コインロッカー・ベイビーズ

1980年村上龍著

やっと。読み終わりました。
長かったな…。
コインロッカーに捨てられたハシとキクと、金持ちの少女アネモネたちの繰り広げる物語です。
私は知らなかったんだけど、都市伝説でコインロッカー・ベイビーというのがあるんですね。この作品とは全く関係ないですけど。

書いた時点での未来を想定して描かれてますね。
ハシとキクは1972年に生まれて、成長したのが18才くらい?かな。
この作品は1980年に書かれてるから、少なくとも数年先の未来なわけです。
といっても、この作品はSFですね。
完全なフィクションです。
薬島の世界観はリドリー・スコットのブレードランナーに近いものがあります。
荒廃した未来とでもいうのか…。
Final Fantasy 7の世界観にも似てるかな。

出てくるキャラクターはみんな魅力的でした。
アネモネなんか絵になりますよね。
モデルの美女だし。
ワニを飼ってるのもおもしろかった。
特製の水槽に入れて飼ってます。
ワニが高速道路で飛ぶシーンも脳に焼き付いてます。
あれは笑えたな。

キクは硬派のかっこいい感じ。
ハシは軟派のヤサ男。
物語は途中からハシのスター街道まっしぐらな話と、キクのダチュラ探索の旅に別れます。
その辺から話はおもしろくなってきましたね。
子どもの頃の話はただ悲惨な感じがして、遠巻きから眺めてるだけだったけど、成長してからは身近に感じて共感したりしました。

この作品は台詞がカッコでくくられてないところが頻繁にあって、おもしろい効果を生んでますね。
その章の視点の登場人物が考えてることなのか、実際に話してることなのかが、わからないようになってます。
慣れるまで変な感じがしたけど、脚本を読んでるわけでもないので、別に普通なことですよね。

それにしても出てくる人がみんな嫌な奴なのには閉口します。
読んでて暗ーい気持ちになるんですよね。
世の中の底辺をのぞいている感じ。
上の方から地獄の底をのぞき見る感じとでもいうのか…。
いずれも起こりえることなので、驚きはしないんだけど、なんだかなぁという感じがします。

カンブリア宮殿に出てる村上さんとは結びつかないなぁ(笑)。
イメージが違うんだな。
いまはこういう小説は書けないんじゃないだろうか…。
続編を期待してしまうのは、私だけ?
この作品は一冊の本では完結してないように感じるんだよなぁ。
言いたかったことは全部書けたのかなぁ?
という作品でした。

コインロッカー・ベイビーズ

コインロッカー・ベイビーズ

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-03-11

Copyrighted
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