移り変わる景色と共に

この時間は
アスファルトの熱気もほとんどなく、
冷たい空気の中
ただ左手の温もりだけを感じていた。

「秋だな。」
拓は少し寂しそうに見えた。
夏が過ぎたからではなく、
きっと秋が来たからだ。

「拓は横浜、受かりそう?」
「んー五分五分。」

五分五分かあ…。
大学が離れるとなると、
きっと拓は私に別れを告げる。

拓の夢を応援したい気持ちと、
離れたくない気持ちで言葉に詰まる。

でもきっと拓も同じ思いで、辛くて、
どうしたらいいのかわからないんだ。

だから、私がしっかりしないと。


「実りの秋だよ、」

少し上を向く。

「努力が実る秋だよ。拓は絶対受かる。」

精一杯の笑顔で言った。
拓はありがとうと言って私の頭を撫でた。

私達は、もうすぐ枯れる。

移り変わる景色と共に

学生にとって、進学による別れはつきものです。
応援したいのに、離れたくなくて、
なんだか複雑な気持ちになります。

まあ、距離なんて、気持ち次第じゃどうにでもなるものだと思いますけどね。

移り変わる景色と共に

お題「秋の訪れ」 the interviews 「300字小説」より。 素敵なお題ありがとうございました。

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更新日
登録日
2013-03-20

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