綺麗な国の王さま

その国には、ゴミがあふれていました。
王さまは、ある日パーティーを開いて、国民にご馳走を用意します。

ある国のことです。
その国は、ゴミだらけでした。
旅行にきた人が、「汚くてイヤだ」と言うくらい
道にも川にも海にも畑にも、
ゴミがあふれていました。

ある日王さまが、パーティーをすると言いました。
「国民のすべてを、一番見晴らしの良い展望台へ入れて、パーティーをする」
国民は大喜びで、お城の展望台へやってきました。
展望台で、美味しいものをたっくさん食べて、
賑やかな音楽に合わせて踊って、お喋りをして楽しみました。

みんながお腹いっぱいになった頃、
王さまが言いました。
「次のパーティーは1ヶ月後である。」
わぁっと喜んだ国民に、王さまが、続けて言いました。

「みんなには、今日のおみやげに、30枚の袋を渡す。毎日その袋にゴミを一杯に入れて、城に持ってきてほしい。」

毎日袋にゴミを入れてきて、最後の袋を持ってくる日が、
次のパーティーだ。
また、みんなは展望台に上がって、ごちそうを食べて、
歌って踊る。

最後に王さまは言った。
「その日に、全員に良いものをプレゼントする」

国民はさっそくゴミを拾い始めました。

一日目、家を出てすぐに目に付いたゴミを拾うだけで、袋は一杯になりました。
二日目、お城に行く途中の道で、袋は一杯になりました。
三日目、お城の門に付く前に、袋は一杯になりました。
四日目、お城の門に付く前に、ちょっと寄り道をして袋を一杯にしました。
毎日毎日国民は袋を一枚ずつ、ゴミで一杯にしてはお城へ持って行きました。

兵士はゴミ袋を受け取り、笑顔で「ありがとう」と言いました。

町の人たちは毎日毎日、ゴミを拾ってはお城に行って、「ありがとう」と言われては
家に帰りました。

そうして、一ヶ月が過ぎました。

もらったゴミ袋の、最後の一枚にゴミを沢山入れて、
国民が一人、また一人とやってきます。

兵士が、ゴミ袋を受け取り、笑顔で「ありがとう。展望台へどうぞ」と言いました。

国民は展望台へ上り、
一ヶ月前と同じように食べたり飲んだり歌ったり踊ったりを
楽しみました。

王様が現れました。

王様は国民に言いました。

「みんな、毎日のゴミ拾いをよくやった。
おかげで、沢山のゴミが城に集まった。
とても沢山だ。

そして、みんな、私からの贈り物を見てもらいたい」


王様は、展望台から町を見下ろしました。

国民も、展望台から町を見下ろしました。



そこは、とても綺麗な国でした。

夕日が町を照らしていて、
レンガがきらきら光っていました。

ゴミは、ひとつも見当たりませんでした。
家も道もぴかぴかで、

とても綺麗な国でした。



王様は言いました。
「この綺麗な国を、みんなが作った。
とてもすばらしいことだと思う。

この綺麗な景色が続く限り、私はみんなを展望台に呼ぼうと思う。」

国民は大喜びでした。


王様も満足そうで、嬉しそうでした。



それ以来、この国には月に一度展望台でのパーティがあるのです。
おいしいものを沢山食べて、飲んで、歌って、踊って、
そして帰りに袋を30枚もらって帰るのです。

その、最後の一枚を使う日が、次のパーティの日です。
ぴかぴかの、綺麗な国のお話でした。

綺麗な国の王さま

綺麗な国の王さま

ゴミだらけの、まるでゴミ箱のような国。 ある日パーティーを開いた王さまが、国民に提案したこととは…? そして、1ヶ月後に再び行われたパーティーの結果は…?

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 児童向け
更新日
登録日
2013-03-04

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. 1
  2. 2
  3. 3