実感

仲の良かった友達が死んだ時、その子のことだけを思って泣いた。
いや違う。実際はその子を失い悲しみを背負うことになった自分を思って泣いた。
泣いて泣いて泣き続ければみんな「大丈夫?」と寄ってきた。
「可哀想にね。」みたいな目で私を見る近所の人たち。
学校の先生は次々にもらい泣きを始めている。
涙は止まることを知らなくていくらでも流せた。


私は主役だった。
死んだ友達の遺影が例えカラーだったとしても私の方が断然目立っていた。
鳥肌が立つくらい興奮していた。
私が主役のお葬式。
あの子のためのお葬式。
初めてこんなに注目された。
みんなが私を見て、私のことを考える。
私を哀れみ、私に同情の手を差しのべた。
誰でもない私だけに。


生まれて初めて生きてるんだって実感した。
もっと注目されたくて、もっと生きたくて、次の日試しに死んでみた。

実感

ショートショートショートストーリーくらいですかね。
この話を書いてて思いついたこと。
生と死は等価値なのね。
どんな考え方であっても。

実感

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2010-08-04

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