ー呪われた館ー

エピローグ. 森林公園の奥、さらに奥に大きな館がある。外壁は

勿論外見かなり綺麗できっと大富豪の別荘なんだろう、と市民は

思っていた。だが、ある日子供が行方不明になってしまった。警

察は森林公園で母親と遊んでいたため、館に行ってしまった可能

性が高い、と推測し、館を徹底的に調べた。だが、館に捜査しに

行った警察官、刑事は皆帰ってこなくなってしまった。この不可

解な館を撤去するために解体業者を雇ったが、解体作業をしてい

た人も全員居なくなってしまったという。警察はもう犠牲者を増

やしたくない、との思いで特殊部隊、A(エース)のエリート2人に

協力を依頼した。この時エリート2人はあんな恐ろしい事が起こ

るなんて知る由もなかった。

1. 「なぁ、知ってるか?森林公園の館」「あぁ、知ってるぜ。入

ったら絶対に帰って来れないっていう館なんだろ?」「怖いよな

ぁ、24時間体制で警官2人が館に繋がる道を見張ってるし」「そ

こまで警察がするって事は相当やばいんだろ?俺もう森林公園で

遊ぶのやめるよ」桜が満開の公園で2人の少年の会話が響いてい

る。その会話を近くのベンチで2人の男性が聞いていた。「やっ

ぱりもう有名になってるか」「だな」彼ら2人は自衛隊の特殊部

隊、A(エース)のエリートだ。彼らが出来ない任務は無いと言う

。「確か1週間後だよな?」エリートの1人、岡田純一(おかだじゅ

んいち)は聞いた。「あぁ、それまでに情報収集の猶予が与えら

れた。もし怪物みたいな奴に出くわしたらどうする?」もう1人の

エリート、桑田新一(くわたしんいち)が言う。「それをこの公の

場で言うのは駄目だろ?」「あぁ、確かに」桑田は公の場で色々

喋る事が多い。「まっ取り敢えず戻るか」「あぁ」2人はベンチ

から立ち上がった。そして歩く事30分、彼らが所属しているAの

ところに着いた。ここは道路が少なく交通も少ない。表向きは老

人保護施設に見えるが、実際は地上には何も無い。しかし地下に

アジトがある。「はぁ、疲れた」「歩くだけで疲れるなよ」桑田

はすぐ疲れる。「ちょっとそこの2人」「あっはい」「任務の情

報収集は順調か?」「えぇ、まぁ。ただ一般市民までもが知って

いる事ですので・・・」「だな、新聞の取材に応じるべきじゃな

かったな。あと1週間だ、気を引き締めて臨むように」「はい!!

2. 一週間後、2人は更衣室で戦闘服に着替えていた。「いよいよ

か・・・」岡田は溜息と同時に言った。「何だ?怖いのか?」桑田

は言った。「いや、別に」2人は黒いベンツに乗り込んだ。行き

先は勿論、館だ。「じゃあ任務を確認するぞ。館内の調査が主な

任務だ。もし行方不明者が館内に居た場合、助ける事が優先だが

、無理に助けろとは言わない。俺等は館内の調査だけだ。もし余

裕があったら人質を救う。まぁ館に居るって保障はないが・・・

」桑田は言った。「調査かぁ、なんだか楽そうだな」岡田は楽な

仕事、と思った。「そうか?俺はそうとは思わないが」やがて行

き先の館の入口まで来た。そこには警官2人が扉の前に立ってい

た。2人は車を降りた。「一応車を止めておいてくれ」岡田は黒

服に言った。「はい」2人はゆっくりと館の扉を開いた。そして

館の中に吸い込まれるように入っていった。

3. 「綺麗だな」岡田は呟いた。「確かに、まるで誰かが毎日掃

除してるみたいだ。埃1つもない」「あぁ」2人はマシンガンを構

えながら進む。2人は右に曲がった。すると扉があった。「入る

ぞ」「あぁ」桑田はドアノブを握り、岡田は扉にマシンガンの銃

口を向けた。バタン、扉は勢いよく開いた。それと同時に2人は

部屋に入った。「クリア」・・・「クリア」「ここには何もなし

、か」岡田は溜息を吐いた。「ここは・・・図書室か・・・」桑

田は辺りを見渡していった「広いな」岡田は巡回した。だが何も

手がかりはなかった。「取り敢えず出よう」「あぁ」2人はまた

廊下を歩いていく。パリン、「っ!!?」「今の音」「あぁ、ここ

からだ」2人は扉を見つめた。この部屋から何かが割れる音が聞

こえた。バタン、「クリア」「クリア」・・・2人は静かになっ

た。「見ろ」桑田は岡田に言った。「ん?」「皿が割れている」

「キッチンの上においてあった皿が勝手に落ちる、って事はない

よな?」岡田は言った。「あぁ」2人はもう一度辺りを見渡した。

「クリア」「クリア」2人は部屋をくまなく探した。ペリ、「あ

っ・・・おい!!」岡田は桑田を呼んだ。「どうした!!?」「ここ

・・・」壁を見ると壁に紙が張り付いている。全てはがすとそこ

には扉があった。「隠し部屋・・・」「面白くなってきたな」バ

タン、ガチャ、ガチャ、マシンガンを動かす音が響く。「あっぁ

ぁ」部屋の隅に人がうつ伏せで倒れている。「大丈夫か?」桑田

は近寄った。岡田は万一のことを考え、遠くから銃口を向けた。

「あぁ・・・。この女・・・下半身がないぞ」「なに?」「それ

に・・・腕が・・・変な方向に曲がってる・・・」桑田は思わず

そこから離れてしまった。女は下半身が潰れている。そして右腕

、左腕は変な方向を向いている。右手の指は色んな方向を向いて

いる。女の瞼(まぶた)が開いた。「え?」眼球が・・・ない。女

はこちらに匍匐(ほふく)前進してくる。「ぎゅぎゃぁぁっぁ」女

は奇声を発し物凄いスピードで来る。「退くぞ!!!」岡田は叫ん

だ。2人は部屋から出て扉を閉めた。そして少し離れたところで

銃口を向けた。「あれか・・・」「あぁ、行方不明者が出た理由

がやっと分かった。あの化け物のせいだ!!」バタン、「ぎゅがが

ががぁぁぁ!!!」女は下半身を引きずってくる。「クソッ」桑田

は撃とうとした。「待て!!発砲許可は出てないぞ」「ちっ」2人

は部屋から出た。そして図書室の扉をあけた。そして2人で扉を

押さえた。ドン、ドン、扉にタックルしてくるが、2人の力で何

とか踏ん張った。そして音はなくなった。「はぁ・・・」2人は

溜息を吐いた。「こんな・・・任務は初めてだな」「あぁ」2人

は恐怖に怯えるどころか楽しんでいる。「取り敢えず発砲許可を

要請するよ」「頼むぜ。あんな化け物に素手で挑むなんて嫌だか

らな」岡田は胸元にあるトランシーバーを手に取った。岡田は小

さな声でブツブツ言っている。そして桑田の所へ戻ってきた。「

発砲許可が下りたぞ」「よっしゃぁ!!これで心置きなくいけるぜ

」桑田は手を上げて喜んだ。「取り敢えずアイツを倒さないとな

。アイツが主だとしたらアイツを倒せば邪魔はされない」「恐ら

く皆ここでアイツに捕まったか殺されたか、だろう」2人は図書

室の扉を開けた。そして廊下を歩いていく。

4. 1階をくまなく探し、2階、3階と調査するが、ここで亡くなっ

た人の死体が見つからない。「はっ!!!待て!!」岡田は桑田を止

めた。ここは1階の風呂場に繋がる廊下。先はT字路になっている

。そのT字路の左からあの女が這って来た。そして風呂場に入っ

た。「後を追うぞ」2人は風呂場の前に立った。そして勢いよく

扉を開けた。「クリア」「クリア」2人の声が響き渡る。「なん

でいないんだ?」「恐らく・・・隠し部屋があるんじゃないのか?

」「そうか・・・探すぞ!!」この大浴場から小さな扉を見つける

のは容易い事ではなかった。だけど20分探してようやく見つけた

。「あったぞ!!」隠し部屋は浴槽に有った。「ここから入るって

いうか降りるって言うか」2人は見詰め合った。「お前、先行く?

」桑田は聞いてきた。「いいよ、俺行く」岡田はマシンガンを構

えて隠し扉から垂直に落ちた。ドシン、下で音が聞こえた。「大

丈夫か!!?」桑田は乗り出して聞く。「あぁ、大丈夫」「分かっ

た。俺も行く」そして桑田も降りた。ドシン、「うぐっ」「大丈

夫か?」「あぁ、って何だこれ!!?」人間の骨だろうか?小さな粒

が広がっている。2人は骨を潰しながら進む。「気味悪いな」「

あぁ」依然として2人は警戒心を怠らない。ズルズルズル、ズル

ズルズル、何かを引きずる音が聞こえる。「奴だ」2人は周りを

見渡した。音がするほうへ行く。するとそこには赤い木の根みた

いなものが絡みついている扉があった。「ここだ」2人の目は充

血していた。まばたきをするのも忘れてしまうほど興奮状態なん

だろう。バタン、ガチャ、ガチャ、「ぎゅががががが!!!!」「居

たぞ!!!死ねぇぇ!!!!」ババババババン、ババン、ババババババ

ン、2人は容赦なく撃った。「ぎゃあぁぎゅぁがあががあ!!!!!!

」女は奇声を発した。床に薬莢(やっきょう)が広がる。「ふぅ」

2人は動かなくなった女を見た。部屋に入り、辺りを見渡した。

「あぁ」そこには手と足を金具で止められている人が沢山居た。

磔刑(たっけい)のようだった。「ぅぅぅぅ」どこかで呻(うめ)き

声が聞こえる。「誰だ!?」「ぅぁあぁ」辛うじて生きている男性

を見つけた。「おい、アンタ!!大丈夫か!?」「あ・・・あぁ」「

その制服、警察官か!!」「助けてくれ・・・」男は弱々しい声で

言う。「待ってろ!!ちょっと痛いが」桑田は銃口を金属に向けた

。バン、バン、バン、バン、4つの金属が取れた。それと同時に

男は倒れた。岡田は押さえた。「大丈夫か?」「あぁ、何も食べ

て居ないんだ。周りの人は・・・生憎・・・」「よし!!取り敢え

ずここから脱出するぞ」岡田は男性に肩を貸して走った。3人は

部屋を出た。「ぎゅががぁっぐううぐぐぐ」女は最後の力を振り

絞って後を追いかけた。3人はまだ気付いて居ない。

5. 隠し部屋に梯子(はしご)があった。それに助けられ、3人は大

浴場から出た。ズルズル、ズルズル、「ん?この音」3人は後ろを

見た。すると隠し扉から女が這い上がってきた。「クソッ!!まだ

来るか!!」桑田はマシンガンを構えた。「お前らは先に行け!!」

ババババン、ババン、バン、桑田は区切りを入れながら撃った。

その隙に2人は廊下を走った。「ハァ・・・ハァ」息を切らしな

がら走るとなんでこんなに廊下は長いんだ?と思えてしまう。そ

してやっとの思いで玄関口まで来た。「よし!!」扉を開けるとそ

こには黒いベンツと黒服、警察官が立っていた。「おおぉ!!よく

ぞご無事で」「コイツを頼む。ずっと拉致されていたらしいんだ

」「あっちょっと」「仲間を・・・助けないと・・・」岡田は黒

服に背中を向けた。「うわぁぁぁ!!!」桑田の叫び声が聞こえた

。岡田は息を切らしているのに廊下を全力疾走した。そして桑田

と会った。「あっ岡田!!」「なんだ。雄たけびかぁ」「早く逃げ

るぞ」「あっあぁ」2人は廊下を走った。岡田は多少遅いが桑田

があわしてくれる。「女は?」「死んだ」ズルズルズルズル、何

かが引きずられる音。2人は恐る恐る後ろを向いた。そこには2人

よりも早いスピードで追いかけてくる女の姿があった。「うわぁ

ぁぁ!!!!」2人は廊下を走った。そして玄関に着くと扉を思いっ

きり開けた。2人は黒いベンツに飛び乗った。「おい!!そこの2人

!!早く乗れ!!」岡田はいつも誰も入らないように警備している警

察官に言った。「あっあぁ」2人は急いで車に乗った。「うぐっ

苦しい」すし詰め状態だった。その時玄関の扉がまた開いた。そ

こには女の姿があった。「出せ!!!!」ベンツはトップスピードで

走った。岡田は後ろを向いた。女が追ってきている。「もっとス

ピード出せ!!!」車は走った。岡田は途中後ろを向いたが女は追

ってきては居なかった。

プロローグ. 2人は館を調査してから10年後、館は地震によって

崩壊した。外見は豪華な割には地震対策はしておらず、柱はボロ

ボロ状態だったようだ。2人は一緒にテレビを見ていた。「あぁ

、そんな事有ったねぇ」桑田は笑顔で言う。「あの調査、暗殺よ

りも緊張したなぁ」「あぁ!!楽しかったぜ」テレビは続いた。「

また、この館は10年前に優秀な人材が調査した。にわかには信じ

がたい話だが、得たいの知れない女性が襲ってきたらしい。また

、大浴場の浴槽に隠れ部屋があり、そこには女性に捕まった人が

拉致されている、と警察は言っていました。これが、警部の会見

です」そして警部が記者団に答えている映像が流れた。「あっ」

岡田は思った。「ん?どうした?」「この警部・・・」「あっ!!!!

」桑田も気付いた。「あの時助けた警察官!!」2人はアニメのよ

うに同時に言った。「警部、貴方もたしか拉致された人のようで

すね」「えぇ、ですが、2人の英雄が助けてくれましたよ。優秀

な人材とは呼べない代物がね」警部は昔のことを思い出したのか

、ハンカチで涙を拭いた。

ー呪われた館ー

ー呪われた館ー

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-03-23

Copyrighted
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