ジェリービーンズ

ジェリービーンズ

私はあなたに助けられた。

あなたに出会ってよかった。

出会ったのがあなたでよかったー・・・

甘くて、いくらたべたって飽きない。
ジェリービーンズ

わすれられないー・・・

1*出会い

「へー。じゃあ苺音のお母さん再婚したんだ?」
そういったのは私の唯一の親友、水戸杏奈。通称杏ちゃん。
放課後はいつも杏ちゃんと帰っている。
「うん。結構前に。」
そう返事したのは私、花庭苺音。
「じゃあ、私こっちの道だからじゃあねー」
杏ちゃんはそういって走っていった。
私は小さく手をふりかえした。

寄り道をしていると家に着くのはもう7時ごろ。
「ただいま・・」
私の声はリビングから聞こえる話し声にかき消された。
「あ、おかえり。苺音ちゃん。」
お父さんが言った。
さっきまでにぎやかだった部屋が一気に静まる。
「ただいま」

「ご飯そこにおいてあるから。」
お母さんは私にそっけなく言うと、再婚したお父さんの子供とお父さんと楽しそうに話す。
ご飯を食べずに自室に入った。
笑い声が聞こえる。
「おなかすいたな・・」
私はそう呟いた。
でもあそこに戻るのは・・・。
私は階段を下りて何もいわずにコンビニにむかった。
       □■□■
コンビニ弁当をレジにいる店員さんにわたす。
すると店員は私に話しかけてきた。
「一人暮らしですか・・?」
不意に話しかけられ、店員さんをみた。
・・・。
よく見るとかっこいい。・・てゆうか、かわいい?・・・なんか幼い感じ?
黒くさらさらな髪の毛。
シャイなひとっぽい?
名札を見ると アルバイトとかいてあり
名前はー・・長谷川慎。
「え・・」
「こんな時間に一人じゃ危ないですよ。最近このあたりで危ない人歩き回ってるみたいですから・・。気をつけてください。」
「あ、どうも。」
そういって会計した弁当をもってコンビニを出た。
いい人だなあ。
見た目的に私と同じ高校1年生くらい?
「ねえ、君一人?」
後ろから聞こえた声に振り向く。
大人の・・男の人?
「俺とどっかいかない?」
男の人はそういって私の腕をつかむ。
「ちょっ!」
ふりほどけないっ
誰か助けてー・・!

「おいっ!」
ドカッ

大きい音が鳴った。
目の前にいたのは・・・
あの男の子。
「警察呼びますよ?!」
男の子がそういうと、舌打ちをして蹴ってさっていった。
「だっ大丈夫ですか?!」
慎君に駆け寄り、ポケットからハンカチを出し、差し出した。
すると、慎君はゆっくりハンカチを取り頭をさげる。
「大丈夫です・・」
そして視線を斜め下に落とし、「俺、弱いなぁ・・・」とつぶやいた。
「・・・・」
「そんなことないよ!!私を助けてくれたもん!慎君はかっこいいよっ」
「・・・・」
慎君はしばらく黙った後、「ありがとう。」と笑っていった。
「危ないんで家まで送ります。」
「あ、ありがとう!」
そして私は家まで送ってもらい、すぐに寝た。
       □■□■□
「エー!そんなことがあったの?!大丈夫?」
昼休み昨日のことを杏ちゃんに話すと心配してくれた。
「うん!このとおり!」
「よかったー。でも・・慎って人どっかで聞いたことあるなあ・・」
「え?どこ・・?」
「コンビニで苺音に話しかけたってことは苺音のこと知ってるんじゃない?」
そうは言うものの、心当たりがない・・。
「ん~・・・?」
「わからないの?・・・じゃあ同じ学校で相手だけ知ってるとか・・?」
「あっそうかも」
私は玉子焼きを食べながら言った。
「そうとなったら明日からさがそうね!」
杏ちゃんが言う。
「うん。改めて御礼もいいたいし」
     □■□■□■
「ただいま」
私は自宅の玄関のドアを開けて言った。
いつもと同じ、返事はなく聞こえるのは妹とお父さんの声。
お母さんはまだ仕事だろう。
「ただいまー。あ、あんたいたの。」
「うん・・。」
「早く行って。」
“早く行って。”かぁ・・。必要されてないんだな・・
私が階段を上ると、リビングの戸が開いた。
「おかえりー!お母さん」
嬉しそうな妹の声。
「星菜ーぁ。お土産あるよー」
嬉しそうなお母さんの声。
楽しそうな笑い声。

やめて。やめて・・・
私の家を・・私の居場所を・・消さないで・・・・。
家がなかったらどこに帰ればいいの・・・。

神様、私に居場所をちょうだい・・。


       □■□■□■
「いないね~慎君。」
杏ちゃんが言った。
今私たちは校内を歩いて慎君をさがしている。
   とんっ
私は誰かにぶつかった。
「すみませんっ!・・・あ、黄瀬くん。ごめんね」
同じクラスの黄瀬雅くん。
スポーツマンで背も高くて、面白いし顔もかっこいいし結構もてている。
「いや、花庭たちなにやってるん?」
「慎くんって人さがしてて、長谷川慎ってひと~」
杏ちゃんが横から顔をだしていった。
「え?慎?俺知ってるけど・・・」

2*手がかり

「え?!しってるの?!」
私より先に杏ちゃんが口を開いた。
「あぁ」
「何で知ってるの?友達?!」
「・・・。友達・・つうか・・・・。先輩。」

・・・・・・先輩?
てっきり背的に同い年だと思ってた・・・。(失礼)

「紹介して!いますぐ!」
杏ちゃんが言う。
「うん。お願い!雅君」
それに続いて私も言った。
「・・・でも、慎いま学校きてないんだよ」
「え?風邪?熱?」
「さぁ。ぁ、でも家庭が大変みたいだったけどな・・・」
雅君は気まずそうに言った。
それもそうだ。
家庭のことだし・・。
これ以上聞くのはさすがに申し訳ない・・。

「そっか。ありがと。」
杏ちゃんは「もういいの?」と聞いたけど「うん。」といって教室に戻った。

会いたい。
あってちゃんと御礼を言いたい・・・。


私は必要とされてなかった分、守ってくれたあのときの温かさがとても強く感じられたんだ。


「慎くんが先輩って言ってたってことは雅君と同じバスケ部だよね。」
私は杏ちゃんにそういうと「うん。そうだと思う、早く会えるといいね。」と、
笑って言ってくれた。

         
       □■□■□■□■□

家に帰ると、私の「ただいま」には誰も反応せず
3人だけの笑い声が室内に響く。
テーブルの上には何もおいていなかった。
私のご飯も何も。
流し台を見ると、3つの食器皿と箸があった。
「・・・・・」
のどの奥がきゅっとなる。
そっか・・・泣きそうなんだ。私。

私は「出かけてきます」と小さな声でぽつりと言って外に出た。
向かった先はー・・・
あのコンビニ。

ご飯を買いに。
それよりも・・・

あの人に会いたくて・・・・。
会えるとは限らないのに。


     □■□■□■□■□■
ウィーン
コンビニのドアが開く。
私は緊張しながら、一歩を踏み出した。
「・・・・」
私は見渡せる限り見渡した。
「あれ?こんばんわ」
「こっ、こんばんわ。」
「何かお探しですか?」
慎君・・いてよかった。
「お弁当を・・・」
「・・・・。前も聞いたんですけど、一人暮らしなんですか・・?」
上目遣いで聞いてきた。
そりゃぁそうだよね。
いつも買ってるもん・・・。
「いえ・・・。ちょっと親とうまくいってなくて・・・。」
私は小さな声で言った。
どうしよう。
初会話がこれって・・・。

どう思う・・・?

「・・・そっか。俺、あんま上手いこと言えないですけど・・がんばってくださいね。」
慎君は引いたりせず、
優しい声で
優しい笑顔で
”がんばって”っていってくれた。
ありがとう
”ありがとう”

「はい。ありがとう。」


「あ、あの私のこと知ってたんですか?」
「え?」
「や、前に声かけてくれたから。」
「あぁ、苺音さんは俺のことしらないよね。同じ学校なんですよ。」
「すみません・・なんか・・・」
「いえいえ学年違うししょうがないです」

やっぱり先輩だったんだ・・・。

素直に伝えよう。
私の今思ったこと。
私の気持ち。

「ぁ、ありがとうございましたっいろいろと!」

私がそういうと、慎君はにこっと笑って
「こっちこそ。」
といってくれた。

私はパンを買って
「さようなら」
といってコンビニを出た。
5分ほど歩くと、もう家に着く。
”がんばって”
その言葉を思い出して一歩を踏み出す。
「ただいま」
返事はやっぱり返ってこない。
でも、
あなたのくれた一言で  楽になったよ。

ありがとう慎君。


     □■□■□■□■□■□■□
「へぇ~慎君に会えたんだ。よかったね。」
昨日のことを杏ちゃんに話すと
笑ってそういってくれた。
「うん。ありがとう。」

慎君、またあえるよね?
「ねえ、苺音って慎君のこと好きなの?」
「・・・・は?」
急に言われて私はびっくりした。
「だってさぁ、普通いくら恩人でもここまで探さなくない?」
「え・・・そうなの、かなあ?」
「そうだよ~」
確かに、慎君は好きだけど、この好きは・・どの好きなんだろう。
考えたこともなかった。
でも、
私に
あたたかさを教えてくれたのは慎君。
感謝している。
慎君のことを考えると、どきどきして、自然と笑顔になって、楽しくて。
そっか、
これが『好き』なのかなぁ・・・。
「そうかもしれない・・・。」
私は小さな声で言った。
「応援するよ!」
杏ちゃんは満面の笑みで言った。
「ありがとう!私も杏ちゃんに好きなひとできたら応援するね」
私がそういうと杏ちゃんは顔を真っ赤にし、「実は・・・」からはじめ
「私・・・好きな人がいるの・・・。」
と言った。
「え?だれっ」
「・・・、雅くん。」
真っ赤になってチラッと雅君を見る杏ちゃん。とても可愛く見えた。
「うん。がんばって!」
「・・・ありがとう。」

杏ちゃん、私の場合、頑張るって何をすればよいのかなあ。
‘‘付き合う‘‘なんて贅沢はいらないから
私には‘‘あたたかさ‘‘がほしい。

私が今までもらえなかった、‘‘あたたかさ‘‘がほしいんだ。

こんなことを願ったら贅沢かなー・・・

気持ち

「花庭、ちょっといい?」
ある日の昼休み、黄瀬君に呼ばれた。
「?うん。いいよ」
呼び出され、屋上に向かう黄瀬君についていく。
「・・それで、なに、どうしたの?」
「・・・んとさ、」
黄瀬くんは下をうつむいた後私のほうを向いた。
「水戸・・ってさ、俺のことどう思ってんのかな。」
「え?」
「いや、かっこ悪いのはわかってるんだけど気になって。」
もしかして、杏ちゃんのこと…?
「そ、それは本人にいった方がいいんじゃない?」
「え?」
「嫌ってはいないよ。」
そういって私はにこっと笑った。
そっかぁ…
そっかぁっ
二人は両思いかもしれない。そう思うと笑みが溢れてくる。
よかったね。

ジェリービーンズ

ジェリービーンズ

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-03-20

Copyrighted
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  1. 1*出会い
  2. 2*手がかり
  3. 気持ち