海外旅行①バンコクの日常

海外旅行①バンコクの日常

 バンコクにいた時、英字新聞の広告を見てアパートを借りた。スクィンビット通りとアソ-ク通りが交差する所だった。その時、中国系の中年の女性に賃貸契約書を渡された。彼女は、言葉尻に「ナ」(だ)をよくつける。私が分からないで惑っていると女性は、私から契約書を取り戻し、手を小さく振って「問題無い」という素振りを見せた。
 
 テレビと扇風機をレンタルし部屋に入る。TVのスイッチを入れるとお決まりのCNN(アメリカのニュース番組)。結局、毎日こればかり見ていた。自室の4階の窓から下を見ると祠(ほこら)が見える。タイの神様はきらびやかだ。
 
 遠くにバスが走っているのを見た時、まるで自分が異次元の世界に迷いこんだ様な錯覚に陥いった。大きな通り(タノン)までは歩いて10分程。バイタクが「10バーツ(約30円)で行く」と言っていたが、断り毎日散歩がてらに10分位毎日歩いた。
 
 金持ちの家がアパートの斜め向かいにあり、近づくとドーベルマンが、けたたましく吠え立てる。郵便受けには英字新聞がはいっており、一種のステータスらしい。 途中、アヒルと鶏を飼っている木造の家があった。大雨が降った時はソイ(小路)が膝まで水につかり、そこをアヒルが泳いでいた。
 
 その近くに私の行きつけの食堂があって、メニューにない物も作ってくれた。タイ人は融通が利く。私のお気に入りは、蟹チャーハンとシンハービール。
 
 食堂の近くの幼稚園の隣に本屋があって、そこにいる大きな犬にびくつきながら新聞を買った。いつもの日課だ。 帰る途中、いつもの店でおかずのおまけをしてもらってから、アパートのガードマンのブースの脇を通り部屋に戻る。結局1ヶ月、このアパートにいた事になる。浮世離れの私らしい。

                                                            (終)

海外旅行①バンコクの日常

海外旅行①バンコクの日常

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-03-14

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted