花火

灰色の海に 低く上った月が
さびしく 浜辺を 映し出す
こんな夜は 気付かぬうちに
涙が 頬を 伝って落ちる
「なんとなく悲しいね」花火を見ていた
あなたの瞳(め)が 海の色に 染ったとき
2人の間を冷たい風が通り過ぎるのを感じた
しあわせすぎた あのころの2人は
こわれかけてた小さな夢を
とりつくろうのにせいいっぱいで
作り笑顔の暗い影に
別れの予感を知ることは できなかった
季節の流れといっしょに 流されていった心のかけら
今さら さがしはしないけど
花火のような青春が
今になって鮮やかに 瞳の底に蘇る



1979

花火

花火

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-03-08

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