見
「覚?」
曇ったガラス窓に
書かれた文字を見て
入口側の彼女が言った。
薄い雲に覆われた灰色の空に、
冷たい風が吹き抜けている。
木々は一片の葉も持たない。
「ネタ切れでね、」
僕はペンを置いて背伸びをした。
「〆切もそろそろだし結構切羽で。
覚えと覚り欲しさの訴え。」
苦笑いしながら言う僕に、
彼女はふ~んと近づいてきた。
「ねぇ、ティータイムしません?」
そう言うと彼女は窓に
はあ~っと息を吐いた。
「無理しなくても、
一息ついたら、
自然と何かが見えてくるかもよ?」
ほんとに君にはかなわないな、
そう言いたげな僕を見て、
彼女は満足そうに笑う。
冠が消え、
「見」となった窓は、
雲の切れ間から差し込む光で
結露をキラキラと輝かせていた。
見
スタイリッシュ駄洒落です。
少し無理やりです。
小説家の男性と担当さんイメージ。
決して恋仲ではないのに、お互いすごく信頼してるってすごく憧れます。
私の理想像でした。