swing

移り行き

初雪が降った日、私はあの時のように行き先が分からないバスに乗った。

どこへ向かうのか分からない期待と不安が、今の私の心情と重なって、

なんだか可笑しくて「くすっ」となった。

外の景色を見たくて窓に目をやるともう真っ白になっていて、

景色なんて全く見えなかったから、

久しぶりに♡マークなんか書いたりして、照れ臭くてすぐに消した。

小さな窓から見えた景色は、うっすらと白に覆われて、なんとも幻想的で 暫く目を奪われた。

ふとよぎる昔の憧れはもうなくて、代わりに生まれた温かいものが初雪の寒さを消してくれた。

淡い白を眺めながら、この先どこへ向かうかまだ分からない期待と不安を胸に抱えて、

今日はこのままバスに揺られていようと思った。

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-03-06

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