光の巫女と六人の戦士たち

ミーン ミーンとセミは鳴いて、、、


サラサラと風によって騒ぎだす木の葉っぱたち、、、



一面が青く染まる空、、、



そんな季節に私達は出会った。





光の巫女と六人の戦士たち

~忘れられない、あの夏の日~

第一章 隠された思い

私は夢を見た。


現実とは全く違う風景で、見とれてしまうぐらい綺麗で・・・

ゲームに出てきそうな人々や生き物がいて・・・


-----そして、私に何か話しかけている女の人がいる・・・

「こ、、、の、、、せかい、、、を、、、まもって、、、六人の、、、戦士たち、、、」


うっすらだけど女の人の声が聞こえた。


、、、せかい?

、、、六人の戦士たち?


女の人が言った言葉がどういう意味なのかわからないまま、私の目が朝日によって覚めた。

               ・
               ・
               ・

私は、身体を起こしあの夢のことを考えた。

「・・・あの夢・・・」

普段見る夢とは違うと感じた。

女の人の言葉が気がかりだった。

”六人の戦士たち”

この言葉が私の身体のなにかが反応しているとも感じた。

とても、不思議な感覚だった。

「・・・まぁ、深く考えても仕方ない!そろそろ、学校に行く準備しなくちゃっ!」


私は気にしないようにした。


相模 雪成(さがみ せつな)高校一年生でごく普通の女子高校生。


-----このときはまだ、私がその夢がきっかけで後に自分の身になにが起きるかわからなかった、、、


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「はぁ・・・」

やっぱり、気になるな・・・あの夢。

「うーん・・・・」

バンッ!!

「雪成!おっはようっっ!!」

「っ・・・たくっ思いっきり背中叩かないでよー・・・」

誰かと思えば、茜じゃん・・・

あーまだ背中がヒリヒリするよ(汗

「ごめん、ごめん!てかさ、朝からため息なんてらしくないぞ?」

「んー・・・ちょっと考え事?」

夢のことだけど

「ふーん、まっ雪成のことだから、くだらないことに悩んでるんでしょ?いつもどんな時でもヘラヘラしてるからねー」

・・・まただ・・・・

「別にくだらないことじゃないんだけど・・・」

「はいはい、あっー!!宿題やるの忘れた!!じゃっ!雪成、先に行ってるねー!また、教室でっ!」

という言葉を残して、茜は走っていった。

「・・・」

また・・・私の悩みを聞こうとしてくれなかった・・・・

私はモヤモヤな気持ちを心に残したまま、重い足をあげ、学校へ向かった。


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                ・

「えー、、、ここの公式は、覚えるようにだな、、、」


「・・・はぁ・・・」

あーあ、退屈だなー・・・あの先生、真面目だから面白みがないんだよなーもっとこう・・・ね・・・

『ここの公式は、テストによく出るから覚えとくといいぞよ☆』

的な・・・・んー・・・やっぱり気持ち悪いからいいや(汗

自分で想像して自分で否定することをしてるくらい退屈そうにしている雪成は、学校の授業を受けている最中だった。


あっ、、、

雪成の目線は、斜め前の男の子に向けた。

・・・いつ見ても、かっこいいなぁ・・・

その男の子の名前は、竹中 直樹(たけなか なおき)、雪成の好きな人だ。

雪成は直樹に片思い中で、”告白”というものはしてなく、ただ離れて観ることが多かった。

そんな雪成を隣にいた友達の茜がニヤニヤしながらその様子を見ていた。

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               ・

<休み時間>

「ねえ、雪成。」

茜は雪成に話しかけた。

「ん?なに?」

「直樹のこと・・・好きでしょう?」

ドキッ・・・

「はい?」

突然のことで聞き直してしまった

「女子と男子の一部の人はみんな知ってるよー」

「えっ・・・!?」

うそだ、、、だって、、、誰にもそんな事言ってないはず、、、

「まっ!雪成はわかりやすいからね。見ててわかる。」

「いや、、で、、、も、、、」

「なになに?」

「なんの話してるの?」

友達が二人、茜と雪成の話が気になって寄ってきた。

「あー直樹のこと。」

茜はさらりとその友達たちに言った。

「ああ!雪成、直樹のこと好きだもんねっ!!」

「ちょっ、、、ちがっ、、、!」

なんで・・・なんで・・・っ

「まじでっ!?今の聞いちゃった!!」

うっ、、、そ、、、

「あっやばっ・・・学年で一番の噂好きのやつに聞かれちゃった・・・」

友達は、しまったという顔で雪成をちらっと見た。

「おーーーい!!直樹!!」

直樹は自分の名前を呼ばれたことに気づき、その子の方に目線をやった。

「やめ、、、て、、、」

お願いだからっ、、、直樹くんにだけには言わないでっ、、、!!

しかし、雪成の願いは届かなく、、、

「相模がお前のこと好きなんだってよっ!!」

おわっ、、、た、、、

教室にいたクラスメート達がざわざわし始めた。

「まじかよっ!!?」

「あの相模が?」

男子たちは、驚きながらもどこか楽しそうだった。

「はぁ?冗談やめろよ。仮に相模が俺のことが好きだって言っても、俺はこんないつもヘラヘラしている男女に言われても嬉しくねぇーよ。」

直樹は笑いながら言った。

そんな、言葉が雪成の心を傷つけた。

やばい、、、泣きそう、、、

「あー雪成ごめん~」

友達は笑いながら謝った。本気で謝ろうとしていなかった。


、、、なに、笑ってるの?ちゃんと謝ってよ、、、ひどいよ、、、


そして、茜はこの状況をみて平然と、

「仕方ないから、この際マジで告白すれば?」

雪成は・・・絶望した。

友達だと思ってた人達がこうも自分を心配してくれなかったことを、、、それは雪成にとって悲しい現実だった、、、。



大丈夫の一言も言ってくれなかった・・・

今までも、誰一人辛い時側にいてくれなかった・・・

友達・・・私、本当はいなかったんじゃないのかな・・・

きっと、昔から・・・


雪成の心の中は、ボロボロだった、、、


私の気持ちも最悪な形で直樹君に知られてしまった、、、

もうっ・・・いやだよぉ・・・


バンッ!!

雪成は、思いっつきり机を叩きつけた。

そして、彼女は気持ちを抑えて、、、

「なに言ってんの、私があいつを好きなんてありえないから~」


嘘をついた。

「えーうそ!?」

「好きだったんじゃないの!?」

私の周りにいた女の子たちは、驚いた顔をして雪成に聞き返した。

「うん!そういう風に見えただけでしょう?私があんな奴、好きになるわけないじゃん!!」

苦しい、、、

「なーんだ、つまんねぇーの」

男子のその一言から、みんなはさっきのことはなかったように、別の話をし始めた。

「あっ直樹!そういえば、今日こんなことがあったんだよ!!」

「マジで!?すげーな!!」

「茜ちゃん!この前借りたさ・・・」

「ああ、あれね!」




いつも通りの何気ない会話、笑い声、、、

 
ギュッ・・・

そんな光景がなぜか、私の心をきつく締め付けた。



「これで・・・いいんだ・・・」


雪成は、一人寂しくそうつぶやいた、、、

第二章 運命の歯車

<放課後>


雪成は週番だったため、一人静かな教室に残っていた。

もう一人の週番は、用事があるようで先に帰っていった。

「・・・はぁ・・・」

雪成はため息をついた。

「・・・今日は、散々だったなぁ・・・」

さっきの事は、雪成にとってとても辛い出来事だった。

「・・・なんで・・・こうなるのかな・・・?」

人に優しくしたり、相談事聞いたり色々しているはずなのに、私のときは誰も相談を聞いてくれないんだろう・・・

なんで・・・私の嫌がることを平気な顔で出来るんだろう・・・

みんなにとって、私ってなんだろう・・・

直樹くん・・・

『はぁ?冗談やめろよ。仮に相模が俺のことが好きだって言っても、俺はこんないつもヘラヘラしている男女に言われても嬉しくねぇーよ。』

「あはは・・・私、嫌われてるじゃん・・・」

嫌われているのを実感した瞬間、

私の目から涙が溢れでた。

「っ・・・止まらないっ・・・」

拭いても、拭いても止まらない涙。

辛い・・・辛いよぉ・・・誰か・・・側にいて・・・

・・・でも・・・


悲しい現実、叶わない願い。

そんな二つの切ないループが雪成の心を締め付けた、、、


あの後、やっと涙が止まった雪成は、週番の仕事を終えた。
                
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               ・
               ・


外は雨だった。

まるで、あの時泣いていた私のように静かで少し激しく降っていた。


あっ!しまった!!傘を持ってくるの忘れてたっ!!

うわぁ・・・雨すごいし・・・どうしよう・・・

こんな時間だと知り合いもいないし・・・

それに、いたとしても今は誰とも話したくない・・・


仕方ない・・・止みそうにないし、走って帰ろうっ!!!


タタタタッ!!!


走って帰ることを決心した雪成は、雨の中に飛び込み、全速力で走った。



しかし、、、



「痛っ!!!」

雪成は、転んでしまったのだった、、、


道路の真ん中で、、、



「そこの人!!あぶないっっっ!!!!!」


ざわざわと、焦る通行人たち

赤になってしまった信号。


「えっ・・・」


大きな真っ暗な影が雪成にむかって走ってくる、、、


ブッブーーーーー!!!!


振り向いたら、そこには大きなトラックが私に向かって走ってきていた。


まだ、なにが起きているか脳が追いついていなくて・・・

結局、なにもわからないまま、、、


キィィィーーーーーー!!!








そこで雪成の意識は途切れた。










------ここは、、、どこ、、、?


私、、、、死んだの?


じゃあ、、、ここは天国、、、?


すると、暗かった場所が急にバッと明るく光った。


目の前に、、、あの夢に出た女の人がいた、、、


「せ、、、つな、、、私たちの、、、戦士、、、」


真っ黒に染まった髪に、空のような綺麗な目の色、、、


「私たちを、、、助けて、、、」

私は、驚きのあまり閉ざしてしまった口を開けて

「あのっ!あなたはっ・・・」

質問を投げかけようとしたら、またあの明るい光が私を照らした。

「っ!!眩しいっ!!」

そして、また私の意識が薄れた、、、




『あはは・・・私、嫌われてるじゃんっ・・・』


  友情と恋の二つの悲しい現実。


『母さん・・・俺のせいで・・・』


  大切な人を守れなかった自分の弱さ。


『・・・れみちゃん・・・』


  自分の意思を言えずに起きてしまったすれ違い。


『はぁ・・・かなわないなぁっ・・・』


  ずっと想い続けた切ない恋心。


『俺に居場所なんて・・・』


  自分の居場所がほしいと願う心。


『父上・・・俺は・・・』


  厳しさに耐えられない本当の自分。




こうして、彼女との出会いが雪成とこれから会う、五人の戦士たちの運命を変えていくのであった、、、





、、、あれ、、、?

なんか、、、身体全体が、、、物凄いスピードで落ちている感覚が、、、

落ちている感覚、、、


落ちている・・・・・


落ちてるううううううう!!!!?


目を完全に覚めた時には、空の上でした。

「いやあああああああっっ!!!!」

えっえっ!!?なんでえええ!!?私、さっきまで女の人と話したよねええええ!!?

「なんで空の上にいるのおおおお!!!?てか、ここどこ!!?いや、その前に落ちるううううーーーー!?」


雪成は、只今混乱中。


「たすけてえええええええ!!!!」


                ・
                ・
                ・


ある一人の少年は、剣の修行を終えて自宅に帰るところだった。

「ハァハァ・・・ぐはー!!疲れた!!まさか、あんなところに熊の住み家があるなんてきいてねぇーよっ!!!!」

すいません。訂正すると、へたれな少年は剣の修行をしていた途中に多くの熊と遭遇してしまい、これは無理だと考え全速力で逃げて落ち着いているところであった。

「・・・なんか、誰かにバカにした言い方されているような・・・」

気にしないでください。

「まぁーいいや。それにしても・・・暇だー;もう一回、修行してくっかな?」

熊がいない場所で!

へたれな少年は心底そう思った。

「さーてと、また行くとするかっ!」

へたれな少年が歩きだそうと瞬間、空の上から声が聞こえた。

「たすけてえええええーーーー!!!!」

「ん?」

へたれな少年は、上を見た。

すると、先ほど空から落ちていることに混乱していた雪成が、へたれな少年に向かって落ちてきていた。

へたれな少年は、そんな雪成を見てこう叫んだ。


「空飛ぶ、豚ああああ!!?」

「ちがうわああああっっ!!!!」


へたれなダメ少年は、仮にも女である雪成に対してデリカシーのない言葉を放ったが、仮にも女である雪成は華麗にツッコんだ。


「「ナレーターは、黙れええええ!!!!」」

すみませんでした。


「ちっ・・・しょうがない・・・日々練習してきたあの技をここで出すしかないか・・・」

雪成は、手をクロスして、そして・・・

「必殺!!雪成ウルトラスペシャルアターーーークっ!!!!」

この世の者とは思えない、ダサい名前の必殺技をへたれな少年に向かって発動した。


ドカッ!!


「ぐえっ!?」

へたれな少年に、1000ダメージを与えた。



こうして、訳のわからない出会い方をした二人であった。

第三章 へたれな少年と仮にも女な主人公


、、、今日の俺ってついてないよな、、、


熊に襲われたり、空から変な豚が俺を攻撃したり、、、


バシッ!!!


「いっ・・・痛えーな!!」

「さっきから、呼んでも起きないし、それに!!私のこと豚って!!!」

、、、口に出てたのか;

それにしても・・・こいつ・・・

「お前・・・」

「?」

雪成は、首を傾けて不思議そうな目でへたれな少年を見た。



「なんか、普通だな。」



へたれな少年は、またもやデリカシーのない言葉を口にした。


「人の顔見てそうそう、そう言うかあんたはあああ!!!表出ろやあああ!!」

雪成は、へたれな少年に殺気立てた。

「すでに表だけどな。」

「ああ!!?」

へたれな少年は、空気が読めないのか、言ってはいけないセリフをいってしまった。

「で、お前誰だよ!?空からなんで降ってきたんだ!!?」

「あっ!そういえば・・・ここどこ?」

雪成は、周りを見渡したが自分のいた世界とはまるっきり違う風景だった。

「・・・お前、アホか?ここは、ミクライヤ草原。それなりに有名だから、知らない奴はいないと思うぞ?」

「アホじゃないっ!!ミクライヤ草原・・・聞いたことないな・・・何県?」

へたれな少年は、こいつ何を言ってんだっていう顔をし、

「何県って・・・よくわかんねーけど、地図で言うと西側地区で、ヨダン村に近いところだ。」

ヨっヨダン村・・・?

「あのぉー確認したいんですけど・・・ここって日本ですか?」

「はぁ?日本??なんだそれ、食べ物か?」


まっまさかの食べ物発言!?
こんな台詞が聞けるなんて・・・


「じゃあ・・・ここはどこおおおおおおおおお!!!?」

「・・・だから、ミクライヤ草原だって。」

               ・
               ・
               ・



雪成は、へたれな少年にあの女の人のこと、今までの出来事を話した。


「・・・ということは・・・お前は、異世界の人間で、その夢に出て来た女の人がお前をこの世界に送り込んだってことか・・・」

へたれな少年にしては、わかりやすいまとめをしてくれたが、へたれな少年はあんまり納得した様子ではなかった。

「はっ!?」

雪成は、なにか気づいたようだ。

「どうした?」

「服が変わってる!?」

「今さらかよっ!?」

へたれな少年は、雪成に華麗なツッコミをした。

「まぁ・・・お前は、嘘をつくような奴には見えねーし・・・一応、信じてやるよ。」

「本当っ!?」

雪成は、自分の話を信じてくれたへたれな少年にキラキラと目を輝かした。

「うっ・・・仮にも、一応って言う話で・・・」

「それでも、私のことを信じてくれるんだよね!ふふふ・・・ありがとう!!」

雪成は、嬉しくて満面な笑みをへたれな少年に向けた。

それを見たへたれな少年は、


「っ・・・だから、一応だっての。」


ちょっと困りながらも、一瞬雪成の笑顔が可愛いと思ってしまったへたれな少年であった。



「思ってねえーよっ!!」

素直になれないへたれな少年であった。


「そういえば、俺の名前言ってなかったよな?俺の名前は、黒神 祐也(くろがみ ゆうや)。」

黒神 祐也・・・なんていうかその・・・

「普通の名前だね。」

「・・・お前、さっきの事まだ根に持ってるだろ。」

「違うよっ!!ただ、もっとこうー・・・そう!リチャード・エルリック的な感じでっ!」

RPGのやりすぎで頭がおかしくなった雪成に対して、へたれな少年祐也は、こいつアホかという顔をして雪成に呆れていた。

「お前ってさ、よくアホとか言われないか?」

「アホ言うなっ!!ごほんっ!えーと、私の名前は、相模 雪成(さがみ せつな)。好きな食べ物は、卵料理っ!!特技は、特にないっ!!(ドヤッ)」

さすが、アホ雪成はいらない事もちゃんと言うみんなの期待を裏切らない、アホであった。

「さっきから、アホアホ言うなああああ!!!」

すみませんでした。

「んで、雪成。」

「なに?」

「首にぶら下がってる勾玉なんだけどさ・・・」

「え?」

雪成は、自分の首に勾玉のネックレスをかけていたことに気づいた。

「それなんだけどよ、俺も色違いのをなぜか持ってんだよ。」

「なぜかって、今まで持ってなかったの?」

「ああ、知らない間にポケットに入ってたんだよなー。」

祐也と雪成は、自分の勾玉をお互い近づけた。

すると、、、



パァァァ


「うわっ!!」

「なっなんだ!?」


勾玉が急に光りだし、その光が雪成と祐也を包み込んだ。

第四章 不思議な図書館


ピュュュー・・・ドンッ!!!


「のわっ!!!いってえ!!めっちゃいてえ!!今ので頭打ったあああ!!!」

さすが、へたれ少年。

「俺はへたれじゃねええええ!!」

はいはい。

「・・・ところで・・・雪成は?」

祐也は、周りを見渡した。

すると、アホな顔をして気絶している雪成を見つけた。

「おいっ!雪成っ!!しっかりしろっ!!」

ユサユサと雪成を揺らしても、雪成はさっきと変わらず、アホな顔で気絶していた。

祐也は、なかなか目覚めない雪成に、諦めたのか揺らすのを止めた。

「たくっ・・・あー調子狂うなぁ・・・まぁーでも・・・」

祐也は、雪成をチラッとみた後、何故か頬を赤くした。

そして、ボソッと小声で

「なんだかんだ言って・・・お前といると案外楽しいけどな・・・」

と訳のわからないところで、アホな顔をして気絶している雪成にラブコメに出てきそうな言葉を嘆いた。

「そんなこと言う前に、雪成さんを助けて下さいっ!!」

「∑のわああああっ!!?」

こーんなにも良いタイミング・・・ごほん、へたれな少年祐也にとっては、とーても悪いタイミングで自分の恥ずかしい言葉を聞かれたと思い、


「おっ・・・俺はそっそういうつもりで言ってた訳じゃないからなっ!!?かっ勘違いすんなよっ!!」


なぜか、へたれな少年のはずの祐也が、ツンデレ少年祐也になってしまった、、、

「・・・なんか、寂しそうですね。ナレーターさん;とっとにかく!雪成さんを助けてくださいよ~!!」


真っ黒に染まった髪に、空のような綺麗な目の色のした女の人が涙目をして祐也に救いを求めた。



真っ黒に染まった髪に、空のような綺麗な目の色の女の人・・・


ん?

祐也は、あることに気がついた。

「お前って・・・もしかして!!?」

「?」

                ・
                ・
                ・

ん・・・ここは・・・

なんか・・・薄暗いけど・・・

雪成は、閉じてた目をゆっくりと開けると


ヒョイッ

「よっ!目覚めたか?」

「ぎゃあああああああああ!!!?」

「なっなんだよ、急に騒いで・・・」

雪成は、目を開けたら顔が近くにあったため驚いた。

「あっあっあなたは・・・なっ何者!?」

「俺?俺は、七草 月夜(ななくさ つきよ)あの世とこの世を結ぶものだ。」


・・・ああ、私は死んだのね・・・


「って!!!さっきまで生きてましたけどっ!!?」

「・・・なに、逆切れしてんだ?」

これまた、マイペースな少年月夜にイラっときた雪成だった。


「でも、言ってることは合ってるぞ?」


ええー・・・じゃあここは、天国?それとも、地獄!?


「お前のいた世界が”あの世”で今いる世界が”この世”って訳だ!」


・・・ん?

「ちょーと待って、よく意味がわからないのですが・・・」

「そうだなー・・・まっ簡単にいうと、お前をこの世界に送った張本人だってこと。」


へぇーそうなんだーだから、あの世とこの世を結ぶ者なんだー・・・



って、


「ええええええぇぇぇぇぇーーー!!!?いやいや、マジで待って普通に考えてさ、あの女の人がやる役目なんじゃ・・・え?」

只今、アホな雪成は混乱中。

「まっ!人生はそううまくいかないことだってあるのさ!」


いやいやいやいや、そうやって誤魔化されても・・・普通は、どう考えても、あの女の人だよ!!

RPGのやりすぎでまたもや頭がおかしくなった雪成は、どうしても納得いかなかった。

「お前の気持ちは、わかる。俺だってそう思う。だけどな・・・あの女の魔力を舐めない方が良いぞ?」

・・・舐める?

アホな雪成は、どっからどう出したか分からないペロペロキャンディーを舐め始めた。

「いや、断じてその舐めるじゃない。それこそ、俺を舐めてるだろ?」

うまい!そして、寒い!!

寒い男の月夜は、雪成に親父ギャグを含めた、突っ込みをした。

「・・・ナレーターは、俺の事を馬鹿にしてるのか?」

いえ、してません。

「その女の人の魔力が強すぎるってこと?」

雪成は、不思議そうに首を傾げた。

「いや・・・その逆だ!!」

逆!!?

ということは・・・?

「あいつは、基本的な魔法でさえもおろそか、何が起きるかわからない・・・」

寒い男、月夜は何を思い出したのか、震えていた。


そっ・・・そんなに震える程すごいんだ・・・

雪成は、月夜のその姿を見てゾッとした。

「・・・という訳で、俺がお前をここに送ったんだ。」


・・・・・・うん。


「なんか、よくわかったよ・・・。」

今までの話を聞くと、その女の人が魔法で私を送っていたら・・・きっと、私はここの世界にもいなかったんだろうな・・・

人生は、そううまくいかない事を学んだ雪成であった。

「・・・それで、お前はこの世界は平和に見えるか?」

「うーん・・・今のところ、平和に見えるけど・・・まさか・・・」

月夜は、うなずいた。

「そう、裏ではあちこちに被害にあっている場所もある。だんだんと、その被害が全体的に徐々に広がって来ている。だが、その被害のことを政府たちが必死に隠しているみたいで、被害のことを知っている人間が少ない。」

月夜は、悔しそうな顔をして話を続けた。

「この被害は、人々全員に知ってもらわないと収まらない。それどころか、無意識にその被害に合ってしまう・・・。」

「そう・・・なんだ・・・でも、なんで私なの?私は、力もないし魔法も使えない普通の人間だよ?」

「・・・今からその事を話す。少し長くなるが、聞いてくれるか?」

雪成は、うなずいた。


月夜は、事のきっかけを話し始めた。


----------


俺とあの女・・・天都 星麗奈(あまつ せれな)が魔法学校の試験があるため、魔法の特訓しようと森の奥に行った時のことだった。


『月夜!!あっちに、図書館がありますよ!?』

星麗奈が、慌てて俺に図書館の事を伝えてきたんだ。

『は?こんな森の中に図書館なんて・・・・・・本当だ。』

俺は、驚いた。

森の中にあるはずのない、小さい図書館があったことに。

『なーんか、怪しいですね・・・行ってみましょう!!』

星麗奈は、その小さな図書館に走って行った。

『おっおい!星麗奈!待てよっ!!』

俺も星麗奈を追いかけるように、走った。

              ・
              ・
              ・

中に入ってみると、薄暗くて、ホコリや蜘蛛の巣があり、随分昔から使われていないとうのが、その時の俺の印象に残った。

『くっ暗いですね・・・ここは、光の魔法で!!』

『ちょっと待てええええ!!!』

ビクッ!!?

『どっどうしたんですか!?』

『どうしたんですかじゃねぇー!!!お前が魔法を使うと、とんでもない事があるから、禁止だ!!』

俺は、全力で止めた。

『そんな、ひどいです!!』

『とにかく、俺がやるからお前は見てろ!!』

----------

「あの時は・・・危うく、星麗奈に魔法を使わせる所だった・・・」

「・・・ご苦労様です。」

雪成は、月夜は結構な苦労人なんだなぁと感じた。



-----------

光よ、闇夜を照らせ

レーナ・ライト!!


ポォ、、、


俺の光の魔法で暗かった図書館が明るくなった。

『おおー!!やっぱり、月夜はすごいですっ!』

『べっ別にこんなの普通だ、お前が下手なだけだ。』

『むぅぅぅ~!私だって頑張ってますもんっ!!』

『本当か~?』

『本当です!!』


------------

「・・・ごめん、一つ良い?」

雪成は、月夜の話を一旦中断させた。

「月夜って・・・ツンデレ?」

「はっ!?ちっちげぇーし!!」

寒い男からツンデレと昇格された月夜の反応を見た、アホな雪成は、、、


・・・・・・うん。


やっぱり、彼はツンデレだと確信したのであった。



「そんで・・・・話に戻るけどいいか?」

「あっどうぞ。」

ツンデレ月夜は、話の続きを始めた。


-------------

『それにしても、ここの本は随分古いものばかりだな・・・』

『そうですね・・・』


その時だった



、、、セ、、、レ、、、ナ、、、


『ほえっ!?』

急に女の人の声が聞こえたらしく、星麗奈は、思わず振り向いた。

『どうした?』

俺は、星麗奈が突然振り向いたため、心配して声をかけた。

『あの・・・私の名前を呼びましたか・・・?』

『いや、呼んでないぞ?』

星麗奈の様子がおかしかった。



セレ、、、ナ、、、


また女の人の声が聞こえた星麗奈は、

『!!あっちから・・・・』

星麗奈は、声がする方へ走っていった。

『おっおい!!』

俺も慌てて星麗奈を追いかけた。


                ・
                ・
                ・

はぁ、はぁ・・・ここら辺だと思いますが・・・

すると、また星麗奈の耳から女の人の声が聞こえた。

、、、星麗奈、、、こっち、、、


女の人がそう言った瞬間、

星麗奈の目の前の本棚にある一つの本が薄らと光った。

『星麗奈!急に走るなよっ!!』

月夜は、星麗奈に追いついた。

『ここから・・・この光っている本から、私を呼ぶ声が聞こえるんです!!』

『この・・・本が・・・?』

星麗奈は、その本を手にとり、題名を呟いた。

『光の巫女と、、、六人の戦士たち、、、』

本にシールみたいなのが付いていて”約800年前”と記されていた。

どうやら、その本は800年前のものらしい・・・

星麗奈は、なぜか不思議な感覚がした。

まるで、その本が今後の自分に影響される気がして仕方なかった。

『・・・よくある本のタイトルな気が・・・なんか、不思議な感じがする。』

月夜もまた、そう感じた。

『なんですかね・・・私は、この本は初めて拝見するのに・・・』

『俺も・・・この本は初めて見る・・・とり合図、読んでみるか・・・』

『そうですね・・・。』

星麗奈は、その本をゆっくりと開いた。







二人が見た、その本の内容は・・・

第五章 光の巫女

私達の国は、平和でした。



しかし、ある時、妙な出来事が国中に広まりました。


自分が強い悩みや、願望など自分が弱っている時に”黒いマント”をした

人が現れて、願いを叶えてくれるらしい、、、

一つ目の願い時は、自分の大切なもの一つと引換えという条件として願い

を叶えてくれる。

だが、欲望が抑えきれず、二つ目を願ってしまう人がいる。

二つ目の願った瞬間、願いと引換えにその人の魂は”黒いマント”の人の

物となり、その人を人間じゃない何かに変えられてしまい、理性までも奪

われて、人々を襲いかかるという事でした。

とても悲惨で残酷な出来事でした。

そんな時、六人の戦士と巫女が現れ、”黒いマント”の人々の力を封じた

のだった。

そして、”黒いマント”に操られた人々も皆、元に戻り、国には平和が戻

りました。


光の巫女は、「国には、平和が戻りました。しかし、油断してはいけませ

ん。これから1000年後、、、100年後、、、いえ、もしかしたら近

い将来、彼らは復活するかもしれません。そんな時のためにも、みなさん

の子孫に、この出来事を伝えていかなければならないのです。

そして、みなさん自身が、強い悩みと欲望を乗り切らなければなりませ

ん!!もう二度とこのような悲惨な出来事が起こらないためにもっ!!

世界のために、、、そして、未来のためにも!!!」

この言葉を我々に残しました。



---それから、彼らの死後自分の能力を、また”黒いマント”の人々が復

活するその時に、素質のある後継者たちの中に閉じ込めた。

世界のために、、、そして、未来のために。




~光の巫女と六人の戦士たち~

光の巫女と六人の戦士たち

光の巫女と六人の戦士たち

ある一冊の本がきっかけで、異世界の戦士に選ばれた主人公。 「バナナっておやつに入る?」 「・・・それって聞く意味あるのか?;」 「ないっ!!!(ドヤッ)」 笑いあり、涙ありのオリジナル冒険青春ストーリー ~忘れられない、あの夏の日~

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-03-12

CC BY-NC-ND
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CC BY-NC-ND
  1. 第一章 隠された思い
  2. 第二章 運命の歯車
  3. 第三章 へたれな少年と仮にも女な主人公
  4. 第四章 不思議な図書館
  5. 第五章 光の巫女