青春せよ

部活内で出したものに付随するものです
一年生の宏樹くんと、三年生のお姉ちゃんの卒業話です
部活で出したものに付随してるので、内輪ネタでございます

-都内某所3月9日-
「なな姉!起きろって」
自室で寝ている、俺(夏野 宏樹)の姉(七花)を起こす作業。
「んむぅ……早くないっすか宏樹くん……」
はぁ、なな姉はいつもこうだ。遅刻するってんのに全然焦る気がない。それでいて、遅刻免れているとかほざくので一回怒られて欲しい。
「今日卒業式でしょ。最後の登校なんだからしっかりしてよね」
俺の2歳離れた姉は今日卒業する。
「そうねー。卒業ねー。佐久谷くんにも会えなくなっちゃうのかー」
「なぜ佐久谷さん?」
朝食の卵かけご飯を丁寧に混ぜながらしみじみ言う姉に、思わずツッコミ。
なに?どういう関係なの。
「んー?宏樹も知っていて、別れるの寂しい人」
まあ確かに俺は三年生よく知らないし、知ってるの稚捺さんの入っている同好会の人ぐらいだけど。姉ちゃんは男女関係なくお友だち人間だからなぁ……。
ま、佐久谷さんと姉ちゃんで色恋に発展することはまずないな。
「あー。稚捺さん卒業式こないのかなあ。ねえどうなの?」
「ぶっな、なんでここで稚捺さんの名前が出るんだよ!姉ちゃん稚捺さんとほぼ面識ないに等しいじゃん!まだ会っても警戒されてるでしょ!」
むせた。ご飯喉に詰まるかと思った。地味にいてえ……。
稚捺さんというのは、俺と同じクラスで可愛らしい背の低い女の子のこと。
「えー。だって佐久谷くんと稚捺さんはセットでしょ」
「いや佐久谷さんとセットなのは蒼野先輩でしょ」
「あー幼馴染みくんかぁ。彼こそ私面識ないやー」
なな姉なら蒼野先輩とも仲良くできそうだけど……そんなことないのか。俺が敵対視されてるかもしれないからなぁ。
「で?」
「はい?」
姉ちゃんはごちそうさまと言ってから、楽しそうに笑いながら言ってきた。
「稚捺さんとはどう?ってこと」
「はぁぁぁ?な、なんで今っどういう流れで……!」
「?とても自然な流れじゃないの」
うわぁそのさも当然でしょっていう顔……
「どうもなってないし、今後どうなる予定もないよ」
動く気の皆無な姉ちゃんの分の食器も、流しに入れながら俺は言った。
「え。諦めちゃうの?」
「諦めるっていうか……あの子は難しいよ」
過保護なくらいの保護者もいるし。まあ一人は卒業しちゃうけど。
「えー。難しいからって諦めちゃだめだよー」
……?
「だってさぁ、諦めたらそこで終わりじゃん?どーせ終わらせるなら、せめて後悔しない終わり方にしてよね。諦めても、後悔しない?」
……珍しく正論を言う姉ちゃん。
「し、ないとは言えな……」
「だったら迷うな」
俺が全てを言い終わらないうちに、姉ちゃんはまっすぐ俺を見ながら言ってきた。
焦げ茶色の二つの目が、不安そうな俺を捉えて、そらさない。
「青春せよ、高校生っ」
姉ちゃんは、いつも通りの笑顔でそう言うと、今日で最後の制服に着替えに行った。
「食器ぐらい洗えっつーの……。ったく」
しゃーねえな。背中押してくれたし、洗ってやるか。
『青春せよ、高校生っ』ね。


「では、卒業式に行って参ります!」
私は元気よく弟と母さんに、言った。
「行って参りますって、おかしいから」
「まったく……高校生最後くらい普通に行きなさいよ」
むぅ。二人は冷静すぎる……。
「いーじゃん。これが私だよ。じゃ、行って参ります」
「……はいはい。行ってらっしゃい」
「姉ちゃん、卒業おめでとう。先に言っとくな。あとで行くけど」
我が弟は恋に悩んだり、三年生に挨拶したり、立派な青春ですな。
「ありがと」
だから私は笑顔で、高校生という青春にもさようならをする。
大学生になったら、別の青春が待っていると思いながらね。

『青春せよ、高校生っ』

青春せよ

自分の高校の卒業式に合わせて書いたら大変なことになりました
完璧自己満のお話。
初投稿これですね……
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青春せよ

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-03-08

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