少女の刹那‐第二章‐

少女の刹那‐第二章‐

カオルの記憶‐第一章‐を読んだ人だけに分かると思います。
次々公開していきますので楽しんで読んでいただけたらなと思います。

‐夏‐

カオルが目を覚める。
なんだか暑い。起きてみるとキッチンの方からぐつぐつと煮込む音が聞こえる。
「お・・・・・・お母・・・・・・・さ・・・・・ん・・・・・?」
(いるわけないよね。死んだんだもん)
「じゃないですよね。あの・・・・誰です・・・?管理人さん・・・・?」
「ん?起きた?カオルちゃん」
(こ・・・・この声は・・・・・・!!)
「九塁ショウでーす!腕の落書きまだ消えてないんだねー。っというか、春からお風呂入ってないでしょ?お風呂入ってきなさーい!」
「え・・・でも・・・・・ってか、なんで入ってるんですか!?どうやって?意味がわからないですよ!!」
「管理人さんに鍵をお借りいたしました♪」
(管理人め・・・!許さない!管理人のくせに管理できてねえじゃねえか!)
「どういって借りたんですか?」
「”姉弟”って言った。」
しばらく沈黙が続いた。カチっカチっと時計の針と蝉の声が部屋中に鳴り響く。
「・・・・・ねぇ・・・・ちょっと・・・・どうしてくれんのさ・・・・・」
「・・・・?なにが?」
「家賃が二人分になるじゃない・・・!今だってお金ギリギリなのよ!?」
「じゃあ、散乱してる服売れば?いい値段って買ってくれるとこ知ってえるよ?今から行ってみる?」
「・・・・・え・・・ちょっと・・・じゃあ、その前にお風呂入ってきます。あとショウさん、鍋・・・・」
「わおっ!忘れてたー。まあいいや。早くしてね。あの店お客来ないと閉まるから。」
カオルはお金が入るならなんでも良かった。
でも、ひとつ疑問があった。
私が気絶中にだれかの歌が聞こえた。
それは、知らない曲なのに懐かしい気がした。
それとそのあとに「あの時・・・事件・・・・」
という、途切れとぎれの一言がカオルの耳に届いていた。
あれは、一体誰だったのか。
「カオルちゃーん!そろそろ出ておいでー!」
「あ・・・うん・・ちょっと待ってて!」
タオル置き場に服が置いてある。服の上には『この服に着替えてください』と書いてある紙があった。
見たことない服だった。でも、一応その服に着替えた。
「あ・・あの・・・。この服見たことないんですが・・・。って・・・・・・!?」
言葉というと同時にみる綺麗な光景。散乱した服・ゴミが消えていた。
「あ、あの・・・この部屋なんです?見たことないんですが・・・・。」
カオルは、5年前にここに引っ越した。それから半年のあいだにあのゴミ屋敷。
2年前にあの事件が起きてから何も覚えていない。
あのまえに、あの事件のことすら覚えていない。
「片付けてあげたよ。あんなゴミ屋敷じゃ健康に悪いからね。」
「あっ・・・と・・・えっ・・・・と・・・・・あ・・・・・あ・・・・・」
「『あ』?」
「その・・・・・・・・・あり・・・が・・・・とう・・・・」
「いいよ。さあ、早くご飯食べていこう!」
机の上には、綺麗に食事が並べられている。
カオルは、久しぶりのちゃんとした食事にがっつく。
ずっとカップラーメンだけの食事だけだった。
ショウは、カオルが食事に夢中になっているあいだ、まだ片付けていないゴミを片付けた。
その時、ショウはあるものを見つけた。
5年以上前のアルバム。
そのなかには、ショウとカオルが笑顔で写真に写っていたものがあった。
「か・・・・・カオルちゃん・・・・・・。」
「ん?なに?」
「こ、これ・・・・」
「へ?なにそれ?てか、ご飯おいしいね。ありがとう。」
カオルはご飯にがっつく。ショウは、アルバムを棚にしまいアルバムのことは後回しにした。
「・・・・・さ、さあ!カオルちゃん!そろそろ行こうか!」
ショウは作り笑顔でそう言った。ご飯に夢中のカオルさえ作り笑顔で言ってることはわかったほどだった。
カオルはちょっと気になった。
カオルは、ご飯を食べ終え、出かける準備をした。
「カオルちゃーん!今何円ー!?」
「えー・・・えーと・・・・52円・・・・(笑)」
「!?」
「だって!だって!電気代・水道代・家賃・食事代がいっぱいかかるんだもん!」
「カオルちゃん、早く行こう。さあ、売る服はこれでいいか確認して!残すものとかない?」
「えー・・・っとー・・・・・・あ・・・・これ・・・・」
カオルが見つけたのは、なぜか5年前からずっと大事にしてるペンダント。
それは、ショウからもらったものだった。しかし、カオルは覚えていなかった。
「それは・・・・!」
「どうしたの?ショウちゃん。」
         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「え・・・・・今・・・なんて・・・」
「え?あれ?ごめんね。なんか、ショウちゃんのほうがいいかなって思って。馴れ馴れしかったかな?」
ショウは、泣き出しそうだった。なぜなら、5年前の呼び方は、”カオちゃん””ショウちゃん”だったから。
5年前もカオルは「馴れ馴れしかったかな?」といっていた。
ショウは、一粒雫を落とした。
「え・・・ちょっと・・・何で泣いてるの・・・?え!?・・・なんで!?」
カオルから見たらショウは大泣きしていたかもしれない。
カオルはハンカチをショウに渡した。
「と、とにかく、これで拭いて。」
「うん。ありがとう。カオちゃん。」
ショウが「カオちゃん」と言ったとき、カオルの頭に激痛が走った。
そのまんま、カオルは倒れた。
「え・・・ちょっと・・・カオちゃん!?ねぇ・・・ちょっと!カオちゃん・・・・!!?」
ショウは、急いで救急車を呼び、カオルを病院に運んだ。
ショウは、カオルの手をギュッっと握りしめ、
「カオちゃん、起きて!あの時みたいに僕を一人にしないで!」
と何回も言い続けた。

少女の刹那‐第二章‐

まあ、最終章まで頑張りたいと思います。
次は、第三章で「カオルとショウの過去-5年前のあの事件-」です!
楽しみにしていてください!

少女の刹那‐第二章‐

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-03-12

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二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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