線香花火
「線香花火が一番嫌いだ。」
「なんで?」
「すぐ終わるし、切なくなるだろ?」
クスッと笑いながら
洸は瞬に言った。
「私は逆だと思うよ?」
「逆?」
蝋燭の火が二人の影を
やんわりとつくっている。
「永遠なんてつまらないよ。
いつか終わってしまうものだから
それは美しくって、
失いたくないがために努力をする。
切ないから魅力的なんだよ。」
うーんと呟く瞬に、
洸は少し寄り添って言った。
「私達の関係だってそうでしょう?」
「何、別れ話?」
「違うよ。」
笑い声が響く。
「でも、永遠じゃないこの時を
こんなに愛しく思えるのは、
洸の話が本当だからなんだろうな。」
淡いはずの線香花火の光は
蝋燭よりも濃く、温かく、
一つの大きな影をつくっていた。
線香花火
自分で言うのもなんなんですけど、
私の書く女の子は
ほんとに優しい子が多いと思います。
自分がそうなれないからでしょうか。