドールボーイは自分で荷物を運びます。ここでの由香里さんの主な仕事はチケットの手続きなどと、保護者としての役割です。
 「イベントが一番楽しいです。旅行できるのもうれしいし、いろんな人とふれあえるから」
新幹線自由席の車内でそう語っていたヒロ君たち三人は、今宵の宿に到着。コンビニで買ったお弁当を手に、ビジネスホテルに入ります。ドールボーイたちは本当に質素。移動だって今日みたく新幹線や特急に乗れればいいほう。高速バスでの移動も珍しく無いのだとか。
 もう夜も更けました。これからはつかの間の休息。明日は朝からイベントです。

 翌日。出演の役者さんとは別のスタッフ入口から会場入りし、倉庫で着替えます。ヒロ君とナナ君、男の子にしてはかわいらしい格好のピンクやパープルをベースにした運動着です。
「役作り、役作り」
ナナ君の言葉の意味は、あとで分かります。

 大阪、日本橋。東京は秋葉原にたいする、西を代表する電気街です。ここで行われるあるイベントに、二人は出演するのです。
 アイドル戦士ユリ&ショーコ。アミューズメントショップの子供向けカードゲームから生まれたヒロインで、子供たちに大人気。今や家庭用ゲームはもちろん、様々なメディアでの展開も広がっています。
 ごく普通の小学生、ユリとショーコ。ある日魔法の国の使いが現れ、地球を悪の手から守るための戦士になってほしいと二人に頼みます。使命を受けた二人はアイドル戦士に変身、アイドルスーツと呼ばれるコスチュームを身にまとい、歌と魔法を武器に悪と戦うことになります。今日はこの作品がアニメ化されるにあたってのお披露目イベント。出演声優や主題歌を歌うアイドルユニットも招いての、トークイベントやミニライブがあります。
 でも、観客席に集まった沢山の子どもたちが一番楽しみにしているのは…。

 他の出演者たちがひととおりステージに登場したあと、
「さあいよいよ、このアニメのメインヒロイン、ユリとショーコの登場です!」
会場が一気に沸きます。子どもたちの歓声は今までにないほど大きなものです。それに迎えられて現れたのは…。
 アイドル戦士に変身したユリとショーコ。原色のキラキラ光る素材の衣装が眩しくて綺麗で、でも女の子らしい可愛さも満載です。ただ、にこやかな表情で手を振る二人の笑顔が一切動きません。これって…。
 そう、登場したのは、ユリとショーコの着ぐるみなのです。着ぐるみといってもぬいぐるみに限りません。マスク、または面と呼ばれる、フルフェイスのヘルメットのように頭部全体にかぶるキャラクターを形どったものとそれに付随する衣装もそう呼ぶのです。
 続いて出てきたのは、ユリとショーコに魔法の力と可愛らしいアイドルスーツを与えた魔法の国の使い、ロボ子。名前はちょっとダサいですが、スタイルはスッキリ。まるでファッションモデルみたいです。もちろんこちらも着ぐるみ。FRPと呼ばれる石油から作られた材料をもとにした、メタリックな仕上がりですが、こちらも着ぐるみと呼びます。
 ロボ子は、ユリとショーコにいつもついて回り、二人のサポートをする役柄。だから着ぐるみを作成する際にはロボ子も外せません。でもそうすると、人間の大人と同じくらいの大きさであるロボ子と、小学生であるユリやショーコとの身長差が問題になり、ユリとショーコは大人に演じられないということになります。そこで…。
 そう。ドールボーイの出番です。いまステージで愛嬌を振りまいているユリとショーコの中身はヒロ君とナナ君。ナナ君が言っていた「役作り」とはこういうこと。女の子を演ずるため、前もって女の子っぽいピンクやパープルの服を着て気持ちを高めていたんだそうです。

 着ぐるみ子役は、スーツチャイルドアクターという呼び名もありますが、ドールボーイとも呼ばれることで分かる通り、ほとんどが男の子です。由香里さんはその理由をこう説明します。
「男の子のほうが成長期が遅いので、そのぶん活躍出来る期間が長いんです」
小学校五年生から六年生頃にかけて、女の子は男の子より早く成長期に入り、背が急速に伸びるようになります。それが少し遅れる男の子のほうが、強力な武器である身長の低さをより長く利用できるのです。
 でも実際のところ、着ぐるみになっているキャラクターには女の子が多いのが実情です。
「女の子のキャラのほうが同性にも異性にも好かれますし、女の子ということで身長を低めに設定すれば当然中身も子どもでないといけなくなります。だから女の子の役と対応した女の子の役者が足りなくなるのです」
仮に着ぐるみ子役を男女半々にしたとしても、女の子の着ぐるみを着る男の子が必要になると言います。でも由香里さんは、それは不安材料ではないと言います。
「女の子らしい振る舞いができるよう、日々練習させています。というかむしろ、男の子が女の子役をやるほうが、おしとやかに見えるんです」
意識的に女の子の仕草をしようとするからなんだそうです。そしてその成果はしっかり出ているようです。ヒロ君とナナ君、すっかりユリとショーコになりきっています。とても、中身は男の子だなんて思えません。
 ところで、こんな感じで本番前にインタビューに応じてくれていた由香里さんの姿が見えませんが…。
「…」
こちらに手を振って合図してくれたということは…どうやら、ロボ子の中に由香里さんがいるみたい。由香里さんも元はスーツアクター。今もこうやって自分も着ぐるみの中に入って、ヒロ君とナナ君をサポートしているんですね。

 ステージが終了しました。でも今日のお仕事はこれで終わりではありません。会場スケジュールの都合で、今日は夕方から名古屋でもイベントがあります。三人はすぐ移動してステージをこなさなければなりません。
「お疲れ様」
ステージから下りてきたヒロ君たち。スタッフに声をかけられても愛想よく会釈をします。でもゆっくりはしていられません。すぐ出発の準備です。
 椅子に座って、面に手をかけるヒロ君。
「ふはぁ」
面の下には肌色の全身を覆うタイツを着ています。この全身タイツはほとんどの着ぐるみでベースとなるものです。ほとんど自分の肌そのものと同じように扱います。全身タイツにもいろんな形がありますが、ヒロ君たちは顔全部を覆う、ちょうどストッキングを頭にかぶったようなものを着用します。外からは目も口も見えません。
「着ぐるみは、しゃべってはいけないので、うちではすべてのドールボーイにこれを着せています」
ロボ子のコスチュームから顔だけ出した由香里さんがそう説明します。少しでも口を開けるのが大変なように、という配慮なのだそうです。でも本来露出して熱を放出すべき箇所である顔を布でおおった上に面を被るのですから、暑さは相当なものです。ヒロ君達は汗でびっしょり。タイツが濡れて変色しています。それでも外に露出している部分に汗をかいていないのはさすが役者といったところです。
 でも、タイツを濡れさせる原因は汗だけではないんだとか。
「直接お客さんと接するイベントですから、万全を期して、声が出せないようにするのです」
これは、練習用のプラスチック製ゴルフボール。この穴に紐を通して口にくわえさせます。
「これなら呼吸も出来ますから。よだれが出るのは難点ですが、タイツに吸わせますので」
だから今のヒロ君とナナ君はしゃべれないし、口にはボールがくわえられています。恥ずかしいだろうから、映さないでおいてあげましょうね。

 着替える暇はないので、全身タイツの頭部だけ脱ぎ、コスチュームの上にウィンドブレーカーを着て移動です。暑さで顔が真っ赤にほてっています。とにかく大変そうですが、実はドールボーイを続けるにあたって、一番大変なことが別にあるといいます。
「トイレに…行けないから」
 実は、ドールボーイたちは操演の際、おむつをしています。
「衣装が、着たまま用を出せるような作りになっていないんです」
着ぐるみの多くにはトイレ用のチャックがありません。見栄えを良くするためというのもありますし、開口部は少ないほうがコストダウンになるのです。
そしてこのコストダウンという発想が、子役の着ぐるみが増える背景にあるという指摘もあります。青峰大学の麦松教授はこう言います。
「身体が小さければ材料費も削減出来ますし、何より子役は人件費の面で有利です」
これは、ドラマなどに出演する子役にも言えるでしょう。子役の活動はそれがお金儲けのためでないことを示すため、出演料が安く抑えられているのです。しかし着ぐるみ子役の場合、コスト削減というのは本当の理由ではないとも、教授は言います。
「むしろ、小さな着ぐるみを世の中が求めているというのが大きいでしょう。ちっちゃい、かわいいものが受ける傾向は日本ではずっとありますし、最近になってそれが強まったとも言えます。あるいは、バーチャルなものが流行る中でそれへの反作用で着ぐるみが受ける、あるいはコスプレ文化が子を持つ親世代にも浸透し、その延長で着ぐるみを着る子どもに対して理解が深まったとも言えるなど、色々な理由の推測が可能です。いずれにせよ、彼らは経済的理由以外の、時代の強い要請に答える形で現れたと考えるのが自然ということです」

 (おむつ、恥ずかしくない?)
「うん、でも、おもらししちゃうよりいいから…」
はにかみながら答えるヒロ君。由香里さんがフォローするように続けます。
「大人より我慢できる時間が短いですし、かといって子役のトイレにあわせてスケジュールを変えるのも効率良くないですから。それに汗を大量にかく仕事ですし、水分が少なくて脱水症状になるよりは多めに水分を摂って余ったぶんを出すほうがいいです。大変だけど、言いつけを守ってくれるいい子たちですよ」
 しかしこういった過酷さゆえ、ドールボーイの存在は常に、ある批判と隣り合わせだと言います。由香里さんにそれを聞いてみました。
(児童虐待ではないかという批判は?)
「直接現場には聞こえて来ませんが、あるかもしれませんね」
だからこそ、ドールボーイの存在は目立った形で喧伝されて来なかったというのもあります。今回、テレビで取り上げられることには劇団内での抵抗や反対もあったと言いますが、それをあえて受けたのは、断じて虐待ではないという自信があるからだといいます。
「それを言い始めたら、すべての子役が虐待されていると言っていいと思います。映画などの宣伝で出ずっぱりになったり、バラエティーのコメンテーターになったりというのは、果たして子役がやるべきことでしょうか? 身長などの理由で演出上子どもを使うことが必要な場面だからこそ子役を労働基準法の特例で働かせることができます。その必然性はむしろドールボーイたちにあると思います」
麦松教授のコメントが由香里さんたちドールボーイに関わる大人たちの思いを代弁してくれています。
(でも、着ぐるみを着ることは体力的により過酷なのでは?)
これについても麦松教授は異を唱えます。
「汗だくになったりすることがそなわち肉体的な苦痛と接続するかどうかも疑問ですが、ただスポーツで汗を流すのと着ぐるみで汗を流すことはどう違うのか、さらには演技のレッスンで子役が汗を流すこととどう違うのか、というと難しいと思います。それに毎日顔をマスメディアに晒し続ける人気子役たちの精神的なストレスのほうがより重大かもしれません」
 ドールボーイの人数は決して足りているとはいえませんが、学校の休みをすべてつぶすような無茶なスケジュールは組まず、勉強などが阻害されないよう配慮していると言います。今でもドールボーイで足りない分は普通の子役が着ぐるみを着ます。そんな中、より大変な部類の仕事がドールボーイにあてがわれることは否定出来ません。ふたたび由香里さんのコメントです。
「大変だけど、みんな楽しんでいます。この子たちにとっては、これがやりがいだし、生きがいなんです」

 名古屋でのイベントも終了した翌日。三連休の最終日、ヒロ君達は粋なご褒美をもらいました。
「デート」
はにかみながら答えるヒロ君。宿泊を名古屋から少し外れた遊園地の近くにしてもらい、今日はナナ君と一緒に遊びに行くのです。でも、そのかわり…。
「これからずっとユリちゃんやるから、その練習」
ロリータ服と呼ばれる、フリルが全身についたドレス。二人はこれを着て、一日過ごします。オフでも仕事を忘れないなんて、えらいですね。
「うーん、それもあるけど、かわいいお洋服好きってのもあるよ。それに変身するみたいで楽しいし」
ナナ君がにやりとしながら言います。ヒロ君もうなずきます。本当にドールボーイの仕事を楽しんでいるんですね。
 テレビや雑誌という、子役の世界を闘う戦士につかの間の休息。行ってらっしゃい。

ミッドナイトドキュメント・ドールボーイの日々

 最近の子役ブームすごいですね。ドラマや映画ばかりでなく、バラエティや歌番組にも活躍の場を広げていますし、ということはこんな子役もいていいんじゃないか、と思って書いてみました。実際、子どもが入っているんじゃないかと思う着ぐるみをテレビで見ることがあります。もしかしたら、このままちっちゃな着ぐるみが増えて行ったらこんなこともありうるのではないか、そんな思いで書きました。
 ちなみにこのドキュメンタリー、後半で編集方針が変わったことを素直に吐露しています。というかジャーナリズムって本来そうなんじゃないかって思うんです。丹念な取材の結果、一定の結論を得る。でも実際ははじめに結論ありきの報道がマスメディアに溢れている気がするんですね。そうじゃない、本当のルポルタージュのいち典型を拙い筆ながら表現してみたかったというのもあります。ほんとうに最近は良質のドキュメンタリーが日本のテレビから減ってしまいました。
 これは小説ですので、当然フィクションです。着ぐるみ専門の子役は存在を確認していませんし多分実在しないでしょう。また着ぐるみ業界に関する分析(最近背の低いスーツアクターが引っ張りだこ云々、そしてその理由は云々)というのも、作者が頭のなかで考えた設定でしかありません。

ていうか!

金子あづみはどうなった、という声もあるかと思います。ええと、実はまだまとまりきってないんです…。まぁ、儀間の小説を継続して読んでくれている方がいらっしゃるかどうか分かりませんが、もしかしたらいるかもしれないそういう方には、
「もう少しお待ちを。ちょっと道草しちゃいました」
ということでご勘弁の程を。

ミッドナイトドキュメント・ドールボーイの日々

空前の子役ブームに沸く芸能界。けれども人気子役と言われるのはほんの一握り、毎年数多くの子役が檜舞台に立つこと無く消えていったり、脇役で終わったりします。そして今日紹介する子役たちはその中でも特に目立たない、いわば知られざる存在。彼らの子役としての日々を追うドキュメンタリー風に、今回はお送りします。真夜中のブラウン管の前、落ち着いた女性ナレーションを聞いているつもりでお楽しみください。 (この作品はフィクションです)

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-03-24

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