死者の身代金
死者の身代金 1984
修道士カドフェルシリーズの第9作目、死者の身代金(Dead Man’s Ransom)です。
物語はにわかに政治色が強くなってきました。
シリーズの最初から女帝モードとスティーブン王の権力争いが描かれていますが、ここにきてカドフェルもその争いに巻き込まれます。
州の執行長官が戦の混乱でいなくなってしまいます。
副執行長官であるヒュー・ベリンガーは、土地を守らなければならなくなり(執行官は警察みたいな立場)、カドフェルにウェールズまで行ってくるように頼みます。
カドフェルはウェールズ人で、ウェールズ語がしゃべれるのです。
この当時は英語を話すのはイングランドだけでした。
シュルーズベリ修道院はイングランドとウェールズの境のようなところにありますが、イングランド国内です。
そしてなにやら、またひとつの恋が始まる予感…(笑)。
しかも今回はカドフェルの目の届かないところで!
どうなるかな~?(^^)
微妙な三角関係も匂わせますね。
この作品は珍しくカドフェルの視点がふんだんに出てくる作品ですね。
いままではそれほどカドフェルの考えてることは描写されてなかったんだけど。
それに行間があくのもやけに多い気がします。
一瞬の間があるようで、変な感じです。
物語がますます政治色が強くなるのは時代のせいなのか…。
犯人は意外な人物でした。
なぜ殺害したのかを知ると、残念でなりません。
この作品は意味の分からないというのか、理解できない部分があって、カドフェルにしては珍しいなぁと思いました。
謎解きの一部分で、え?どういうこと?というのがあった。
クリスチナが里子兄弟の関係を話すところです。
あれはきっと大事な告白のはずですが、言いたいところがわかりませんでした。
それ以外にもこの話はウェールズ人の関係性の複雑さを描いているのですが、誰と誰が親子なのかが、さっぱりわからなかった(笑)。
ここまで複雑になってくると私にはわからないなぁ…。
若い男女の恋愛を必ず描くカドフェルシリーズですが、今回は4人も登場します!
この人々の恋愛模様はいかに…?
カドフェルシリーズの醍醐味と言ってもいいかもしれません。
死者の身代金