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読みにくくてごめんなさい。

遠くを見つめた。
そしてそのまま辺りを見回す。
私は、手に持っていたバッグをぎゅっと握り締め、ごくりと唾を飲み込んだ。
此処までくれば、私の事を知っている人は、誰もいなぃ。

バッグの中には、ハンカチ、ティッシュ、くし、ミラー、残り少なぃリップクリーム、目薬、おサイフ。
そして、教習所代として親から渡されてある30万。
携帯は、ジャケットのポケットの中にある。もう、電池が1つしかなぃ。
充電器を持ってこなかった事を、すごく悔やんだ。
コンビニか何かで、使い捨ての充電器を買えばいい、って思ってたのに。此処にはコンビニなんてなかった。「店」と呼べるものすら見つからなぃ。
ぁー。変なところに来ちゃったなぁ。
いっつもそうなんだけど、私は判断力というか、運というか、全然なぃみたい。
ただ、おもいきりだけはいい。
今日も、何気なく家を出て、友達とキャーキャー戯れて、そして、もうすぐ日がかわるって時間に、住所も何もわからない、こんな所にいる。
知らない駅で、降りてみたかったんだ。私の事なんて、誰一人知らない所へ、行きたかった。
って、ふと思ったのが帰りの駅ホームで。急いで帰る方向とは逆のホームへ行った。
次の電車は13分後だった。何個か先の、さっきまでいたホームを見ると、私が乗るはずだった電車が、ちょうどホームにゆっくりと滑り込んだところだった。
不思議な感じ。
こっちも電車がきまして、乗りました。がらがらで、座れたんだけど、ドア付近にたって、外を見ていた。昼間は外の景色しか見えないのに、夜は、電車内も映るから、キラィ。私の顔も、映っていた。見たくなんかなかったけれど、仕方ない。
その後色々と乗り換えてみて、私鉄に乗る事にした。それで、適当な駅で降りてみたら、無人駅だし。
しかも、私が乗ってきたのが終電だったみたい。早い終電だ事。
だからとりあえず、コンビニを探そうと思ってぷらぷら歩いてたんだけど。
ねぇし。
しかも駅から遠ざかるにつれて、街灯も少なくなっていった。家もぽつりぽつりとはたってるんだけど、人が住んでるのか住んでないのかもわからなぃくらい真っ暗で、古びてて。「今日泊めてください」なんて、そんなの気軽に言える感じじゃない。
寝たきりで今にも死にそうな老人とか、いそう。孫に間違われそう。ねずみとか、普通にいそう。くもの巣とか、はってそう。
まぁ、都会で同じ事をするよりは、こっちの方が断然泊めてもらえる確率は高いとは思うんだけど。
とか何とか言っているうちに、携帯の電池が、ご臨終。
ぇーと。時計なんて、持ってません。友達の電話番号?全て携帯の中です。
…さいっあく!
足元にあった、ちっちゃな小石を思い切り蹴飛ばした。
蹴った場所が悪かったみたいで、それは前へは飛ばずに、斜めに、田んぼの中へダイブしていった。ぽちゃんって、音もなく、黒い水の中に吸い込まれていった。
急に虚無感が襲う。
私、ひとりぼっちだ。
そう思ってしゃがみこんだら、今まで散々歩いてたせいか、足が痛み出す。
さっきまで、全然平気だったのに。
涙が、ぽろぽろと、こぼれてきた。
どうしよう、どうしよう。
バカみたいだ。お金があれば、何処でも生きていけると思っていた。
お金さえあれば。
何時間か前に、笑顔で別れた友達の顔がうかぶ。
はぁぁぁ、私バカだ。ほんとバカだ。
今、何時なんだろう。
今、何処にいるんだろう。
今、私の事を考えてくれてる人は、どれくらいいるんだろう。
どうしよう、どうしよう。
最近だいぶ、気温も高くなって、ぁーもうすぐ夏がくる~なんて思ってたのに、夜はやっぱり、肌寒かった。
薄着な自分が、更に虚しい。
暗い中歩いてたせいか、方向感覚もわからなくなっちゃって。
駅も、どの辺だったのか、全然わからない。
涙だけは、とまらなくて。
でももう、歩く気力もなくて。
途方にくれるっていうのはこういう事なんだなぁ、とか思っていた。
せめて携帯が使えたらGPS機能使って…。
っぁー。物に頼ってるなぁ。依存だ依存。
…はぁ。
その時バイクのエンジン音が聞こえた。
ぇ、何処からだろう、急いで立ち上がると、見えた。
ライトがこっち照らしてる。
道の真ん中で必死で手を振る。誰が乗っていようが構わない。ぉまわりだって、何だっていーよ。とにかく、人に会いたかった。
キキッ。
とまってくれた。…というかこんな狭い道じゃ、止まるか私をひくかの二者択一だからなぁ。
「あのっ、」
私が近づいて声を掛けると、メットをとった中から現れたのは、
「ぁー!!!」
2人して、ではなく私一人が声をあげた。
高校時代の男友達だった。
「こんなトコで何してんの、あんさん。」
そうテンション低い声で言われて。少し戸惑う。
「…帰れなくなっちゃって。」
その後 此処まで来たいきさつを話したら、
「バカだろ、お前。」
の一言。…。
「バカですっ。」
もう自棄だ、くそぅっ。ぁー、バカですょ、バカですょ。ははははは。…は。
「どうすんの?」
「ぇ?」
「これから。」
これから…。あんな家には帰りたくないんだけど、結局私が帰る場所ってばあそこしかないわけで。
「家に帰りたい。」
そう言った。ふと気付き、慌てて聞く。
「そういえば今何時?」
「ぇーっと、1時ちょい過ぎ。」
まだそんな時間だったのか、とか思ったけれど、私は随分長い間歩き回っていた事になる。
「家何処?」
「ぇ、」
そう聞かれて場所を説明する。
「送ってくよ。」
メットをかぶりながら奴はそう言った。
「は?あんなトコまで?」
「こんなトコじゃ泊まる場所もないっしょ。」
…そ、それはそうですけれど。
一体あんたは何で此処にいるんだよ、とか思ったけどあえて聞かなかった。
「じゃ後ろ乗って。」
ののの乗るゆうても、ぇ、マジなの?こいつマジでウチんちまで送ってくれるつもりなわけ?
「早くしなさい。俺も家帰って寝たいんだから。」
「は、はぃっ…。」
大慌てで後ろに乗る。当然メットは1つしかないわけで。私はかぶらなくていーんかな~って思ってたら、奴はさっきかぶったメットをさっととって、私にかぶせた。
「事故るとヤダしね。」
…。びっくりした。何がって?とにかくびっくりしたんだょ。
バイクで行っても、一体私の家までどれくらいかかるんだろうって思ったけど、もうそんな事どうでもよかった。
何か、わくわくする。
後ろに乗りながら、空を見上げた。星が、綺麗だった。

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これを読むとあの日の事を思い出します。

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-03-08

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