愛してるの伝え方

「しゅん~。」
「あー?」
「…」

朝食を終えたテーブルに寝そべって、
向かいの女が俺の手をいじる。
頭の団子はボサボサで、
男物のTシャツが角ばった肩を露出させる。

このだらしない女と同居し始めて
2年が過ぎた。

「みぃ、どしたー。」
俺は片手で新聞をめくりながら聞いた。
返事はない。
「何、俺の手がそんなに好きか。」
「は、きも。」
笑う俺の質問に即答しながらも、
それをやめない。

「まじしゅんきめぇ。」
そのまま彼女は顔を伏せた。

「お前もな。」

構って欲しいと伝えるこいつが愛しくて、
遊ばれている手に力をいれると
彼女も同じようにした。

お互い想いは口にしないけど、
固く握ったその手こそが、
素直じゃない俺たちの愛してるの伝え方。

愛してるの伝え方

言葉で伝えない愛もあると思います。
むしろそれのほうが、長く続くような気もします。
言葉なんて、1秒もしない間に消えちゃいますもんね。
それなら私は、好きだという思いを自分の中でずっと温めていきたいです。

でっていう。

愛してるの伝え方

お題「愛してるの伝え方」 the interviews 「300字小説」より。 素敵なお題ありがとうございました。

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更新日
登録日
2013-03-20

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