豪快電話

豪快電話

 いつものようにN部長が豪快に笑いながら誰かと電話している。

 フロア全体に聞こえるような大声だから、正直いって仕事の邪魔だ。重役の親戚だから部長をしているだけで、大した仕事をしていないと聞いたことがある。

 ふと見ると、N部長が豪快に笑い胸をそらした弾みで、電話のケーブルが抜けてしまった。俺は吹き出しそうになった。
 
 が、奇妙なことにN部長の楽しげな電話はまだ続いていた。
 
 俺はあることに気づいて呆然とした。

 そうか・・・・・・。

 N部長はこれまで、電話で仕事をしている一人芝居をしていたんだ。

 俺は哀れみと同時に少し親しみを覚えてしまった。 

 あとで誰も気づかないうちに、そっと電話のケーブルを接続しておいてあげよう。 
 (了)

豪快電話

豪快電話

ベストセラー本『一瞬で心をつかむ、できる人の文章術』でおなじみの高橋フミアキ先生のホームページに 『豪快電話』は掲載されています。 http://takahashifumiaki.jimdo.com/short/tel/ クスッと笑える【超短編小説】

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-03-16

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