「覚?」

曇ったガラス窓に
書かれた文字を見て
入口側の彼女が言った。
薄い雲に覆われた灰色の空に、
冷たい風が吹き抜けている。
木々は一片の葉も持たない。

「ネタ切れでね、」
僕はペンを置いて背伸びをした。
「〆切もそろそろだし結構切羽で。
覚えと覚り欲しさの訴え。」
苦笑いしながら言う僕に、
彼女はふ~んと近づいてきた。

「ねぇ、ティータイムしません?」

そう言うと彼女は窓に
はあ~っと息を吐いた。


「無理しなくても、
一息ついたら、
自然と何かが見えてくるかもよ?」


ほんとに君にはかなわないな、
そう言いたげな僕を見て、
彼女は満足そうに笑う。


冠が消え、
「見」となった窓は、
雲の切れ間から差し込む光で
結露をキラキラと輝かせていた。

スタイリッシュ駄洒落です。
少し無理やりです。

小説家の男性と担当さんイメージ。
決して恋仲ではないのに、お互いすごく信頼してるってすごく憧れます。
私の理想像でした。

お題「窓」 the interviews 「300字小説」より。 素敵なお題ありがとうございます。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-03-20

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted