モノクロ:コード
たくさんの音が鳴り響き、僕を支配していた。
鳥の声、人の声、機会の音、風の音。そして――、けたたましく鳴り響く、サイレンの音。
「――……え?」
意味が、分からない。何が起きたのかも分からず、目眩に眩む。
そして、僕の時が止まる。
第一:コード 『不安と友情』
「――……」
知らない天井だった。近くの病院でも見たことのない天井。ここは一体どこなのだろう。
「あ、起きた」
軽快で、無邪気で元気な声。とにかく僕は体を起こした。
周りは殺風景、というか、何もない。それは真っ白な空間のようだった。部屋と言うよりかは、何もない場所だ。そしてそこに。
白しか強調されない空間に、緑色の女の子が一人。
彼女はニコニコした顔で僕に興味があるのかジッと僕を見つめている。
「えぇと……」
緑色なのだ、全てが。もちろんそれは比喩的な表し方で、肌まで緑なわけじゃないのだが。しかし、髪の色も服の色も瞳の色も全て緑なのだ。これはもう、緑色の女の子以外何者でもないだろう。
彼女は何も喋らない。それどころか、こちらの言葉を待っているみたいだった。
「あのぉ……」
何を喋ったらいいのだろうか。聞きたいこと聞いていいのだろうか。
「何でしょうかっ」
何で彼女はこんなに弾けているんだろうか。とにかく、それを聞いてみることにしよう。
「あの、何で君はそんなに僕を見つめているんだい……?」
数秒の沈黙があった。まぁその間も彼女はその間もニコニコ顔を崩さないのだが。
「それは、あなたが新しいコードだからですっ!」
……待て待て。コードって何だ。僕は何をする施設に放られているんだ。いや、それよりも僕の命は大丈夫なのか。
あぁ、ダメだ。緑色の女の子が喋ると余計に訳が分からなくなっていく。
「何か他に聞きたそうですねっ?」
ヤバイ、最悪だ。ここはどう答えればいい。
もちろん聞きたいことなんか山のようにある。むしろないほうがおかしい状況だ。しかし、ここでこの子に聞いて何が分かる。
一言二言喋っておかしい相手だと思う子に何を聞けば僕が理解できる。
考えろ。考え……、
「ここは……、どこですか?」
ダメだ、僕は。こういったのには滅法弱い。すぐに折れる。あぁ、さらば僕の男らしさ……。
しかし僕の様子に当たり前のように全く気づいていない彼女は更にニコニコ顔を磨かせる。もう、まぶしい……。そして彼女は言った。
「はい、ここはコードの家、基地ですっ!」
僕に目眩が激しく攻撃してくる。
モノクロ:コード