銀魂 真選組 ~春風記~ 笹崎 翼 編
江戸の治安を守るため、「政府の犬」と言われても、睨まれて、憎まれてもその姿は何も変わらない。たとえ誰も自分の命が、誰にも知らされないことだとしても……
第1話 友人と酒を交わすのはほどほどに
今日、梅雨明けと宣言された江戸ーーーーー
帰省ラッシュが訪れる期間でもあった。
そして、ここはかぶき町のとある常連でもある集団が
酒を交わして喋っていた。
「里帰り………してェな」
「珍しいな、お前がそういうこと言うの」
「上京したタイミング逃したもんなぁ」
「お前とはちげぇよ……でも、出来そうにないな」
「なんだよ~言えよ~、あ。酒なくなったわ。すいませぇーん!お姉さん!」
「女……か?」
さっきから話に全く入ってこなかった男が言う
「あ?」と、
そして、指と指の間につきそうなぐらい短くなった煙草を灰皿に押し潰して顔をあげる。
「副長、寝てるかと思いましたよ」
「え。笹崎てめぇ!いつの間にお見合いを!!」
一瞬ざわっと辺りが騒がしくなる。
「滝沢!静かしろ!」
「酔ってやがる…… 」
「女だよ。それが何か?土方さんよォ」
「いや、別に…明日の朝集会で言おうと思っていたんだが」ここにいるやつにだけ先に教えておこう。休みはねぇよ。城の護衛も長期に入ってるからな~、隊士集めにも数人つれていこうと思ってる」
「えっ………何番隊がですか?」
「そうだな。したっぱの奴をつれていこうと近藤さんと話をしている。剣術もできる奴な」
「そ、それって……」
「特攻隊」
台の上にあった煙草の箱から一本取り出して、火をつける
「副長、やめてください!こんなところでそういうのは」
「落ち着け内田!はっ、結成半年の活動か~忙しくなるなぁ
土方のはいた煙は辺りにじわじわと広がっていく
それに、酔っている滝沢が咳き込む。
「うへぇっ~なんだよぉ。しんみりしちゃってさぁ!ほら、内田!もっと飲め!」
「はい!あっ、ちょ、滝沢さぁん!ちゃんと注いでください」
また旺盛に盛り上がって来たところだった
「…………俺、先帰るわ」
「待て。土方」
「あ?奢りのために来てねェぞ」
「酒のんでないよなぁ?」
「あ、つまみしか食べてないわ……おい、それ貸せ」
「あ!!渡すな!帰れなくなるッ!」
「は?」
「警察が飲酒運転しちゃダメでしょ?副長!」
「それと、パトカーで来ちゃったんで!」
巡回パトカー6号の鍵をくるくる回して見せる、明田。
「ッたく…………!!」
土方はそのあと全く酒を飲まずに、1時間後酒臭い匂いが充満したパトカーで屯所部屋入って帰ったのだ。
銀魂 真選組 ~春風記~ 笹崎 翼 編
◆第1話◆ 登場人物
土方 十四郎 メイン主人公と同じ年齢設定。真選組 副長。
笹崎 翼 (26) メイン主人公。翼は「たすく」読む。
真選組部隊「特攻隊」といわれる所に配属されている。
その中では、隊長である。
内田 涼助 (24) 若きルーキーで、入隊即「特攻隊」配属。笹崎とは良きパート
ナー。自分が入っている「特攻隊」と言われるのは気に入らな
がっている。
滝沢 和 (28) 真選組2番隊員。酒が大好きで、近い年代で飲みに行くのが習慣
剣術は上手い方もよう。土方のことは副長と呼ぶ。
明田 正義 (28) 笹崎、内田と同様「特攻隊」の隊員。土方をたまに沖田と殺そう
計画を企てている土方の上司。局長補佐など転々としている。