野良猫生活
面倒くさい
朝、都会から外れた街にある
ボロアパートで
隅谷三郎は目を覚ました。
「めんどくせー」
ボサボサになった髪を掻きながら
起きて一番に呟いた。
「めんどくせー」
これは、昔からの口癖だ
どんな事にたしても「めんどくせー」と思っていた。
最近では
生きてるのがめんどくせーと思うほどだ。
おしゃれをするのも面倒くさい
そんな自分には彼女もできたこともない
黒く天パー気味のボサボサの髪の毛
ポツポツと生えた髭
常に眠そうな目
こんな姿でもうすぐ20だ
そんな事を考えながら
煙草をすい今日のバイトの準備を
していた。
今日のバイトは
日雇いの建設現場でのバイトだ
今まで日雇いのバイトでその日暮らしの生活をしてきた。
そもそもこんな性格だと普通のバイトは長く続かないのだ。
しかし、建設現場での日雇いは過酷な肉体労働だ
そんな事を考えると朝から憂鬱になる
三郎は眠たい目をこすりながらも部屋を出た
太陽の朝日が自分の顔を照らし眩しい
ボロアパートの階段を下りて行くと
下では大家の安子婆さんが必死に野良猫を追い払っていた。
そんな光景を見ながら三郎は
「猫が嫌いなら、何でアパートの名前が“マタタビ荘”なんだよ クソババア。」
とか、思いながら自作の
面倒くさい歌を歌いながら仕事場に向かった。
黒猫
夜
仕事で疲れた体を引きずるように三郎は夜道を歩いていた。
今日も疲れた。
昔から面倒くさい、面倒くさいと言ってるが人から頼まれると断れない人間で今日もそれが仇となり過酷な仕事ばかり押しつけられてしまった。
「めんどくせー」
そんな口癖になった言葉を呟きながら帰り道を歩いていると
一匹の黒い野良猫が月明かりに照らされながら三郎の方を見ていた。
近づいても、その黒猫は逃げもせず耳をかいていた。
そんな、黒猫の撫でながら
「お前はいいよなー
自由気ままで、のんびり毎日をすごせて。でくることなら俺も 猫になりだぜぇ」
三郎は黒猫にそう言って黒猫から離れた。
部屋に戻って三郎は意識失うようにして眠りについた
明るい満月の明かりに照らされながら
化ける
次の日、目を覚ますと何かいつもと違う感じがした。
何故だか、天井が高く見えるのだ。それに、自分の寝てるベッドもやけに大きく感じる。
寝ぼけているだけかと思いながら身体を起こすとまた異変に気づいた。視点があきらかに低いのだ。
三郎は
「ふぁっ!?」
と謎の奇声を発したあと急いで部屋に置いてある鏡の前に立った。
鏡には
二本足で立つ眠そうな目をした、三毛猫が映っていた。
野良猫生活