swing
移り行き
初雪が降った日、私はあの時のように行き先が分からないバスに乗った。
どこへ向かうのか分からない期待と不安が、今の私の心情と重なって、
なんだか可笑しくて「くすっ」となった。
外の景色を見たくて窓に目をやるともう真っ白になっていて、
景色なんて全く見えなかったから、
久しぶりに♡マークなんか書いたりして、照れ臭くてすぐに消した。
小さな窓から見えた景色は、うっすらと白に覆われて、なんとも幻想的で 暫く目を奪われた。
ふとよぎる昔の憧れはもうなくて、代わりに生まれた温かいものが初雪の寒さを消してくれた。
淡い白を眺めながら、この先どこへ向かうかまだ分からない期待と不安を胸に抱えて、
今日はこのままバスに揺られていようと思った。
swing