戦国美容室~天下分け目の戦い~
先日近所にオープンした、「戦国美容室」に行ってきた様子をレポートしたいと思います。
いやもうね、すんごいんですよこの美容室。
コンセプトが。
入店するとまず、
ブオーーー
ブオーッッッ
パオーン。
高らかに鳴り響く法螺貝。
法螺貝って。
どこで買うのかもわからないし、よくもまぁ法螺貝を吹けるバイト(職人)を探したもんです。
座敷に上がると、3つ指ついた小姓がうやうやしくお出迎え。
「お帰りなさいませ、お館さま!」
おやかたさまって。
信玄限定じゃないですか。
山梨県民が泣いて喜びます。
どうでもいいことですが、子どものころ、隣近所の今でいう「歴女」と呼ばれる六歳くらいのレイディが、
動かざること舘ひろし!
動かざること舘ひろし!
って連呼しながらクネクネ変な動きをしていたのを思いだしました。
きっと館と舘を誤ったんでしょうね。
読みは両方とも『たち』ですからね。
惜しいですよね。
その少女が、クネクネし続けて興奮してくると、
動かざることたちっぱなし!
動かざることたちっぱなし!
って頬を赤らめながら連呼するんですよね。
お父さんお母さんの夜の営みでも見てたんでしょうか。
少しあとに、弟生まれてましたしね。
まぁ、どうでもいい話なんですけどね。
だいたい、ばなしと言えば、私豊田エリーのファンなんですけど、
「ぱなしはなし!ってはなしです~♪」
って言っときながら、相方出しっぱなしでしたよね。
文句言いたいんですけどね。
言えませんけどね。
全然関係ないですね。失礼しました。
さて、話を戻して戦国美容室。
奥に通されると、待ち構える筋骨隆々とした雑兵。
シャンプー台に通される。
「水攻め入りまーす!」
勢いよくガシャガシャ洗われるマイヘヤー。
すごく雑に(雑兵だけに)洗われるのでものすごく痛い。
「あの、すいません。かゆい…じゃなくてものすごく痛いんですけど…」
無言の雑兵。
構わず攻められ続け、シャンプーの泡立ちが悪いため、引っ張ったり伸ばしたりされながら、髪がゴムのようになりました。
シャンプーの容器を見ると、
シャボンヌ
※ポルトガル製
の文字。
石鹸じゃないですか。
南蛮渡来の。
これじゃ泡立ちません。
大事なマイヘヤーがたくさん抜けました。
(20代後半は特に頭皮がデリケートな時期なのに。)
さていよいよカット。
もちろん畳に正座。
これから首級を上げられる気分。
『謙信』とネームプレートに書かれたイケメンが登場。
「謙信です、フゥー!!!」
いきなりざくざくとはさみを入れる謙信。
焦るわたし。
「ちょ、いきなり。メニューとかはないんですか」
不思議そうにわたしを見つめる謙信。
「あぁメニューですね。基本は『ザンギリ』ですけど、あとは『マゲ』と、『カネツグ』がありますが」
「『マゲ』って何ですか」
「ヅラです」
「あぁ、カットのメニューではないんですね・・・。『カネツグ』はなんですか」
「いやだなぁ、あれですよお客さん。『愛』って漢字の剃り込みを入れるんです。エグザイルがよくやってますよね」
やってねぇよ。エグザイルはそんなことやってません。
「『ザンギリ』でいいです・・・」
「わかりました。フゥー!!!」
フゥー!!!入らねえよ。
無造作にざくざく刈り込まれるマイヘヤー。
「ところでお客さん。関が原はどうなさいます?」
せきがはら。
「なんです。関が原って」
ため息をつく謙信。
「もー。だから天下分け目のことですよ」
「あぁ、分け目ね・・・。」
天下分け目の関が原。
「好きにしてください。特にこだわりはないので」
「わかりました。それでは、ツーブロックにしますんで、オンのときは西軍優勢で、オフのときは、ま・さ・か・の、東軍優勢!?みたいな感じでいっちゃいますね。ウフフ」
ウフフじゃねえよ謙信。
大事な大事なマイヘヤーがつぎつぎに討ち死にしてゆきます。
ふと、向かって正面左、西側の頭頂部の一角が集中的に刈り込まれていきます。
禿げ上がっていく西側の頭頂部。
・・・
・・・
まて!謙信!そこは松尾山じゃない!!!
このままでは一部分だけが、草も生えない焼け野原になってしまう。
「あの! もういいです! これ以上は!! ストップ!!」
「え、なぜです。これからが面白いところなのに」
面白いで大事な兵士を失ってたまるか。
だいたいこのままだと大変珍妙な髪型にされる可能性が非常に高い。
すでに取り返しつかない感じになってきているのに・・・。
「もう終わりでイイ!帰ります!」
「唐突になんですか。分かりました。ただ、マッサージだけさせてください。」
「すぐ済ませてくださいね」
「わかりました」
・・・
頭をこつんと小突かれる。
「あの、文明開化って言って貰えませんか」
「は? 意味がわかりませんが」
「お願いします。社長に怒られちゃうんで。」
「・・・。文明開化・・・」
頭をこつんと小突かれる。
「・・・。文明開化・・・」
なんだこれ。
「ありがとうございました!」
急いで店のカウンターに向かう私。
「お会計を!!!」
奥から慌ててごつい男が出てくる。
男塾の平八のような風貌。
「申し訳ございません!謙信がそそうをしたようで!」
頭を私のおでこに摺り寄せてくる平八。
「あなたは誰ですか」
「店長の『富国恭平』です。」
ふこくきょうへい。
・・・
「いやもういいです。二度と来ませんので、早くお会計を」
「いえ、そういうわけには!お代は結構です!!お詫びといってはなんですが、このシャンプーをお持ちください」
「いえ、南蛮渡来のヤツは結構です。見るのも不快です」
「違います。モッズです。モッズのイイヤツです」
「モッズ・・・。これ他店のじゃないですか」
「はい、出荷元から大量に買占めました。兵糧攻めです」
「いいかげんにしてください!だいたいあなた戦国時代じゃなくて明治時代じゃないですか!!!」
「なんと!お気づきになられましたか!フフフそうなんです。私は実は・・・」
※気になる続きは次号!
レポートいたしません。
全部嘘ですからね。
おそまつ!
戦国美容室~天下分け目の戦い~