愛してるの伝え方
「しゅん~。」
「あー?」
「…」
朝食を終えたテーブルに寝そべって、
向かいの女が俺の手をいじる。
頭の団子はボサボサで、
男物のTシャツが角ばった肩を露出させる。
このだらしない女と同居し始めて
2年が過ぎた。
「みぃ、どしたー。」
俺は片手で新聞をめくりながら聞いた。
返事はない。
「何、俺の手がそんなに好きか。」
「は、きも。」
笑う俺の質問に即答しながらも、
それをやめない。
「まじしゅんきめぇ。」
そのまま彼女は顔を伏せた。
「お前もな。」
構って欲しいと伝えるこいつが愛しくて、
遊ばれている手に力をいれると
彼女も同じようにした。
お互い想いは口にしないけど、
固く握ったその手こそが、
素直じゃない俺たちの愛してるの伝え方。
愛してるの伝え方
言葉で伝えない愛もあると思います。
むしろそれのほうが、長く続くような気もします。
言葉なんて、1秒もしない間に消えちゃいますもんね。
それなら私は、好きだという思いを自分の中でずっと温めていきたいです。
でっていう。