ほろ苦い味

前も後ろも分からない15歳の少女は年上の男と出会い
恋に溺れ恋に恋をして...
名前も年齢も知らないけれど...何も知らなくていいよ。
ただ隣にいれるこの夜が、この先も続いてほしい...
人生のうちにいくつの出会いがあるだろうか。
そのうちの一つの出会い...
少女の甘くて苦い恋のはなし。

出会い


辺りは暗くなり遠くでは原付の音が鳴り響いている。
その音は少しづつ近付きやがて頭に響くほどの音になり私達の前で音は止まった。


「どうも」

私は軽く頭を下げた。
原付に乗っていた男がチラッと私を見て軽く頭を下げた。

私は中学を卒業し違う街に引っ越した後も同じクラスだった菜都(なつ)とよく遊んでいた。
そんな菜都と街で出会った同い年の男子達と私の団地の下で他愛ない話をしていた。


そんな時だったからだろう。
原付の男が知り合いなのだろうと自然と理解できた。

「先輩こんばんわ!」

いっせいに男子達が立ち上がり原付の男に頭を下げた。

あぁ。めんどくさい感じだ。
私は心の中で ハァ、とため息を付いた。


その後は先輩も加わり楽しげに話していた。
私と菜都を外して...

男達の話に入れずに私と菜都は何歩か離れた所にある
ベンチに座り煙草に火を付けた。


今年中学を卒業したばかりの15歳が深く煙を吸い込みフゥーと煙を吐く。
それを見ても誰も表情を変えないのは
喫煙する中学生は最近では珍しくないということだろう。


そんな時だった。
一人の男がこちらの方に歩いて来るのが見えた。

髪は長く後ろに流し黒いワイシャツ姿を見ると、
ここに居る男達の友達ではないことは明らかだった。

ほろ苦い味

ほろ苦い味

誰もが一つは持っているでしょう。 胸が潰れるほど愛おしく感じた恋の思い出。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-03-07

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