好きです、あなたのことがっ…
君と出会ったのは、あの少し肌寒い秋のこと。
いまになってわかったんだよ?
君のことが好きだって。
こんなにも君のことばかりを考えてたなんて、知らなかった。気付かなかった。
君はあたしのことを好きですか?
まだ…好きでいてくれてますか?
毎日そんなことばかり。
会ったこともないのに、声しか知らない君に、
きっとあたしは恋してたんだね
出会い
君と出会ったのは後輩の家に泊まりに行った日のことだった。
まだ朝日が昇りきらず、透き通った空気が漂う朝。
朝からやることは一つ。
二人がしたいことは決まっていた。
“動画投稿”
小説を創作するのも好きだったけど、二人とも同じくらい音楽が好きだった。
二人で歌えそうな曲を選んでいた。
「これ、いいんじゃない?」
そういって舞稀が流した曲はさわやかな曲だった。
「おー、いいじゃないか♪
二人でコラボ初だねー☆楽しみだわぁー☆」
二人の歌声は対照的だった。
でもそれが良さだった。
録音を終えて、ケータイをイジっていると、あるサイトを見つけた。
“トラップ★story”
そこには君が居た。
如月 零(きさらぎ ぜろ)。
この名前に惹かれた。
ハンドルネームだって分かっていても、この名前が好きだった。だからすぐに電話をしてみた。
零の声はかっこよかったし、どこかかわいげのある声だった。
きっと電話だからなのだろうけど、甘えているような少し高めな声。でも、その高さになぜかあたしは癒されていた。
あたしがもっと惹かれていたのは、きっとこの声と君のたのしそうに話しているような雰囲気からなのだろう。
君との出会いは、あたしに元気をくれた。
好きです、あなたのことがっ…