ある少年の夏休み
夏休みの図書館開放を利用して
勉強をする学生は少なくなかった。
しかし、ここの図書館は
幽霊が出るだのなんだの
都合のいい噂がたってくれたお陰で、
毎日僕の他はほとんど来館せず
静かに勉強できた。
館長ともすっかり顔見知りになった。
「君は自転車で毎日来ているだろ。
事故には気を付けなきゃいけないよ。」
館長が突然言うので
僕は不思議そうな顔をした。
「近くで高校生の事故があったからね。
その子も君のように勉強を
頑張ってたそうだが、他界したんだと。」
「そうなんですか。
その子、可哀想ですね。」
「あぁ、努力が報われないなんてなあ。」
館長は辛そうに笑った。
大きな天窓から差し込む夏の日差しは、
僕をすり抜け、彼の影を濃く作った。
ある少年の夏休み
珍しくホラー風味。
夏なのでたまにはこういうのもいいかなって思って。