スピーチ当番
あいつの話が終わったら次は俺だ。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
どうしてこんな思いをしなければいけないのだ。
百人以上の前で話すなんて、何回やっても慣れないよ。
ああ、隕石でも落ちてきて大騒ぎになって中止になればいいのに。
テロ組織か宇宙人が急に現れてここを占領してもいいし・・・・・。
あぁ、喉が渇く。鼓動が早くなってきた。
隣のやつに俺の心臓の音、聞こえないかな?
また手に汗をじっとりかいている。
だいだい、誰だ、スピーチ当番なんて
つまらないものを考えた迷惑なやつは?
あっ、終わった。どうしよう、俺の番だ。
「では、社長、お願いします」
俺は威厳を持ってゆっくりと壇上に向かった。
(了)
スピーチ当番