ナルシズム、ストーリー
私の本当にどうしようもないところは、本当に心の底から物語を愛し、憎しみ、崇拝しているところだ。
これさえなければ、随分生きるのは楽ではないか?
私は例えば人に愛されるとき、人に嫌われ理不尽な辱しめを受けるとき、どちらにせよ物語を感じて、静かに興奮してしまうのだ。
私に対する人の仕打ちすべては物語であり、誰にも介入されぬ人生を知る。
彼も、彼女も、みな物語。なんて、美しい世界なのかしら。
ナルシストでも、マゾヒストでも、普通の人でもない、私だけの、私が生きた感覚。こんなにも私に渇望し、絶望する人間など私しかいない。
全てにカテゴリー化される物語のようなものだ。要は、何処にも存在しないのだ。
本当に、浅はか。
ナルシズム、ストーリー